お風呂のピンク汚れ…じつはカビ!絶対知っておきたい「梅雨の正しいカビ対策」

6月といえば梅雨の時季。ジメジメするこの季節は、お家の中のカビが気になりますよね。

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20〜60代の男女1,000名を対象に行われた「『カビ』に関する意識調査」(リンナイ調べ)によると、梅雨シーズンの掃除の悩み第1位はやっぱり「カビ汚れ」。
梅雨の「カビ汚れの掃除」に悩む人の割合は、じつに74.5%にのぼります。

ステイホームでまとまったおうち時間をとりやすい今年は、お風呂やエアコンのカビ対策をちょっとだけ丁寧にしてみませんか?
今回は、カビについて研究されている千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志先生に、家庭のカビ対策のポイントを教えていただきました。

■みんな意外と間違ってる!?あなたのカビ知識をチェック!


まず、矢口先生監修の「カビ対策知識テスト」を試してみましょう。

次の問題にYES / NOで答えてみてください。解答&解説は問題のすぐ下にあります。

それでは……スタート!

●カビ対策知識テスト(全10問)

Q1:カビ退治には40℃程度のお湯をかけると良い。YES or NO?

A:答えは……NO!
カビがダメージを受けて繁殖力が低下する温度は50℃以上。40℃のお湯だと退治するのは難しく、お湯をかけるなら50℃以上が効果的です。

 

Q2:重曹はカビに効く。YES or NO?

A:答えは……NO!
重曹には洗浄効果はあっても殺菌・除菌効果はないため、カビを根元から取り除くことはできません。カビ掃除にはカビ取り剤か、殺菌効果のある「クエン酸」や「酢」がオススメです。

 

Q3:黒カビ退治は「スポンジでこする」。YES or NO?

A:答えは……NO!
黒カビはスポンジでこすっただけでは除去できません。黒カビ退治には「カビ取り剤の上からペーパーでパックし、数十分置いた後に洗い流す」という方法が効果的です。

 

Q4:湿度と温度の2つの条件が揃えば、カビはどこでも生える。YES or NO?

A:答えは……NO!
カビが発生しやすくなる条件は「湿度(60%以上)」「気温(20〜30℃が最適)」「栄養分(食べカス・人の垢など)」の3つです。それらが揃わなければカビは生えません。

 

Q5:浴室のカビ対策として、入浴後には水を全て拭き取る方が良い。YES or NO?

A:答えは……YES!
水分を取り除くことでカビが生えにくくなります。毎日拭き取るのは結構大変な作業ですので、水切りなどの掃除用具を活用すると良いでしょう。また、換気扇をできるだけ長時間(できれば24時間)回すのもオススメです。

 

Q6:浴室のカビ掃除は天井が最も重要である。YES or NO?

A:答えは……YES!
天井を掃除しない限り、いくら床や浴槽を掃除しても天井から降ってきたカビの胞子が原因でカビが発生する……という悪循環に陥ってしまいます。お風呂掃除では、天井も欠かさず掃除しましょう。

 

Q7:ピンク色の汚れがある所を放置しておくと、カビが発生しやすい。YES or NO?

A:答えは……NO!
発生しやすいのではなく、じつは「すでに発生している状態」です。
浴室に発生する「ピンク汚れ」の正体は、カビの予備軍ではなく「ロドトルラ」という赤色酵母で、カビの一種。ロドトルラは空気中に普通に浮遊している菌で、水分のある場所(浴室・キッチン・トイレなど)を好みます。

 

Q8:エアコンのカビ対策は、フィルターを定期的に掃除すれば充分。YES or NO?

A:答えは……NO!
冷房や除湿機能を使用した後は、エアコン内部が湿気でいっぱいになっています。フィルター掃除も大切ですが、エアコンの中の風通しを良くする工夫も必要です。
冷房・除湿機能を使った後は、必ず送風機能を使ってエアコン内部を乾燥させましょう。

 

Q9:カビは氷点下では生きられないため、冷凍庫では発生しない。YES or NO?

A:答えは……YES!
カビは凍っている所では発生しません。ただし製氷機の給水タンクには要注意! 空気中にあるゴミなどが溜まると、その中にカビが発生する恐れがあります。
氷からカビを摂取し続けてしまうと健康被害にも繋がりますので、給水タンクの掃除は定期的に行いましょう。

 

Q10:カビは水分を好み、ダニは水分を好まない。だからカビとダニは同時には発生しない。YES or NO?

A:答えは……NO!
ダニはカビを餌とし、カビはダニのフンや死骸を餌とします。このため、カビが多い所にはダニも多く、ダニが多い所にはカビも多いという環境が出来上がってしまいます。カビとダニ、両方の対策を行っていきましょう。

カビ対策知識のチェックテスト、いかがでしたか? 「今まで間違った知識を持っていた」という方も多いのでは?

湿度が高くなるこれからの時季は、とくに注意が必要です。具体的にどんなことに気をつければいいのかを教えていただきましょう!

 

■梅雨シーズン:「浴室(お風呂場)」掃除のポイント


「カビは定着する場所があるとそこで増殖し、風通しの良い場所では生えにくくなります。浴室は湿気がこもりやすいため、とくに注意が必要です」と、矢口先生。

まずは浴室のカビ対策について、詳しく伺いましょう!

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◆浴室全体の掃除のポイントは?

浴室全体におけるポイントは、「少しでもカビが目についたらすぐ退治する」ことです。カビ取り剤を使用してしっかり取り除きましょう。
梅雨の時季の「カビ取り」頻度は、週1回程度が目安です。ただし浴室の管理の仕方にも左右されますので、この頻度を厳守するというよりは「目についたらすぐ」を意識しましょう。

また毎日の入浴後に、壁・床についた石鹸カスや皮膚片などを洗い流し、浴室全体が乾燥するまでしっかりと換気しましょう。この習慣をつければ、カビはそれほど生えません(排水溝は除きます)。

◆ゴムパッキンの掃除の仕方は?

ゴムパッキンは汚れや水分が溜まりやすく、とくにカビが生えやすい場所です。黒カビだけでなくピンク汚れもカビの一種ですので、見つけたら早めに退治しましょう。

このとき気をつけたいのは、硬いブラシでこすらないこと。硬いブラシなどでこするとパッキンに細かいキズがつき、カビが侵入しやすくなります。カビ取り剤をかけた上からキッチンペーパーなどでパックし、数十分放置した後に洗い流す方法がオススメです。

◆天井の掃除の仕方は?

お風呂場の天井にあるシミの正体は、ほとんどがカビです。このシミを取り除かないと、壁や床をいくらきれいに掃除しても、またすぐにカビが生えてきてしまいます。

煙タイプのカビ取り剤も便利ですが、カビは死んでもシミは残ります。天井の掃除は、モップにカビ取り剤を染み込ませて拭き取った後、水洗いするのが一番オススメです。

◆カビに効果的なカビ取り剤は?

重曹は発泡により汚れを落とすことはできますが、カビを殺菌する効果はありません。
カビ退治には、次亜塩素酸が入ったカビ取り剤が最適です。次亜塩素酸にはカビを殺菌する作用に加え、カビを漂白する作用があります。

◆換気扇は何時間くらい回せばいい?

換気扇は、できれば24時間つけっぱなしにしておくのが一番いいです。
浴室乾燥機能がついているなら、それを活用するのもオススメ。乾燥機能を使用すると浴室内の温度が45℃程度になり、カビが非常に生えにくい状態になります。この状態は、乾燥機能を止めた後も次の入浴時まで持続します。

■梅雨シーズン:浴室以外の掃除のポイント


カビが気になるのは浴室だけではありませんよね。リビングなどの居室、エアコン、キッチンなど、家中のカビ対策についても伺っていきましょう。

◆こまめな掃除でホコリを取り除こう

生活環境の中にあるカビを多く吸うと、アレルギーなどの健康被害を起こす可能性があります。
前述のとおり、カビとダニはお互いの増殖を助けてしまうため、両方しっかり除去しましょう。とくに部屋の隅、家具の裏、電気の傘などには、カビの栄養源となるホコリが溜まりやすいので、こまめに掃除して取り除きましょう。

◆エアコン掃除のポイントは?

お部屋のホコリを取り除くとともに、エアコンの掃除をこまめにしましょう。エアコンのフィルターは、できれば2週間に1回程度行うのがオススメです。

また、エアコンを冷房(または除湿)機能で使用すると、その内部は湿気が多くなり、カビが発生しやすくなります。冷房・除湿機能を使った後は、送風機能でしばらく運転を行い、エアコン内部をよく乾燥させてください。

この時期は洗濯物を部屋干しすることも増えますよね。その際はとくに換気と除湿、そしてその後の内部乾燥をしっかり行いましょう。

◆キッチンのカビ対策のポイントは?

浴室掃除と同じく、キッチンでも石鹸カスや洗剤カスをしっかり洗い流すことが大切です。
意外に気が付きにくいのが、シャワータイプの水道の蛇口部分。食器を洗うときに汚れが付着し、カビが生えてしまうことがあります。食器を洗うついでに、蛇口の裏も洗う習慣をつけましょう。

◆油断しがちな「寝室・寝具」も要チェック!

人は寝ている間にコップ1杯分の汗をかきます。とくに頭・顔・上半身にはたくさんの汗をかくため、寝具にも湿気がこもりやすくなります。

枕カバーなど顔に触れるものには、汗の油分、皮膚片、毛髪といった汚れも付着しているのですが、これらは「マラセチア」というカビの好物です。このカビや他の細菌が増殖すると皮膚の炎症も引き起こしかねません。

枕カバーなどの洗える寝具・ファブリック類は、できれば毎日取り替えましょう。

■カビ対策で「ステイホーム」を快適に♪


いつもよりゆっくり過ごす機会が増えた、お風呂場やリビング。その空気は、きれいな方が気持ちいいに決まっていますよね。

今年はちょっとだけ丁寧な掃除・カビ対策にチャレンジして、梅雨のシーズンも快適に乗り切っていきましょう♪

●お話をうかがったのは…
矢口貴志 先生
早稲田大学理工学研究科博士前期課程修了。明治製菓(株)を経て現在、千葉大学真菌医学研究センター准教授。生活環境のカビ、とくにヒトに病原性のあるカビを専門に研究している。
構成・文/豊島オリカ
情報提供元/リンナイ株式会社

 

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