橋本淳が舞台中心となるきっかけは、朝ドラの共演者。「年間100本観劇」をノルマに

┃「したたかだった」と語る高校時代。陶芸家や庭師の夢も

WI 芸能界に入ってからいままでを振り返って、「変わったこと」はありますか?

橋本 僕、20代前半はテレビドラマを観てなかったんです……というか、観たくなかった。同世代の役者が出ていると、正直、「なんでこんなやつが出てるんだ」とフラストレーションが溜まったりして……。いまは、彼は彼で頑張っているし、自分には自分の良さがあると思えるようになりました。いろんな役者がいて、それぞれの道がある。知っている役者さんだったら、いろいろ言ったりしますけど(笑)、他人のことを認められるようになりましたし、そういう年齢になってきたのかなと思いますね(笑)。

 

WI あまりプライベートが見えないのですが、一緒にお酒をよく飲む役者仲間とか後輩は誰かいらっしゃいますか?

橋本 こんな性格なので、友だちも少ないんです(笑)。いろんな人と……というより、すごく仲がいい人とだけの狭い付き合い(笑)。(平埜)生成(劇団プレステージ)は後輩ですが、1か月に1回は会って飲みますね。僕はあまり演劇の話はしたくないんですけど、たまに「あっちゃん聞いて! どっちの作品をやったらいいかな」という感じでくることもあって。それは俺が決めたら責任負わなくちゃいけないやつじゃん……みたいな(笑)。でも僕は“後輩気質”なので、先輩としてアドバイスとかできるタイプじゃないんですよ。「俺のほうが相談したいのに」っていつも思ってます(笑)。

 

WI 舞台経験も多いので、いろんな相談を受けているイメージはあります(笑)。ご自身は、どんな性格ですか?

橋本 どうかな……暗いと思います、とっても(笑)。でもインドアではなく、むしろ外に出たいタイプ。ごはんも外で食べるほうが多いです。ただ人混みが好きじゃなくて、映画館も人があまり入っていない場所に行って観ます。満員電車や乗り換えも嫌なので、移動はほぼ自転車。そういうのもあって、この仕事を選んだというところもありますね(笑)。

 

WI 普通のサラリーマンではない仕事ということですよね?

橋本 スーツと満員電車が苦手だったので、サラリーマンになるという選択肢はなかったんです。私服でできる仕事、会社に属さなくてもいい職人系の仕事と考えていたら、「役者」という仕事に出合いました。役を演じる……つまり「嘘をついてお金がもらえる」って(笑)。それでアミューズのオーディションを受けたら通り、芝居を始めたらやっぱり面白くて、いまにいたるって感じです。

 

WI もしそのオーディションで落ちていたら?

橋本 スーツを着る仕事ではありますけど、法律の勉強をしようと思っていました。高校入学の時点から、受験勉強しないために皆勤賞と成績優秀者を狙っていましたから。……自分で言うのもあれですけど、したたかだったんです(笑)。でも、高校1年でこの仕事を始めたので学校に行けない時間が増えてしまい、結局、法律の道は諦めることになりました。他に、陶芸家とか庭師とか考えたこともありましたが、どれも役者なら役として体験できるんです。そう考えたみたら役者って一石二鳥だなって(笑)。

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┃犬が大好き。大きな家で犬7匹を飼うことがいまの夢!?

WI 少し仕事以外の話もうかがいたいのですが、橋本さんがいちばんリフレッシュするのはどんなときですか?

橋本 動物の動画を観ること! 僕、犬がすっごい好きなんです。オープンカフェで犬を連れている人がいると、その犬をずっと「いいなぁ……」って見ちゃいます(笑)。今日もペットショップの前を通ったんですけど、お店に入ると帰れなくなるので、なるべく行かないようにしてます。どうしても触りたくなったら犬を飼っている友だちの家に行って「触らせて」って(笑)。昔から犬が大好きで飼いたかったけど賃貸マンションで叶わなかったんですよね。だから僕の目標は、庭付きの家を買って、犬を5~6匹飼う! これが夢。いろんな犬種がほしくて……柴犬、パグ、ジャックラッセル、キャバリエ、ゴールデンレトリーバー、ラブラトリー、フレンチブル……あ、7匹ですね(笑)。大きな家が必要だからお金を稼がないといけないんです、犬のために(笑)。他のリフレッシュ法は、散歩。1時間ぐらいだったら余裕で歩きます。酔っぱらって帰るときは特に。終電の混んだ電車も苦手なので、人を避けて歩いて帰るんです。やっぱり僕……暗いんでしょうね(笑)。

 

WI そんなことはないと思いますよ(笑)。最後に、橋本さんが目標とする人は?

橋本 好きな役者さんはいます。昔は「生瀬勝久さんのようになりたい」と答えていましたが、絶対になれたりはしないですからね。だから目指すのは、いろんな役を演じられる役者。名前と顔が一致したくはないです。タレント性はつけたくなくて、自分自身を隠しながら、「この人、どっかで見たことあるけど名前がわからない……」ぐらいの存在でいいんです。それでエンドロールを見たとき、「あの人何役で出てたの?」と思われるような。でも売れないと犬が飼えない……という葛藤はあるんですよね(笑)。「プライベートは知らないけど、あの役者さんが出てくるといい匂いが出る、いい雰囲気になる」、そんな存在に憧れます。

 

橋本さんはとても“勘がいい”のか、こちらの言わんとしている考えの先を読むように、ひとつの質問に対して、たくさんの言葉を返してくれました。

「僕自身、“次にどんな役が来るんだろう”というのを楽しみに役者をやっているので、同じような役が続かないように作品選びを考えている」と話す、橋本さん。『クレシダ』の“ハニー”を経て、『キネマと恋人』ではどんな役を演じてみせてくれるのか……。舞台の上で生きる橋本淳さんを未体験の方は、お近くの劇場でぜひともご堪能あれ。(さとう のりこ)

★前半はコチラ→ 舞台人・橋本淳。プライドが高く繊細で弱い“少年俳優”を通して感じたこと

舞台『クレシダ』
http://www.cressida-stage.com/

2016年10月8日・9日@大阪・サンケイホールブリーゼ

世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#007
『キネマと恋人』
【台本・演出】ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【出演】妻夫木聡 緒川たまき ともさかりえ 橋本淳 他

2016
11月15日~12月4日@シアタートラム(東京公演)
12月7日・8日@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪公演)
12月11日・12日@まつもと市民芸術館 実験劇場(松本公演)
12月15日~18(日)@名古屋市芸術創造センター(名古屋公演)

映画『At the terrace テラスにて』

日本映画史上初、100%富裕層向け映画。第59回岸田國士戯曲賞受賞作『トロワグロ』を完全映画化。

【監督・脚本】山内ケンジ
【出演】石橋けい、平岩紙、古屋隆太、岩谷健司、師岡広明、岡部たかし、橋本淳

2016年10月29日(土)・31日(月)
第29回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門 ワールドプレミア
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=61

2016年11年5日(土)~11月11日(金)
新宿武蔵野館にて7日間限定レイトショー
http://attheterrace.com/

*橋本淳さんに関する最新情報は、ツイッター(@TENPAorKUSEGE)にてチェックを。

 

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