2017年1月9日まで森美術館で行われている展示『宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ』。
この幻想的なデジタルアート作品は、様々なスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団であるチームラボが担当しています。
Woman Insight編集部では、この森美術館のアートプロジェクトを担当した竹内正人さんにインタビュー。 この展示にまつわる舞台裏をお送りした前編に続き、後編の今回は「クリエイターの仕事術」をお聞きしてきました!
■デキるクリエイターの仕事術は「全てをイメージにして落とし込む」
Woman Insight編集部(以下、WI) 森美術館のプロジェクトはすごく大きかったと思うのですが、他にも平行してプロジェクトを進めているものなのでしょうか?
竹内正人さん(以下、竹内) 基本的に皆、いくつかの案件を同時並行で進めています。展示会場に設置に行ったり提案書を書いたり、一人にしてはかなりの量をやっているとは思います。
WI たくさんのプロジェクトが同時並行で走っていると大変かと思いますが、一体どうやってマネジメントされているのでしょうか。
竹内 情報共有はフラットに行っています。一人一人がためた知識や最短の答えを共有できる定例が週1であります。あとは決断のスピードを早くするために、それぞれの分野のスペシャリストたちにどんどんヒアリングしていきます。例えば建築的な知識がわからないときや、作品を動かすためのシステム構成など、専門分野でない自分たちで考えるととても時間がかかります。だからできる人に自分で相談しに行っていますね。
WI なるほど、専門分野はスペシャリストに任せることでスピードアップできるんですね。そのような他の業種の方とコミュニケーションを取る際に気をつけていることはありますか?
竹内 専門言語はスペシャリストの彼らにしかわからないことがありますよね。最初は議事録にまとめたりしていたのですが、あとから見返しても全然わからなくて……(笑)。僕達も少しずつ知識を学ぶ必要があるのですけど、僕がよくやるのは彼らが言語化しているものをイメージとして落とし込むようにしています。
WI 言語化しているものをイメージにですか?
竹内 例えばエンジニアの方が「プログラミングで◯◯すると△△になって」と言っているのは、僕は全然わかりません。だから「今言っていることって、◯◯さんの担当箇所のこの部分ですか?」と言って、すぐに全部を図式化しています。
WI 図式化!?
竹内 例えば、展示する場所の断面を描いて、「人が入ってくると、影ができる場所はこのあたりですよね」とか「影があたらない距離感はこのくらいがちょうど良さそうですよね」「だから照明はこの上で……」とか、描きながら話していきます。
WI こんなにサラサラと……そしてわかりやすい!
竹内 もともとアートや建築をやっていたので、全部イメージにしたほうがわかりやすいんです。話が終わった後、そのメモを議事録として送っています。
WI ものすごくアーティスト的な解決方法ですね!
竹内 メモを常に取る習慣というのはつけています。書かないとわからなくなるので、全部書いています。
竹内 案件をたくさん持っていてもスムーズにいっているように見えるのは、情報共有するときに素直に全部を受け入れて、それに対して「こうしたらいい」という提案を自由に言える環境があるからだと思います。
WI チームラボの文化なんですね。
竹内 僕は今27歳なのですが、年下の人たちも対等に意見を言ってきますし、僕も年上の人や、それこそ代表の猪子にもフラットにものを言っていますね。
■ミーティング、現場、歩いているとき……アイディアはどこから来る?
WI アイディアやインスピレーションはどこから出て来るのでしょうか。
竹内 ミーティングでもでてきますし、現場でも出てきます。おもしろかったのは、森美術館さんの現場にカタリスト15人くらいでいったときに、全員意見が違うんです。例えばテクニカルに強い人は、プロジェクターの向きが気になったり、とある人からは、風とかあるといいかもしれないとか、そういう自分にはないアイディアがどんどん出てきます。
WI それぞれの専門分野のアイディアが出てくるんですね!
竹内 自分一人だと持っている分野が狭いので、色んな人のアイディアをもらっています。それらのアイディアはすごく貴重です。
竹内 人によってインスピレーションのわき方は違いますが、僕は家からチームラボまで歩く20分の間にいろんなアイディアが出てきます。歩いているときが一番出てきますね。あと、日本の建築からもインスピレーションをもらいます。白と黒の光の使い方がうまいなっていつも思っています。
WI ライバルはいますか?
竹内 いいなと思う人は共通して僕が「ずるい」という感覚を持つ人です。彼らがそれをやってしまったからには、同じようなことはできないなあとか、そのアイディアを思いつけていいなっていう感覚です。そういう人たちの前に、自分の案を出せればなって常日頃思っています。ほかにも、各々の案を出していくスピードや、アイディア力や知識力、全体をまとめる能力、着眼点、直感力において、「ずるい」と思う人はチームラボの中にもたくさんいますね。
WI 同じ社内に「いいな」と思える方がたくさんいる環境は、切磋琢磨できそうで素晴らしいですね。
スペシャリストが集まるチームラボならではの仕事の進め方、アイディアの出し方など、興味深いお話がたくさん聞けたインタビューでした。これからもチームラボのアート作品が楽しみです!(たきたて玄米)
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