父の日ギフトにも家飲みにも♡ワインのプロに聞いた、本当に美味しくてコスパが良いワインの選び方

本当に美味しくてコスパが良いワインの選び方


もうすぐ父の日。父の日の定番ギフトといえば、さまざまなアンケートを見ていてもやっぱり「お酒」が鉄板です。その中でも、ワインを選んでプレゼントできたら、ちょっとかっこいいですよね♡
でも、ワインってちょっとお店を見てもものすごく種類があるし、どう選んでいいかわからない…。

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そこで本日は「コスパが良くて美味しい」ワインの選び方を、ミシュラン星付きレストランにもワインを卸すワイン専門商社が運営する、ワインECサイト「Firadis WINE CLUB」の店長を務める、五十嵐祐介さんにうかがいました。

 

Q.ワインを選ぶとき、何を基準に選ぶと好みのものが選べますか?


A.まずは「よく聞くブドウの品種」を最低限だけ知ってみてください。

「ワインは高いほうが美味しいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、実はむしろ、1000〜2000円台くらいのほうが、クセが強すぎず万人受けするものが多いです。

選ぶ上で気にかけてみてほしいのは、「ブドウの品種」です。こう聞くとちょっと難しいと思うかもしれませんが、たとえば、なんとなく「シャルドネ」「リースリング」という名前だけはお店のメニューなどで見たことがある…という方も多いのではないでしょうか。これがブドウの品種です。ワインにはこういったメジャーな品種があるので、コスメの名前を覚える感覚でいくつか覚えてみると、ぐっとワインを選びやすくなります。赤ワインと白ワインでそれぞれ3つずつ覚えてみてください。

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◆赤ワインでよく見るもの

・カベルネ・ソーヴィニヨン

風味がしっかりしていて、濃い味のタイプ。リッチでがっしりとした味わいで、いわゆる辛口スタイルに近い。

・メルロー

渋さの中に柔らかさや甘みが含まれている、なめらかな口当たりのワイン。カシスやブルーベリーのような風味のイメージ。

・ピノ・ノワール

上記2つに比べて渋みは少なく、どちらかというと「甘酸っぱい」スタイル。いちごやラズベリーのような風味のイメージ。赤ワインの渋みが苦手という方は、ピノ・ノワールから試してみると良いです。

◆白ワインでよく見るもの

・シャルドネ

1番飲みやすい白ワイン。フルーティーで柔らかい。りんごや洋梨、熟しているものならパイナップルのようなイメージ。

・ソーヴィニヨン・ブラン

酸味がシャープで、グレープフルーツのような風味のイメージ。清涼感があるしゃきっとした味で、ハーブやミントのような印象。

・リースリング

柔らかでまろやかな香りがとても素敵なワイン。飲みやすくエレガントな、柑橘系のイメージ。

この6つをざっくりこの機会に簡単にでいいので覚えてみてください。

 

Q.何がわかると好きなワインが選びやすいですか?


A.食の好みがわかるととても合わせやすいです。

具体的にワインの好みがわかっていればそれが1番早いものの、わからなければ「食の好み」に合わせるのはひとつ方法としてありですね。
ワインのECサイトの店長としてよくお客様から相談を受けることがありますが、そのときは食事の好みを聞くことが多いです。

1番わかりやすいのは「しっかり味付けしたものが好きなら赤ワイン」「素材を活かしたシンプルな味付けのものが好きなら白ワイン」です。ここはすごく傾向が出ます。

 

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たとえば、焼き鳥はタレ派か塩派か。タレ派の人は旨みのある赤ワイン、塩派の人は白ワインで提案してみることもあります。

他にも「赤ワインで何にするか悩んでます」だったら「コーヒーと紅茶、どちらが好きか」を聞きます。ブラックコーヒーが好きな方はカベルネ・ソーヴィニヨンかメルローがハマりやすいですし、紅茶が好きならピノ・ノワールをすすめてみます。100%そうとは限らないものの、結構ここは好みが連鎖することが多いですね。

でも、お父さんでも誰でも、誰かにプレゼントするとしたら「この料理が好きだと思うから、それに合うワインを選んでみたよ」と一言添えてプレゼントされたら、自分の好きなものを知っていてくれて、そこに合うものを考えてくれた…という気持ちが、まずとても嬉しいはずです。

そして、やっぱり食事とワインは相性があるので、せっかくならぜひ食事とワインを合わせて「マリアージュ」を楽しんでみてほしいです。

 

Q.「マリアージュ」って、つまりなんですか?


A.料理とワイン、それぞれが相乗作用でより美味しくなることです。

よくワインと食事は「マリアージュ」という言葉が使われます。
ワインと料理の味の方向性が合っているととても美味しくなります。ただ単に「合う」だけでなく、ふたつの要素が重なったときに「より美味しくなる」のが基本です。

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【1】濃い味には濃いワインを、素材を活かした料理にはさらっとしたワインを

マリアージュの代表格は、たとえば「赤ワインを使って煮詰めた、密度の濃いソースをかけたステーキ」に「渋みがしっかりした色が濃い赤ワイン」を合わせるとなじむ、などがわかりやすいですね。このように、ブドウ品種の特徴と料理を合わせると、合う確率が高いですね。

他には

・「デミグラスソースを使ったものなど、味が濃い肉料理」なら「強い赤ワイン」(カベルネ・ソーヴィニヨンなど)。

・「さっと焼いて塩胡椒だけでシンプルに食べる肉料理」なら、渋みが強すぎるワインだとせっかくのお肉の美味しさがなくなってしまうので「もう少し軽やかな赤ワイン」(ピノ・ノワールなど)。

・「白身のお刺身をわさびと醤油だけで食べる」なら「清涼感があるさっぱりした白ワイン」(ソーヴィニヨン・ブランなど)

「お魚でも、濃いめの味付けをしたバターソテー」なら「果実のふくらみがある白ワイン」(シャルドネなど)

なんとなくイメージがつくでしょうか。

【2】料理の色合いとワインの色が合っていると合いやすい

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「赤ワイン=肉」「白ワイン=魚」というイメージがありますが、必ずそういうわけでもなく、だいたい「料理の色合い」と「ワインの色」が合っていると、合うことが多いです。

たとえばマグロなどの赤身魚は赤ワインが合うこともあります。香りが強く味にも力がある白ワイン「リースリング」には、意外と豚しゃぶポン酢などが合いますし、シャルドネはシンプルなチキンソテーを合わせると美味しいです。

逆に、たとえば極端な話「味が濃い煮込みのハンバーグ」に「しゃきっとした白ワイン」を合わせると、料理の味が濃いのでワインが水のように感じてしまいます。
一方で「上質なお肉にレアに火を通して塩で食べる」ときに「すごく渋い赤ワイン」を合わせると、お肉のフレッシュな美味しさがワインの味の濃さに消されてしまいます。

こういったところから「お父さんの好きな食べ物は何かな」「どっちかといえば魚が好きで、マグロの刺身をよく食べてるな」「じゃあもしかして優しい赤ワインかな?」と考えることができます。

 

Q.迷ったとき、比較的万人受けしやすいワインはありますか?


A.基本的に2000円台くらいまでなら万人受けしやすくできています。

◆ブドウの品種

ここまでお話に出てきた、代表的なブドウ品種6種類のワインは「人気がある」=「わりと多くの人に愛されている」ため、比較的万人受けしやすいものが多いです。
ブドウ品種は数え切れないほどあって、いわゆる「地ブドウ」というか、ある土地でしか作られていないブドウがたくさんあります。そういうブドウで作られたワインは個性的で面白いんですが、クセがあったり独特の香りがあり、人を選ぶ確率が高いです。ただ、そのぶんその地域の料理にはすごく合って、そういうものはハマると面白いので、王道なものを掴んだらぜひトライしてみてほしいです。

◆価格帯

基本的に1000円〜2000円台など、手頃な価格帯のワインはできるだけ万人受けするように作られています。多少好みはあると思いますが、だいたいしっかり美味しさはありながら、極端なクセもなく飲みやすいものが多いです。
逆に、3000円を超えてくると少しずつクセがあるワインが出てきます。

◆赤ワインなら?

いちばん人気はカベルネ・ソーヴィニヨン。1000〜2000円台のものは、味わいも強すぎず、極端に渋いものもなく、果実がぎゅっと凝縮された飲みごたえがしっかりあって「美味しい赤ワインを飲んでいる」という印象を受けやすいものが多いですね。無難にわかりやすいと思います。

<おすすめワイン>

トータス・クリーク カベルネ・ソーヴィニヨン(USAカリフォルニア産赤ワイン)』1,980円+税

◆白ワインなら?

白ならシャルドネです。味わいもバランスが良く、白ワインの王道といった味。果実味もきちんとあって飲みやすく、それでいて飲みごたえや贅沢感があります。

<おすすめワイン>

『アナヨン・シャルドネ(スペイン産白ワイン)』2,380円+税

 

Q.コスパが良くて美味しいワインを選ぶコツはありますか?


A.結局、お店の人に相談するのが近道です。

お店で買うのであれば、お店の方はたくさん試飲した中から選んでいるので「食やお酒の好みはこんな感じで、この予算で、今飲み頃でコスパが良くて美味しいワインが欲しいです」と正直にお伝えして、試飲しながら選ぶのがいちばん早いですね。

とはいえ今はなかなか対面で買うことが難しいことがありますが、ネット通販で買う際も、もし相談のメールや電話ができるサイトであれば、そのほうがジャストフィットするワインが選べます。僕自身もよく相談を受けて選んでいますし、お店の方は遠慮せずどんどん相談してほしいと思っているはずです。

また、特にネットで買うときは口コミを気にしてしまいがちですが、やっぱり人によって味わいの好みは違います。ワインに詳しい方の意見でも、詳しいからこそ必要以上に粗探しのようなコメントをしてしまう人もいますし、どうしても口コミの情報は偏ります。誰かが美味しいと感じたものを、自分も美味しいと感じるかと言われれば、そうとは限りません。ある程度参考にはなると思いますが、口コミのみで選ぶよりも、やっぱりお店の人に聞くのがいいですね。

 

Q.ワインの産地ごとに特徴はありますか?


A.あるにはありますが、「ブドウのメジャーな品種」を覚えてからでOKです。

ワイン売り場は国ごとに並んでいることもよくありますし、たいていの場合産地は明記されていますが、たとえば「イタリアのワイン」といっても南と北では全然違いますし、全体をひとつひとつ知っていくのは面白いことですけど、かなり大変です。

ざっくり産地ごとに以下のような特徴はありますが、やはり「生産地」よりも「ブドウの品種」のほうが味を左右することは覚えておいてください。

ボルドー(フランス):カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを中心とした、パワフルな赤ワイン

ブルゴーニュ(フランス):エレガントな赤ワインピノ・ノワールと、リッチな白ワインシャルドネの産地

ドイツ:リースリングを中心とした、上品な白ワインの国

スペイン:暑い国なので、果実の熟度が高く、赤も白も甘みが多く、アルコール度数も少し高い濃厚なスタイルのワインが多い。

イタリア:ざっくり言うと料理に合うワインが多い。20の州にまったく違う料理文化とワインがあるため、あらゆるワインがある。

チリ:なんでもある。ブドウをブレンドするものより、「カベルネ・ソーヴィニヨンの赤」「シャルドネの白」など、ブドウ品種1つで作るワインが多いので、品種ごとに試すときは選びやすい。

「ブドウ品種の中で、自分はこれが好き」ということがわかったら、そこから産地別に飲んでみるといいと思います。

たとえば赤ワインの中で自分は「ピノ・ノワール」のものが好きだとわかってきたら、そこからブルゴーニュのもの、イタリアのもの、ドイツのもの、カリフォルニアのもの、と飲み比べてみると「このタイプのピノ・ノワールが好きかもしれない」と比較がしやすいです。その地域でも、さらにワイナリーごとにスタイルが違うので、また飲み比べてみる。そういう飲み方はどんどん自分の好みに合うものが見つけられて楽しいと思います。

もちろん、ワインの楽しみ方は自由なので、最初から産地で飲み比べてみるのもひとつの飲み方だと思うんですけど、いったん全体像を把握するなら「ブドウ品種」から入ってみたほうがわかりやすいと思います。

 

Q.お父さんのぶんを頼むついでに自分も飲んでみたいです。ワイン初心者におすすめなのはどんなワインですか?


A.若い女性に人気なのは「スパークリング系」「果実みが豊か」なものです。

【1】スパークリングワインやシャンパンなど、泡系からスタート

若い女性なら、やっぱりシャンパーニュやスパークリングワインが人気ですね。
モエ・エ・シャンドンのように大手ブランドのものを試しに飲んでみてもいいですし、最近は職人さんが少しだけ作っているような、クラフトビールならぬ「クラフトシャンパン」もどんどん入ってきているので、そういったものを飲み比べてみるのも楽しいと思います。
さらにシャンパーニュだと、赤ワインや白ワインほどスタイルがたくさんあるわけではないのでとっつきやすいです。

<おすすめスパークリングワイン>

『シャトー・アントニャック クロズリー・デ・リ クレマン・ド・リムー(南フランス産スパークリングワイン)』2,520円+税

意外とそこまで知られていない話でいうと、シャンパーニュは基本的に黄金色のイメージがあると思いますが、実はすべて白いブドウで作っているわけではなく、黒いブドウから作っているものもあります。白ブドウのシャンパーニュは柑橘系っぽくて辛口で、黒ブドウのシャンパーニュは甘みがあって味わいが違う。そういうところを気にしてみると、一歩先に進めると思います。

【2】スペイン産ワインなど果実味が豊かなワインに氷を入れてみる

若い女性には「渋みがしっかりある」よりは「果実みが豊か」なワインが人気の傾向にあります。

・スペイン産のワイン
・あまり値段が高くない
・「果実味がまろやかなタイプ」などと記述がある

この3つの条件に当てはまるものは、果実味が豊かで甘みがあるものが多く、リッチで飲みごたえも楽しめるけれどそこまで飲み疲れないので、冷やして氷を入れて飲んでみるととっつきやすいと思います。スペインのワインは氷を入れても全然薄いと感じないものが多いですね。
この「ワインに氷」は邪道だと思われるかもしれませんが、フランスでもプロヴァンスのビーチではロゼワインをオンザロックで飲んでいる人も多いですし、あまりかたく考えずに、美味しいと思う飲み方で飲んでもらえれば全然問題ないです。ワインにフルーツを入れてサングリアにして飲んでも、甘くなって美味しいですよ。

【3】最低限の品種はおさえた上で「ラベルがかわいいもの」を選んでみる

実は「ラベルがかわいいから」で選ぶのも、全然ありだと思います。
ただ、そのときにそのワインがどのブドウの品種で作られているかということがわかっていると「シャルドネだからリッチな感じかな」「リースリングだからさっぱりしているかな」と、だいたい傾向が掴めるので安心感があります。2000円台くらいまでのワインだと複雑でクセがあるようなワインはそうそう売っていないので、最低限の品種だけおさえておけば、その中で「このラベルがかわいい」は、テーブルに置いていても楽しいですし、新しい出会いも広がっていいと思います。

<おすすめワイン>

『シャトー・レ・ヴァロンティーン ミス・ヴァロンティーン ロゼ(南フランス産ロゼワイン)』2,380円+税(ラベルにフランスモチーフのものがたくさん描かれていて眺めるのも楽しいワインです)

つい産地ばかり気にしてしまいがちですが、やはり五十嵐さんがマストで最低限でも覚えてみてほしいと語るのが「品種」。店頭には数多くの種類が並んでいますが、最低限だけでも覚えてみるだけで、かなりワイン選びの軸となるはずです。そして「こんなこと聞いていいのかな?」と思わず、わからなかったら遠慮なく相談してみると、お店の方は喜んで相談に乗ってくれるはずですよ。
ギフトにも、自分にも。ぜひワイン選びの参考にしてみてくださいね。

▼INFORMATION
Firadis WINE CLUB https://firadis.net/
デイリーに楽しめる3000円以下の厳選人気ワイン・本格派シャンパーニュの専門店・特別な日に飲みたい高品質ワインの3つのECサイト。
好きな食材や合う料理、価格帯などからワインを検索可能。
取材協力/株式会社フィラディス
構成/後藤香織

 

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