暑い…寝苦しい……夜におとずれるこの悩み。
今年の夏も猛暑が予想されており、梅雨の今でも唸るほど暑い日が続いていますね。みなさん体調を崩さず過ごせていますか?
気温や湿度の高い日は、我慢せずにエアコンを使うことが大切。
そこで今回は、帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・三宅 康史先生にうかがった「エアコンを上手に使うためのヒント」を紹介します。
三宅 康史(みやけ・やすふみ) 先生
帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長・帝京大学医学部救急医学講座教授。1985年東京医科歯科大学医学部卒業。さいたま赤十字病院救命救急センター長、昭和大学医学部教授などを経て、2016年より現職。日本救急医学会専門医・指導医・評議員、日本集中治療医学会専門医・評議員など。
【調査】熱帯夜の睡眠時、体の不調を感じたことはある?
熱中症の初期に見られる症状9つを挙げ、熱帯夜の睡眠時や起床時にこれらの症状を感じたことがあるか調査した結果がこちら。
1位 倦怠感(45.7%)
2位 異常に汗が出る(18.3%)
3位 体温が高い(16.8%)
4位 頭痛(15.5%)
5位 顔のほてり(11.3%)
6位 たちくらみ(9.2%)
7位 めまい(7.5%)
8位 筋肉痛(6.6%)
9位 皮膚の異常(4.0%)
全体の約7割が何らかの不調を感じたことがあると回答。熱帯夜の影響で、多くの人が軽度なものも含め熱中症を発症している可能性があるようです。
なかでも、半数近くの割合を占めたのが「倦怠感」。このことについて三宅先生は、「『倦怠感』は、熱中症の初期症状以外でも様々な要因で感じることがありますが、夏期には熱中症の初期症状として最も多いのも事実」と話しています。
◆三宅先生のコメント
熱帯夜の睡眠時や起床時に体の不調を感じたら、「軽い熱中症の可能性」も疑って
「熱帯夜、体調に違和感なく入眠したにもかかわらず、朝起きた時に倦怠感などの体の不調を感じた場合は『軽い熱中症の可能性』も疑った方が良いでしょう。寝室が暑かったり、就寝時に十分に水分補給ができていなかったりすると、体の脱水が夜中に進んでしまい、熱中症になってしまうリスクがあります」
睡眠時の熱中症を予防するには、どうしたらいいの?
- 過ごしやすい睡眠環境づくりで「睡眠の質」を意識!
- 我慢せずエアコンを使用する
- 寝る前にしっかり水分補給をする
◆三宅先生のコメント
「睡眠の質」を意識することで、翌日の熱中症リスクを抑えられる可能性あり
「熱中症を予防するためには、睡眠をしっかりとって体を回復させることが重要です。熱帯夜の暑さで目が覚めてしまったり、寝付けなくなったりすると、『睡眠の質』が低下して体を十分に回復させられなくなってしまうこともあります。翌日に疲労と熱中症リスクを持ち越さないためにも、過ごしやすい睡眠環境づくりを意識して、質の良い睡眠がとれるように心がけましょう。
熱帯夜は扇風機をつけたり、窓を開けたりするだけでは十分に涼しい環境を作り出せない可能性も。エアコンを使用するなどして寝室環境を快適にし、寝る前にしっかりと水分補給を行うことが重要です」
熱帯夜もぐっすり快眠!上手なエアコンの使い方ヒント
Q.夏場、エアコンをつけたまま寝るのはOK?
A.OK。朝まで「つけっぱなし運転」がおすすめ
睡眠時にエアコンをつけっぱなしにすることへの抵抗感から、切タイマーを使う人も多いはず。しかし、「つけっぱなし」にしたほうが快眠できるといいます。
図1は、ダイキンが神奈川県横浜市にある一般の住宅で、朝までエアコンをつけっぱなしにする「つけっぱなし運転」と、切タイマーを使って就寝3時間後にエアコンを切る「切タイマー運転」をおこない、それぞれ室内のWBGT(暑さ指数:高いほど熱中症のリスクあり)の変化を測定した結果。「つけっぱなし運転」ではWBGTに大きな上昇が見られなかったのに対して、「切タイマー運転」の場合はエアコン停止後にWBGTが徐々に高まる結果となりました。
つまり、切タイマーを使って就寝中にエアコンをオフにすることで、明け方にはWBGTが熱中症への警戒が必要とされる値まで達する可能性があるということ。そのため、気温や湿度の高い日は、適度な温度設定で朝まで「つけっぱなし」にしたほうが熱中症のリスクが減り、快適な睡眠につながると考えられます。
Q.除湿機能って、実際意味あるの?
A.「湿度が20%変われば体感温度は約4℃変わる」といわれている!
図2は、ダイキンが試験室でおこなったサーモグラフィによる可視化検証試験。温度28℃・湿度85%の環境で皮膚温度の上昇を確認した後、温度は変えずに湿度を60%に下げると、被験者12名のうち10名の手部や顔部の皮膚温度が顕著に低下する結果となりました。
◆三宅先生のコメント
「熱中症リスクを考えるうえで見落とされがちなのが『湿度』。人間は、汗が蒸発する際の気化熱を利用して体温を調節しますが、室内の湿度が高いと汗が蒸発しにくくなります。汗が蒸発しづらくなると体の熱をうまく逃がせなくなり、体の中に熱がこもりやすくなってしまいます。蒸し暑い夜にはエアコンで冷房や除湿をするなど、温度や湿度管理にも注意をしてみてください」
寝室が快適な湿度(理想は50%前後)になるよう、エアコンの除湿機能も活用してみてくださいね。
夏バテや熱中症予防のためにも、日々の睡眠はとっても大切。「なんかだるいな…」「ちょっとめまいがする…」など少しでも違和感がある場合は熱中症の疑いもあるので要注意。本格的な夏がくる前にエアコンの使用方法を一度見直して、快眠ライフを手に入れて!(Mai)