20代にも多い婦人科・乳腺科トラブルを総チェック!
体の内側のデリケートな部分のお悩みは人に相談しづらいし、かといって病院に行くほどでもない気がして、つい後回しに…なんて人も多いのでは? そんなほっときがちな女性の体のお悩みを先生たちに聞いちゃいました♡
教えてくれるのは…
島田菜穂子先生
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長。診療の傍ら、乳がん啓発ピンクリボン運動を推進。
岡田有香先生
グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長。プレコンセプションケアや卵子凍結に詳しく、SNSでも情報を発信。
吉形玲美先生
医学博士。浜松町ハマサイトクリニックなどで婦人科診療にあたる他、複数の施設で予防医療研究にも従事。
最近よく耳にする“子宮頸がん”って?「子宮の病気」Q&A
将来の妊娠・出産のためにも子宮の健康はとっても大事。でも最近、子宮頸がんを報告する20代のYouTuberが増えているように、私たちの子宮はなんだか危ないことに! 今なんともないからではなく、きちんと知って対策を。
Q1.子宮頸がんってどんな病気?
A.SEXでHPVに感染して子宮の入り口にできるがん
「子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの感染が原因で、感染ルートはほとんど性交渉。通常は感染しても免疫機能が働いて自然排除されますが、ウイルスが排除されずに感染が続くと、細胞に異変が生じてがんに近づいてしまいます」(吉形先生)
ちなみにHPVの型は200種類以上。子宮頸がんになるリスクが高いのは16型・18型
HPVの200種類以上の型のうち、子宮頸がんの原因になる可能性が高い「高リスク型」は約15種類。20〜30代で感染が見つかる8〜9割は、がんになるスピードが速い16型と18型。検査で高リスク型が見つかったら早めに対策を!
Q2.20代でも子宮がんになるの?
A.子宮頸がんの罹患率は20代からグンと高まる
「子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんの2種類があって、20〜30代に急増しているのは子宮頸がん。進行がんの一歩手前の上皮内がんを含めると、なった人の約38%は20〜30代です。しかも日本女性の子宮頸がん患者は
ここ20〜30年で約5倍と、世界でも爆発的に増えています」(吉形先生)
Q3.子宮頸がんの症状は?
A.ほとんど自覚症状なし。だから進行に気づかない!
「HPVに感染後、自然排除されずに残ったウイルスがとどまり続けた場合、がんになるまでには数年〜数十年かかります。その間に自覚症状はまったくなく、例えば不正出血や下腹部痛などの異変を感じたときは、すでに進行がんになっていたというケースが…自分では気づけないので、検診で見つけるしかないのです」(吉形先生)
Q4.子宮頸がんになったら治療の方法は?
A.レーザー、切除手術、放射線療法。子宮全摘だと妊娠できなくなる
「がんになる一歩手前の高度異形成、上皮内がんでも、レーザーで病変を焼く、子宮の入り口を切除するなどの手術が必要です。さらにがんが進行すると子宮ごと取る全摘手術に。そうなると妊娠は望めません。子宮の周りの組織も切り取って、リンパ節や神経にもダメージが残ってしまうんです。だからこそ早く見つけるのが大事!」(吉形先生)
Q5.子宮頸がんを予防するには?
A.HPVワクチン接種で感染をSTOP!
「子宮頸がんの予防は、HPVワクチンの接種と年に1回の定期的な子宮頸がん検診が基本。HPVワクチンは、半年にうちに3回の接種が必要です。ワクチン接種で、性交渉未経験者なら9割以上、経験後の20代でも6〜7割がHPVの感染を防げます」(吉形先生)
HPVワクチンを接種していないCanCam世代に本音を聞いてみると…?
「副作用がひどいって話題になっていたから、ネガティブな印象」(Mさん・23歳)
「年に1回検診をしてるんで、ワクチンで予防しなくても大丈夫な気が」(Kさん・27歳)
「周りで接種した人がいないし、私も別に打たなくていいかなって…」(Sさん・22歳)
「安全性も効果もわからないから、打ちたくない」(Nさん・22歳)
「後遺症が怖くて接種する気がない」(Tさん・22歳)
日本でHPVワクチンの定期接種が始まった’13年は、CanCam世代も対象時期(小6〜高1)。ただし直後に“差し控え”通達があり、接種者は激減。その後増えていないよう。
Q6.ホントのところ、HPVワクチンの副作用ってどうなの?
A.深刻な副反応は極まれ! 打ってがんのリスクを避けるほうが賢明かも
「HPVワクチンの主な副反応は、接種部位の痛みや腫れ、疲労感など。アナフィラキシーのような重い副反応は数十万〜数百万接種に1回程度です。一生のうち子宮頸がんになるのは1万人に130人余り。確率的にも打ってがんを避けるほうが賢明では?」(吉形先生)
Q7.HPVワクチンはどこで、いくらで受けられる?
A.16~26歳は国の補助でタダで打てるから、住民票のある地域の婦人科へGO!
「HPVの感染を約90%防ぐとされる9価ワクチン「シルガード®9」が、今年4月から定期接種に加わりました。1997年4月2日〜2007年4月1日生まれで過去にHPVワクチンを3回接種していない女性は、地元の医療機関で無料で接種できます。それ以外の年代は自己負担となるため、費用も含め、行きやすい婦人科を探してみてください」(吉形先生)
Q8.子宮頸がん以外でも、20代に多い子宮の病気はある?
A.20代後半からは子宮内膜症と子宮筋腫のリスクがアップ!
「女性の体は女性ホルモンの分泌によって排卵が行われ、子宮内膜が厚くなって剥離し、月経が来る…を繰り返しています。昔は20代前半までに子供を産む人が多く、排卵が休む機会が多かったのですが、今は初回妊娠・出産年齢も遅くなり、女性ホルモンにさらされっぱなし。その影響で20代後半から子宮内膜症や子宮筋腫になる人が増加中」(吉形先生)
Q9.子宮内膜症の症状は?
A.月経痛がひどかったり、将来不妊にもなりやすい
「子宮内膜症は、子宮内膜(月経のもと)やそれに似た組織が本来付着しない子宮内以外の場所で増殖、出血する病気。中でも卵巣に入り込んで塊になったものは卵巣チョコレート嚢腫と呼びます。主な症状は月経痛の悪化で、月経過多や不正出血になることも。また、子宮内膜症から不妊症になることも」(吉形先生)
Q10.子宮筋腫ができたら、手術で取らなきゃダメ?
A.筋腫のサイズや場所による。医師に相談を
「子宮筋腫は良性腫瘍なので、小さかったり症状が軽ければすぐに取る必要はありません。手術しても、将来の妊娠を考えて子宮を残せば再発の可能性が。内服薬で筋腫を縮める方法もあるので、医師と相談して」(吉形先生)
子宮頸がんも婦人科系の病気も年1回の検診が予防のカギ!
「症状の出ない子宮頸がんは、定期的な検診でしか早期発見できません。大きなトラブルのない20代のうちから、もっと自分の体に興味をもち、年1回の子宮頸がん検診と婦人科検診を習慣にすることが一番の病気予防になりますよ」(吉形先生)
次回は、今最も女性に身近ながんである「乳がん」について20代が知っておきたいことをご紹介します。
イラスト/そばまる 構成/つつみゆかり WEB構成/深澤 彩
◆この特集で使用した商品はすべて、税込価格です。