日本酒にあまりなじみのない女性いも親しみやすいスパークリング日本酒や、日本酒が豊富なお店の増加など、目に見えて日本酒が今ブーム。
でも、いったい何をどう選べばいいのか……。知っておくべき基本的な知識から専門的な用語、日本酒ブームの背景まで。『Precisou』9月号で日本酒ジャーナリストの松崎晴雄さんが解説してくれています。
【1】そもそも「冷酒」とは?
冷蔵庫のない時代。日本酒は“燗”か“常温”しかなく、その頃の名残もあり、日本酒で“冷や”といえば常温のお酒のことを言います。約20℃で口に含むと少し冷たいと感じる程度。
「冷蔵庫が普及した今、冷酒は文字通り冷やして飲むとおいしいお酒のこと。注いだらグラスの周囲に少し水滴が付くくらい。温度的には10~15℃がベストです。ただしキンキンに冷やしすぎると、味が平板になり、香りが立たなくなります。冷蔵庫から出して、数分経ったくらいが最もおいしいと思います」(松崎さん)
【2】日本酒ができるまで
日本酒は、世界でも珍しい“並行複発酵”という高度な醸造法でつくられます。
そもそも日本酒の原料である米は糖分を含まないため、そのままではアルコール発酵ができません。そのため、麹によって米のでんぷんを糖化させ、酵母によって発酵させる。
この糖化と発酵を同じタンクで同時に行う方式が並行複発酵です。
「蒸した米に麹菌をふりかけ、菌を米粒に増殖させる“麹振り”→蒸し米に麹、水、酵母を加え、酵母を増殖させる“酒母造り”→酒母、麹、蒸し米、水を混ぜ3段階に分けて仕込む“醪(もろみ)造り”が日本酒造りの要。特に発酵をつかさどる酵母の培養液である酒母(酛/もと)は、まさに酒の母。ここで味が決まるといっても過言ではありません。繊細かつ高度な技術の結晶です」(松崎さん)
【3】純米大吟醸酒と大吟醸酒の違いとは?
よく聞くけれど、いったい何が違うのか? 本醸造酒系である大吟醸酒、吟醸酒、特別本醸造酒、本醸造酒。そして純米酒系である純米大吟醸酒、純米吟醸酒、特別純米酒、純米酒があります。
これらの8種類は特定名称酒として、使用原料や精米歩合など、一定の条件を満たすものです。
「一般的に、本醸造酒系は華やかでフルーティ、純米酒系は米の風味が豊かといわれています。さらに、原料米の削り具合を示す精米歩合によってそれぞれ分類され、玄米の表層を50%以上削った“純米大吟醸酒”や“大吟醸酒”のほうが、玄米に近い状態(70%)の“純米酒”や“本醸造酒”よりも雑味のないきれいな風味になる、とも。でもこれはおおまかな傾向であって、飲む人の感覚にゆだねられます。ひとつの目安として参考にしてください」(松崎さん)
【4】なぜ今、世界で日本酒がブーム?
「世界での和食ブームも手伝って、”SAKE”は大人気。といっても、大衆的というより、星付きレストランや食の意識の高い人たちが集うダイニングが中心です。まず、ライス=ヘルシーというイメージ。そして冷やしても温かくしてもおいしく飲めるお酒というのはほかのお酒にはない特徴で、おまけに食前、食中、食後と万能。さらに、日本酒のもつ長い歴史や高い技術、そのあたりのうんちくが語れることも人気のヒミツです」(松崎さん)
何も知らずに飲むのもいいけど、折角ならきちんと知っておけばもっとおいしくなること間違いなし。夏だからこそ、よく冷えた日本酒をぴったりの肴に合わせて楽しみたいものです。(鈴木 梢)
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