苦手な人、意味がわからない指示…超ストレスな「職場の常識」の対処法【職場の悩み相談室】

苦手な人、意味がわからない指示…超ストレスな「職場の常識」の対処法


学生時代にうまくいったことが、職場ではうまくいかない。今まで避けてきた苦手なタイプの人と、共同作業をしなくてはいけない。

困った職場

職場でそうした「学生時代とのギャップ」に戸惑う経験は、多くの人にあるものです。

学校とは雰囲気も目的もガラリと変わる、職場という場所。今までの常識が通じなくて悩んでしまったとき、どう対処したら良いのでしょうか?

新人・若手に多い3つの悩みについて、職場の悩み解決のスペシャリストに解決のコツを伺いましょう!

▼お悩み其の七「学生時代との常識のギャップについていけない」

■新人Iさんの悩み

「私はわりとサバサバした性格で、学生の頃まで苦手な人との付き合いはきっぱり避けてきました。でも就職してからは、そういうわけにもいきません。苦手なタイプの人とも共同作業をしなきゃいけなかったり、フォローし合う必要があったり。それがすごくストレスで悩んでいます」

■新人Jさんの悩み

「就職するまでは、たいていのことはネットで調べれば分かると思っていました。でも仕事ではいろんなことを人に聞かなきゃいけません。質問も相談も、いちいち人にしなくちゃいけない。すぐ答えてくれない人もいるし、誰かひとりの判断待ちでチームの仕事がストップすることも多いです。ついイライラしてしまいます」

■新人Kさんの悩み

「意味がないのでは、と感じる上司の指示が多くて苦痛です。上下関係がはっきりしている職場なので、理不尽なことや無駄に思えることでも、指示されたらやらざるを得ません。自分は効率を考えるのが好きで、テスト勉強なども効率アップして結果が出ると喜びを感じるタイプでした。でも仕事では、効率的とは思えない無駄なことをやらされるので、ストレスが溜まります」

Iさん、Jさん、Kさんは、それぞれ別の悩みを抱えています。しかし3人の悩みには共通点があり、それは「学生時代の常識とのギャップにストレスを感じている」ということです。

学生時代は当たり前にやってきたことが職場ではなぜか通じない。あなたも社会人になってから、そんな経験をしたことはありませんか?

最終回の今回も、解決策を教えてくださるのは、株式会社リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義さん。新人・若手の育成ノウハウ研究の第一人者で、企業向けのセミナーも多数開催。研究者というフラットな立場から新人サイドと上司サイド、両方の悩みに日々直接触れている、まさに職場の悩み解決のエキスパートです。

学校と職場では、さまざまな点において重要視されるポイントが異なります。桑原さんいわく、このギャップに悩む新人・若手はとても多いのだとか。

「働くって大変……」と気持ちが沈んでしまう前に、ギャップを前向きな気持ちに変えていきたいところです。そのためにはどうしたら良いのでしょうか? それぞれの悩みについて、解決のヒントを伺いましょう!

▼ギャップ1「苦手な人との共同作業」


働き始めた新人世代が一番悩みやすいギャップは、Iさんも感じた「苦手な人と共同作業をしなくてはいけない」という苦しさです。

仕事の上で関わる人は、自分ではほとんど選べません。苦手な人と共同作業をするのはとても疲れますが、避けることもできません。どうしたら良いのでしょうか。

◆解決策「自分にとってのメリットを見つける」

この悩みを解決するコツは、自分の捉え方を切り替えることです。

桑原さん「まず仕事における自分の目標や、将来なりたい姿を思い浮かべてください。そして苦手な相手と接する経験が、その未来にどのように繋がっていくのかを探る作業がおすすめです。

これは苦手な相手と接する経験を、自分にとって『意味付ける』ということです。自分にとって『こういう形でプラスになりそうだ』と思えると、苦手なこともだいぶ楽になります」

苦手な相手と一緒に仕事をするときは、相手の何が自分の成長に役立つのか、それを意識するのがポイントです。相手のスキル、知識、行動などをよく見て、相手と接するのが自分にとってどうプラスになるかを考えます。

たとえば、「性格は合わないけど仕事はすごくできる」とか、「この人は仕事は遅いけど、アイデアはお客さまに好評だ」とか、何かしら優れた点や学べる点を冷静に探してみてください。意識して探してみると、意外と見つかるもの。

なかなか長所が見つからなくても、大丈夫。「このコミュニケーションに慣れることで、同じようなクライアントにもうまく対応できそうだ」と、自分の成長のためのステップとして考えればOKです。

自分が得られるメリットを探し、見つけたらそれに集中しましょう!

 

▼ギャップ2「人に聞かないと分からない、進まない」


デジタルネイティブ世代と言われる、新人・若手のみなさん。今まで勉強でもプライベートでも、分からないことが出てきたらネットで検索すればだいたい把握できました。

ところが仕事となるとそうはいきません。重要な情報ほど、インターネットでは調べられないことがありますよね。

たとえば、取引先の独自のルールや判断基準など。「これを知っておかないと信頼を失ってしまうかも」といった情報は、先輩や上司に教えてもらわなければ分かりません。

また、書類をつくるのに必要なファイルのありかもそうでしょう。パソコンを探しても見つからないなら、人に聞くしかありません。もしかしたらそもそもデータ化されていなくて、事務所のどこかのファイルボックスに紙で保管されていたり、誰かの頭の中にだけ残っていたりするのかも。

仕事では、こうしたことがしょっちゅう起こります。「いちいち誰かに聞かないと仕事が進まない。ここに戸惑う新人世代は本当に多いです」と、桑原さんは語ります。

◆解決策「個人競技からチーム競技に変わったのだと考える」

この悩みの解決ポイントは、「仕事はチーム競技なのだ」と理解することです。

勉強や就職活動などは、「自分ひとりでいかに良い点をとれるか」という個人競技的な勝負だったかもしれません。でも仕事は「チーム全体でいかに良い結果を出すか」という勝負なのです。

慣れないうちは大変かもしれません。足を引っ張られるように感じたり、自分ひとりなら楽なのにとイライラしたり。でもそれを乗り越えると、メリットもたくさん見えてきます。

チームで勝負するということは、周囲の力を借りられるということ。自分にはないスキルや知識を持つ人と協力することで、より大きな価値を生み出したり、より良い仕事をしたりできます。自分が苦手なポジションを別の誰かに任せることもできますし、チームの中の誰がシュートを決めてもあなたのプラスになるのです。

こんなふうに考えることができれば、イライラする気持ちがふっと軽くなるかもしれません。

それぞれの得意分野を掛け合わせ、苦手分野を補い合うことは、本来効率が良いこと。「仕事は個人競技ではなく、チーム戦なのだ」と頭を切り替えてみましょう。

▼ギャップ3「意味がなさそうな指示に従わなくてはいけない」


仕事をしていると、「この作業って意味あるのかな?」と疑問に感じることがあります。慣例だから続けているだけなのでは……と思ったり、上司の自己満足なのではないかと感じたりすることもありますよね。

新人にとって難しいのは、それが本当に意味のない作業なのか、それとも自分が知らないだけで何かしら意味があるのか、なかなか判別できない点です。

どんなに疑問に思えても、勝手な判断は禁物です。内緒で作業を省いてしまうと、後になって「やっぱり必要だった」と分かったときに大変なことになってしまいます。

◆解決策「意味がないとは限らない、と考える」

仕事では、やってみて初めて意味が分かることも多々あります。データの蓄積や改良実験など、長年続けてようやく価値が見える作業だって、中にはあるのです。

上司が新人に作業を任せるときは、そこになんらかの意図が必ずあります。上司の意図については第一回の記事でも詳しく書きましたが、「言葉の奥にある意図が分かると、そうだったのかと納得できる」というケースも多いのです。

意味がなさそうに思える作業も、後工程にとってなくてはならないものなのかもしれません。「細かいことまでメモさせないでよ」と感じているそのデータが、長年の改善計画の検証に必要なのかもしれません。

どうしても意味が思い当たらないときは、周囲の先輩に聞いてみても良いでしょう。

桑原さん「職場は新人さんにとっては未知の世界ですから、意味不明に感じる指示もあるかと思います。でも本当に意味がないのか、この時期に判断するのは危険です。考えてもよく分からないときは、聞きやすい先輩に質問してみましょう」

「意味がないんじゃないか」と思いながら続けるのは、ストレスが溜まります。まずは自分の頭を切り替えて「どんな意味があるのかな?」と考えてみること。そして分からなければ先輩に聞いてみることがおすすめです。

聞いたとたんに、思いもよらない意味があっさり判明してしまうかも。そうすれば納得して作業が進められ、ストレスも溜めずに済むでしょう。

▼まとめ:ストレスを減らす近道は「行動を起こすこと」


全7回にわたり、新人・若手世代のさまざまな悩みに解決のヒントを教えていただきました。多くの新人・若手世代と関わる桑原さんが、CanCam.jp読者の方に一番伝えたいのは「足を止めずに動き続けること、とくに誰かに相談してみることで悩みは解決しやすい」というメッセージだそうです。

桑原さん「若い方をたくさん見てきましたが、もんもんと頭で考えるのをやめて、どんなに小さなことでもいいので何か行動を起こしてみたときに、より良い方向へ向かうケースが多かったです。

仕事で関わる人の中には、苦手な人もいるでしょう。でも不思議なもので、会話してみると『意外と面白い人だな』と、その人の良さがあっさり見つかることもあります。無理をする必要はありませんが、できるときにできる範囲でいいので、自分から行動してみるのがおすすめです。自分からのアクションで結果が変わると、自信にも繋がります。それによって、より積極的なアクションがとれるようにもなり、仕事も楽しくなってきます。

また上司や先輩も、自分と同じ人間です。向こうもいろいろ悩んでいるんだなと分かれば、さほど怖い存在ではなくなるでしょう。どう思われているかというストレスからも解放されやすくなります。ぜひ『同じ人間だ』と意識してみてくださいね」

桑原さん、ご多忙の中ありがとうございました!

毎日たくさんの時間を費やす仕事。だからこそ上手に悩みを解消し、ストレスを減らしたいものです。悩み別の解決策を実践し、日々を楽にしていきましょう!

 

■桑原正義
1992年、人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。営業、商品開発、マーケティングマネジャー、コンサルタント職を経て、現在は「新人・若手の育成」をメインテーマとした企業向けトレーニング・研修の開発に携わる。育成ノウハウの体系化に取り組むと同時に、上司・育成担当者向けのセミナーを広く開催。時代に即した新たな「育成のアタリマエ」の普及に尽力している。東京都公立幼稚園・こども園PTA連絡協議会副会長。https://www.recruit-ms.co.jp

(取材・文/豊島オリカ)

撮影/booro(BIEI) ヘア&メイク/佐藤亜里沙 モデル/板橋美奈(CanCam it girl)

 

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