2017年、『覆面系ノイズ』や『帝一の國』など、映画への出演が続く、俳優の志尊淳(しそん じゅん)さんが、14年ぶりにテレビドラマ化される『きみはペット』(フジテレビ)で、あのイケメンペット“モモ”にキャスティング!
本作で描かれるのは、高学歴&容姿端麗のキャリアウーマン・スミレ(入山法子さん)と、謎のペット志望のイケメン男子・モモとの奇妙な同居生活。コメディ要素もありつつ、大人のピュアなラブストーリーには、ドキドキ胸キュンのシーンが満載♡
取材時は、ちょうど『覆面系ノイズ』の撮影中。偶然にも、共演者の小関裕太さんの役名が“モモ”。「現場でも裕太に、『きみはペット』のモモ役やるんだよね?って言われて、なんだか運命を感じちゃいました(笑)」と、志尊さん。
今回のインタビューでは、『きみはペット』の「モモ」についてたっぷり語っていただきましたが、志尊さん演じるモモ、どうやらかなりの“肉食系仔犬男子”の様子……。多くの女性の心を奪って、観終わったら“モモロス”しちゃうかも!?
┃志尊淳、「モモは飾らずに天真爛漫がいちばんの魅力」
Woman Insight編集部(以下、WI) 今回「モモ」にキャスティングが決まった時はどう思われましたか?
志尊淳さん(以下、志尊) 出演が決まって、あらためて過去の映像化作品を観て、それでもやっぱり自分がモモを演じるという実感が湧かなかったし、とても難しい役だと思いました。それは、表面的な部分ではなく内側の部分で。いろんな感情が交錯していく役柄だと感じたので、自分がこの役とどう向き合っていくのかな、とあまり想像できませんでした。きっと、自分が思っていた以上に、無意識のうちにこれまでの映像化作品のプレッシャーを感じていたんだと思います。
WI 日本では14年前、韓国での映画は6年前ですが、実写化のたびに「モモ」のキャスティングに注目が集まりますが、志尊さんらしいモモは、どういうところにあると思いますか?
志尊 モモを演じてみて、飾らずに天真爛漫にいる姿がいちばん彼の魅力だな、とあらためて感じました。変に“したたか”だったり、計算高いと思われないよう、年齢も近い20歳の等身大が思う感情そのままを自分に投影した時、自分から出てくる感情をモモとリンクさせていくようにお芝居をしていたと思います。難しかったのは、みなさんがすでに思い描いている「モモのイメージ」に追いつけるか、そして追い越せるかということですかね。こればかりはご覧いただいたみなさんに判断していただくしかないのですが(笑)。
WI 具体的に、このシーンの演技が難しかったというのはありましたか?
志尊 モモって、“銀杏入りの茶碗蒸し”が好きなんです。「茶碗蒸しが食べられる!」って、テンションが上がって踊り出したりするんですね。僕はそのシーンを、「どういう気持ちでこんなに喜んでいるんだろう」と思って。「茶碗蒸し! 茶碗蒸し!」ってコールして踊り出す20歳の男子を、実際に見たことないですから(笑)。でもそういうことも、僕は、日常的にリアルにいる人として見せたかったので、ナチュラルにどう表現すればいいかっていうのをすごく悩みました。でも、それ以外の感情の部分……たとえば、スミレちゃんに対して思うことだったり、スミレちゃんに対する愛はすごく理解できたんです。
WI スミレちゃんといえば……聞いた話だと、女子が悶絶するようなシーンが満載ということですが、特に印象的だったシーンを挙げてもらえますか?
志尊 スミレちゃんの口についたミートソースを“ペロッ”として取ってあげるシーンかなぁ。監督に、「これってどういう感じでやればいいんですか?」と聞いて、やるからには中途半端にしたくなかったし、ちゃんとストーリーが成立するようにやりたかったので難しかったです。ただ、漫画だからキレイに描かれていて、それを読んでる人は“キュン”とする部分だけど、僕が同じことをして観ている方にキュンとしてもらえるのかな?という不安はありますね。
WI 映像は観ていないですが、茶碗蒸しのシーンもミートソースのシーンも、女子はテレビの前で悶絶するかと思います(笑)。ちなみに、志尊さんにはそれぐらい気分が上がる食べ物ってありますか?
志尊 モモぐらいテンションが上がることは日常的にないです!(笑) 僕、茶碗蒸しのシーンで、かなりエネルギーを使い果たしていました。だから撮影が終わって、帰りの電車の中でボケーッとして、かなり抜け殻状態(笑)。でも茶碗蒸しのシーンは、放送版ではなくDVD特典なんです。みなさんぜひ観てください(笑)。
┃スミレにとってモモになれていたのなら「僕はそれでいいと思った」
WI DVDまで見逃せないのですね(笑)。ところで、演じる前に役作りでしたことはありますか?
志尊 ダンスです。今回のためにクラシックバレエも習ったのですが、撮影中はあまりやれませんでした。バレエを習い始めた最初の1~2か月は、2週間に1、2回のペースでやっていました。クラシックのダンスって、ある程度の形がつけられると自宅でも練習ができるので、まずは基本となる体幹を鍛えることに時間をかけました。食事制限もしていたので、モモを演じている時はいまより5キロぐらい痩せていましたね。でも、プライドを持ってダンスをしているというモモの気持ちは、実際にダンスを習ってみたことで役作りにつながったのかなと思っています。内面的な部分では気持ちを整理することを心がけましたが、あとは無邪気で天真爛漫に、野性的な部分があるようにと演じていました。現場では相手の台詞を受けて、自然と流れを作っていけるよう感覚的に演じてさせていただいていました。
WI 撮影ごとに気持ちをすぐに切り変えられるタイプですか?
志尊 シーンによります。でも、感情をむき出しにする時は、その前から気持ちを整えていないといけなかったです。今回3人監督さんがいて、熊坂監督はリハーサルがなくいきなり本番が始まるので、撮影する前からある程度気持ちを作っていかないといけませんでした。いきなり本番というのは大変ですけど、集中しかないですね。カメラが回ってないところでひとりで考える時間が長くなったり、全然しゃべらない時もありました。だから周りの方も、僕の状況をみて話しかけないとか、すごく気を遣ってくださっていたみたいです。
WI 時間をかけて役作りをして、演じてきたモモを、客観的に観ることはできそうですか?
志尊 僕が演じるモモが、どんなふうに見られるんだろう、どういうふうにみなさんの心に刺さるんだろうとか全然分からないです。客観的に作品を見ようと意識することもありますが、自分の中では、「この時はこういう感情だから」というのがその時々にあったし、それを他の人には、切なく見えるのか……かっこよく見えるのか……とか、まったく想像ができないんです。のりちゃん(入山法子さん)は、優しい方なので、「撮影中はずっとモモだったよ」と言ってくれました。だから、のりちゃん……スミレちゃんにとってモモになれていたのなら、「僕はそれでいいや!」と思ったんです。もしかしたら気を遣って言ってくれたのかもしれないけど、もし本当にそうであればその関係性が観ている方にも絶対に伝わると思いました。
WI モモとは年齢が近い役ですが、演じていてモモとシンクロする感情や場面はありましたか?
志尊 スミレちゃんを“飼い主”とみていたところから、「好き」という感情になり、そこから出てくる“嫉妬心”ですね。「そうなるよね」と思ったし、ずっと自分のことを話さずに過ごしてきたモモの本音が出てきちゃう瞬間というのは、すごく共感できるところでした。境遇は違うけど、僕はモモと年代もほぼ一緒ですし。だから、リハーサルの段階で、役に関して監督に聞かれたことには全部自分で説明できるようにしていたし、監督からの指示を一度試してみて違うなと思ったら、「僕はこう考えたので、こうしたほうがいいと思うのですが……」と相談をさせていただくこともありました。
WI 言われたままモモを演じるのではなく、自分でモモを作っていったのですね。いちばん印象的だったシーンを教えてもらえますか?
志尊 音楽がとても素敵なんです。音楽が流れている画とのはまり具合もすごくよくて、なんだか感情も見えてくるような感じ。それともうひとつ、僕は全然記憶にないシーンなのですが……監督が「やっと志尊のちゃんとしたシーンが撮れた」と言ってくれたシーンがあります。最終回の話なので詳しく話せないのですが、最後にすごく印象的なシーンが待っています。クランクアップ前日とかの撮影だったのですが、それもあってモモとしていろんな感情が込み上げてきて……もともと台本になく、監督に言われた通りの演技ではなかったんですけど、ごく自然にモモとしての感情が出ているというか。監督は「大好きなシーン」と言ってくださって、僕としてはびっくりしたシーンでした。
┃スミレとモモのスキンシップは、回を増すごとにエスカレート?
WI 最終回まで見逃せませんね。今回、入山さんとは距離の近いシーンが多かったですが、緊張はしなかったですか?
志尊 全然しなかったです! モモも緊張するようなキャラじゃないので僕もまったく緊張しなかったし、クランクインして最初に撮ったシーンが、馬乗りになって「ごーはーんー!」というシーンでしたから(笑)。そんな始まりだったので、その後の撮影も平気でした(笑)。のりちゃんと初めてお会いしたリハーサルの時、「リハーサルします。じゃあ二人、そこに寝てください~」って、床に毛布を敷かれたんです。「もっと近づいて」ということが多かったので、距離が近いシーンへの抵抗感はなかったですね。
WI 観ている側は、ドキドキハラハラしますけどね(笑)。
志尊 本当ですか? でもそれだけじゃなく、モモはもっといろんな形でアプローチをしてるんですよ、キスひとつにしても(笑)。演じてる時は思わなかったのでが、撮り終わってみたら、「わっ、またキスした!」みたいな(笑)。回を重ねるごとに、すごいことしてます。「キスじゃないよ、甘噛み」とか……キスと甘噛みの違いってなんですか?って、ずっと気になってましたもん(笑)。
WI “甘噛み”、とは?(笑)
志尊 台本には書いてなかったんですけど、原作にあった“甘噛み”を取り入れようと思ったんです。分かる人には分かるシーンだと思います。甘噛みで、その後につながるきっかけを作れたらなと考えて……みなさんにどう見えるか分からないですが、「どんなことでもモモはやるんだよ!」っていうテンションだったので(笑)。他にも、スミレちゃんの腕をつかんで壁ドンしてポッキー食べるのとか、僕、カメラに向かってひとりでやっているから「大丈夫かな……」って。それは、さすがにちゃんと観れませんでした……恥ずかしくて(笑)。
WI モモから見て、スミレちゃんの行動でキュンとするものはありましたか?
志尊 ありました! モモが、ドラえもん的に“秘密の道具”を使って、スミレちゃんをペットとして飼う瞬間があるんです。その時にスミレちゃんが、猫のカチューシャをつけたペットになってくれて、それがめっちゃ可愛くて……本当に可愛かったんです! でもこれは放送版ではなくDVD特典なんです。だからそちらもぜひ観てください(笑)。
WI やはり宣伝上手ですね(笑)。それにしても、犬のモモが、猫のスミレちゃんにキュンとしたわけですね。
志尊 超~キュンとしました! 普段ののりちゃんとのギャップのせいかなぁ。「ああ~可愛い!」って口に出しちゃいました(笑)。のりちゃんは年上だからそんなこと言っちゃいけないだろうし、僕もあんまりそういうことは言わないタイプですけど、その時は「可愛い」って思わず言っていました(笑)。
WI 変な質問かもしれませんが……撮影を通して、ご自身にペットの素質があるなと思った瞬間はありました?
志尊 ペットの素質(笑)。僕は無理です(笑)。実際に「お手」とか言われたら、「エ!?」ってなると思いますよ。撮影は楽しかったですけど、現実の世界とはやっぱり違うので、ドラマの中で疑似体験させていただきました。この作品を通じてペット人生はしっかりと満喫できたので、しばらくはおなかいっぱいです(笑)。
WI 志尊さんは、女性の前でかっこつけていたいタイプですか? それとも全部さらけ出したいタイプですか?
志尊 僕は、かっこつけられないので、全部さらけ出してしまうと思います。でも相手にもそうであってほしいとは思わないです。相手が楽なほう、どちらでも。僕は男らしい部分も甘える部分も全部含めて、さらけ出したいタイプです。だから、僕とモモは似ている部分がけっこうあるような気がします(笑)。
WI 話は変わりますが、原作に「無人島に3つだけ持って行くなら」という場面があるのですが、志尊さんが持っていくとしたら?
志尊 これって、現実的じゃないほうがいいですか?(笑) 現実的に考えちゃうな……いや、ここは直感で! まず「コーラ」! それから「チーズケーキ」! えっと、あとは……「ライター」。この3つでいきます。でも最後だけ現実的ですね。やっぱり好きなもので固めます。コーラ、チーズケーキ、お肉! ……これで大丈夫ですか?(笑)
WI いろいろ考えてくださってありがとうございます(笑)。その3つが特に好きなんですね。
志尊 チーズケーキだけじゃなく“スイーツ”って言おうとしたんですけど、3つだから……でも、さっき挙げた3つは本当に大好きです!
WI 最後に、モモからメッセージをお願いします。
志尊 全16話のドラマの中に、様々な展開があって、たくさんのことが詰め込まれた内容になっています。それぞれの役を通してドラマを観てもらってもいろんな捉え方があると思うし、特に、内面的な部分をすごく見てほしいです。僕は現場にいたからそう思うのかもしれないですけど、キャストもスタッフさんも含め、みんなで作り上げたものがドラマの雰囲気としてすごく映像にも出ていて、それが今回のドラマ『きみはペット』の世界観になってると思うんです。16話まで全部観てほしいです、絶対に! セットで観てくださいね、セットですよ!(笑)
\ちょこっと撮影裏話/
ハウススタジオで場所を変えて撮影させていただいたのですが、室内にてソファを発見! そこで、志尊さんに「そこに“モモ座り”をしてもらえますか?」とお願いすると、目を丸くして「モモ座り?」という反応が。スミレとモモがよくくつろぐソファがあり、その周辺でひざを抱えて座るシーンがあまりに印象的で、勝手に命名してしまいました……スミマセン! 説明をすると、なるほどといった感じで再現してくださった志尊さん。「靴下はどうしますか?」という彼の声に、すかさず「靴下も脱いで。そのほうが“萌え”が増すから」と指示をしてくださったのは、スタイリストさん(男性)でした。まるで隣りにスミレがいるかのような優しいモモの表情に、思わずキュンとしちゃいますよね?
(c)小川彌生/講談社 (c)2016「きみはペット」製作委員会
(取材・文/さとう のりこ)
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