老舗と言ったら、おおよそ創業100年ほど、ということを頭に浮かべる人も多いのではないでしょうか。そして「100年以上の歴史」と聞くと、日本よりもヨーロッパの国々や中国などに長い歴史を持つ企業やブランドが多いようなイメージがありませんか？
けれど、韓国銀行が2008年に発表したデータによると、創業200年を超える企業は世界41か国に5,586社。そして、そのうちの半分以上の3,146社が、なんと日本にあるんです！ その次がドイツの837社、続いてオランダの222社、フランスの196社。こう見てくると、まさに日本の老舗企業の数は圧倒的！
以下にご紹介するのは、『和樂』7月号に掲載されていた、日本と世界の老舗企業のランキング。それぞれ創業年（西暦）順にTOP10を発表しています。
【日本の老舗TOP10】
578年 金剛組（建築） 大阪市天王寺区
705年 慶雲館（旅館） 山梨県早川町
717年 古まん（旅館） 兵庫県豊岡市
718年 法師旅館（旅館） 石川県小松市
724年 やました（旅館） 石川県金沢市
724年 今神温泉（旅館） 山形県戸沢村
784年 五位堂工業（鋳造） 奈良県香芝市
804年 傳來工房（鋳造） 京都市南区
834年 ゑびすや（旅館） 栃木県那須塩原市
885年 田中伊雅（仏具） 京都市下京区
日本の「金剛組」は、なんと飛鳥時代に創業し、あの聖徳太子が建立した大阪の四天王寺を手掛けた会社！ そんな会社が現代にまだ残っていることも驚きです。ちなみに、現在も寺院建築を専門にする建築会社として活躍しています。
【世界の老舗TOP10】
560年 The Ferry Boat Inn（ホテル） イギリス
746年 Herzoglich Bayerisches Brauhaus Tegernsee KG（ビール醸造） ドイツ
765年 Staatsweingut Bergstrasse（ワイン） ドイツ
768年 Schloss Johannisberg（ワイン） ドイツ
793年 Ye Olde Fighting Cocks（飲食店） イギリス
803年 St. Peter Stiftskeller Hauslauser KG（レストラン） オーストリア
805年 Weingut Hupfeld（ワイン） ドイツ
905年 The Bingley Arms（飲食店） イギリス
912年 Walnut Tree in Leytonstone（飲食店） イギリス
947年 Eagle & Child（ホテル） イギリス
日本の老舗が旅館が多いのに対し、世界の老舗はお酒の製造元や飲食店が多数！ この違いはどこから来ているのでしょうか……？
ちなみに日本に老舗が多い理由として考えられるのは、日本が古来、他国に支配されなかったため、経済や文化がどこかで大きく変化することがなかった点があげられます。また、た、“家”を第一に考えるという日本人の意識も影響していると考えられます。アメリカの場合、一代で財を成したら悠悠自適の余生を送るというケースが少なくないですが、日本では跡継ぎによりよい形でバトンタッチすることを考え、そのために終生を捧げる場合がほとんどで「継続」を美徳とする気風があるという点も大きいでしょう。
あなたの周りにある会社も、実はものすごい老舗かも？ 自分のお住まいの地域の会社を調べてみたら、あっと驚くような長年の歴史を持つ会社があるかもしれません。是非調べてみてくださいね。（後藤香織）
（『和樂』2014年8月号）
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