仕事にまつわるお悩みは尽きないもの。「こちらのメンタルが弱ってしまっている」もありますが、相手のメンタルが強すぎて、こちらが折れそうになるケースもありますよね。
たとえば、「何度同じことを注意しても、言うことをまったく聞かない後輩」。口ではわかりましたと言うけれど全然わかっていない人に、あなたはどう対応していますか?
この「あるある」なお悩みを解決する方法について、「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーに活躍する「ラフドクター」、精神科医・産業医の井上智介先生にうかがいました。
井上智介先生
精神科医&産業医
「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーにした「ラフドクター」として活躍中。書籍多数。近著に『がんじがらめの心がラクになる 「呪いの言葉」の処方箋 』など。
◆その「わかりました」、本当にわかってる?
Q.職場の後輩に、何度同じことを指摘しても、その場では「わかりました」と言うものの、まったく聞いていないのか自分のやり方を変えずに貫き通して同じミスを何度も繰り返す人がいます。メンタルが強すぎるのでしょうか。こういう人は、どう対応するといいですか?
こういう方は「そもそも話を聞いていない」ケースと、「理解力が少し不足している」ケースがありますが、いくつかの対処法があります。
【1】確認のチェックポイントを増やす
お願いした後、最後の成果物を見たら「全然違うじゃん!」と驚くことがあるなら、1/3くらいや半分くらいなど、途中で確認するポイントを設定しましょう。そこで一度チェックして、違っていればフィードバックして軌道修正してもらうことで、二度手間を減らせます。
【2】「わかりました」で終わらせず、具体的なアクションを聞く
何かお願いやフィードバックをしたときは、相手の「わかりました」だけでは終わらせないことが重要です。「じゃあ、何から取りかかりますか?」と、具体的な行動を聞きましょう。そうすることで、話を本当に聞いて理解しているのかどうかがわかります。そのときにトンチンカンなことを言ってきたら、もう一度説明しましょう。
【3】一度口頭ではなく、文章で伝えてみる
まず、人の話を聞くときは、表情や周囲の動きが気になるなどして、「話を聞くこと」だけに集中できるとは限らないことが多いものです。
試しに一度、指示を文章で伝えるようにしてみてください。頼まれた側も後で見返せますし、スッと入ってきやすいです。
それに、上司や先輩側のほうが、「これくらい当たり前でしょ」のレベルが無意識に高くなってしまうことがあります。でも、若手の後輩側からすると、実は「聞き馴染みのない単語」や「理解が追いつかない話」ということがままあるもの。口頭で説明を受けていると「なんの話だ?」と一度思ってしまうと、そこからの話が入ってこないこともあります。
さらに、事実として「“口頭で言われたこと”を覚えるのが難しい、“聴覚記憶”が苦手な人」が、かなりの割合でいます。今無自覚だとしても、「電話で3つお願いされたのに、2つしか覚えていない」「電話を切った瞬間に忘れる」などに思い当たる方は、この可能性があります。
何度同じことを言っても、何度も同じミスをしてしまう人は、このタイプかもしれません。
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