山口百恵や「GORO」etc… 篠山紀信「僕の写真は時代の映し鏡」

kisin_04

WI 家族写真などプライベートで撮影は?

篠山 プライベートは撮らない。うちの子どもだって撮らないよ。(その場にいた全員が驚くと)写真館に行って撮るよ。この前、赤ん坊と写真を撮ろうと写真館に行ったら、寝ていた赤ん坊の目に冷たい水分を含んだ脱脂綿を「ポン」って! そうすると赤ん坊がビックリして目を見開くじゃない。それを「バシャ」って撮るの(大笑)。あれは特別なメソッドがあってさ、こっちは「寝ているならいいよ」って思うけど、向こうはさパッチリと撮りたいわけ(笑)。やっぱり餅は餅屋だよね。

 

WI とっても意外ですが、コンパクトカメラなどもまったく使わないのですか?

篠山 ヘタなんだよ。すぐにブレちゃう。この前テレビに出たときに「何か芸を」ってなって写真を撮ったんだけど、大きなカメラ(一眼レフ)じゃなくてスマホにしてね。このカメラ大きな声を出すとシャッターが切れるから、みんなで面白いことを言って撮ったんだけど、できあがったらみんなブレてて。それをそのまんまテレビで写すんだけど、ブレないのがいいとは思わないんだよね。ブレた写真も面白いよね。

 

WI 携帯にカメラ機能がついたことで、写真がかなり身近になりましたよね。

篠山 人に気付かれないような面白い写真が撮れたりするよね。でも、技術的にはやっぱり限界がたくさんあるんですよ。面白い現場にいて「たまたま撮れちゃった」っていう“まぐれ”写真には敵わないんだよね。プロだって、本当にいいのは偶然だからね。今回のカレンダーの場合は、意図的に偶然を選んで“紀信伝心”を期待していくわけで……。だから本当にいい写真って“まぐれ”なんですよ。でも、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、とはならない……。それには細心の注意と、準備をして、その偶然が起こるように待っているわけだよね。そうすると、たまに写真の神さまが降りてくる。このカレンダーはそんな写真の集まりだね。

 

WI では意外ついでに、篠山さんは落語を勉強されたと伺いましたが……。

篠山 中学2年のときにね、8か月くらい先生について落語を習ったことがあるよ。それは、子どものころ落ち着きがない子で、親が「そういう子は落語を習いなさい」って。10編くらいは話ができるかな。落語って話す言葉がさ、面白いことを言っているだけじゃないんだよね。“最初にお客さんに言葉を教え込んで、最後がオチに繋がる”っていうコミュニケーションができてないとダメ。言葉と言葉が鎖のように繋がっていて、お客さんの頭のなかにちゃんと入れないとダメなんだよ。だからシャーシャーやっていちゃダメ。ちゃんと落ち着いて物事を人にインプットさせていくことが、落ち着きに繋がるじゃないですか。それでやらされたみたいなんですよね。親の発想が面白いよね。

 

WI 先日、橋本マナミさんが、DVDのイベントで「篠山さんの話は上手い」と言われていましたが……。

篠山 落語を8か月習ったから「話が上手い」わけではないと思うよ。噺家は言葉を使うことが多いから上手くはなると思うけど、僕は、僕が見た物を正確に写真として、見る人に伝えたい。そこは落語と同じ。僕の今の仕事もコミュニケーションが重要で、わかりやすい写真だし、ちゃんとインプットをさせてると思う。「俺だけわかればいいんだよ」って写真家もいるけどそうじゃないんだよね。僕はわかってくれないとヤなんだよね。

★橋本マナミさんとのイベントはコチラ→ 国民の愛人、橋本マナミ「今日もパンツ脱いでます」

 

プライベートでは、写真館を利用するなんてちょっと意外だった素顔の篠山さん。「餅は餅屋。僕の写真は時代の映し鏡だと思っている。そこに存在価値である」と語る篠山さん。“金魚”初体験となった『アートアクアリウム×篠山紀信カレンダー』も、“今!”だからこその作品だと感じました。

★前編はコチラ→ 篠山紀信、被写体は…金魚!?「人物でも金魚でも『紀信伝心』」

kishin_o04

7月27日発売

『アートアクアリウム×篠山紀信カレンダー2016』 1,852円+税 (小学館)
※完売しました。

【あわせて読みたい】

※“国民の愛人”橋本マナミ、「初めての●●が13歳だった」

※「ざらつきのない道は歩きたくない」宮沢りえが語る“母と私”

※すみだ水族館に新ブース誕生!約2,000匹の金魚水槽が圧巻!!

※色気とエロは紙一重!グッとくるのは「●がある人」【ハダカの劇プレ】