大学生は就職活動真っ只中、そして転職もまったく珍しいことではない会社を選ぶうえで気になってくるのが「ブラック企業なのかどうか」。やりたいことができる会社というだけでなく、やはり仕事に取り組みやすい環境があるのかも働く中では重要ですよね。
そこで、株式会社AlbaLinkが就職活動・転職活動をしたことがある20代~60代の男女501人を対象に行った、「入社前にブラック企業を見抜く方法」についてのアンケート結果を紹介します。
「この会社ってブラック?」67.3%が就職・転職活動で気にしていた
「ブラック企業かどうか気にして就職・転職活動をしたか」と聞いたところ、「気にした」と回答した人が67.3%。多くの人が意識していたことが分かります。
ブラック企業に入社すると、長時間労働やハラスメントなど、心身ともに疲弊する可能性が高いです。そのため、短期間での離職に繋がることも……そう思うと、生活も安定させながら働くためにホワイト企業の方がいいと考える人が多いのは納得できますよね。
では、就活・転職活動の際にブラック企業かどうかを、「気にした理由」「気にしなかった理由」の具体的な回答を見ていきます。
<ブラック企業かどうかを気にして就職・転職活動をした理由>
- 自分にとってワークライフバランスが大事だから(23歳 女性)
- ブラック企業だと、残業が多く給与は安いから(26歳 男性)
- 結婚後も長く続けるつもりで会社を探していたので。ブラック企業に就職してしまったら、長く続けられないと思った(34歳 女性)
- 転職回数が多かったので、「最後の就職先にするぞ」と言う気持ちで探していたから(38歳 女性)
- 最初の会社がブラック企業だったので、ブラック企業への転職はなんとしても避けたいと思っていた(46歳 男性)
「長く続けたかった」「ブラック企業に入ると体力的・精神的にしんどいから」などの回答が寄せられています。転職が一般的になってきているとはいえ、環境の良い会社なら長く働きたいと考えている人は多いようです。また、過去にブラック企業で働いた経験からツラさがわかるだけに、ブラックは避けたいと切実な気持ちで転職活動していた人もいました。
<ブラック企業かどうかを気にせず就職・転職活動をした理由>
- 早く職につきたかったので、条件に合いそうなところを優先して探していました(29歳 女性)
- 自分自身がやりたいことかどうかを重視していました(32歳 男性)
- 若かったため「とりあえず仕事に就ければいいや」と軽く考えていた(35歳 女性)
- とにかくお金が必要だったので、気にしている暇はなかった(48歳 男性)
- 実際に働いてみないとわからないから(53歳 男性)
優先事項として、「業務内容」や「早く就職すること」を上げる人が多い印象。「就職・転職活動中の情報収集では、ブラックかどうか見抜けない」「どんな企業でも多少はブラックな部分がある」と諦めている人も目立ちます。「ブラック企業かもしれない」と覚悟して入社した人も多いようでした。
まずは「求人内容をよく読んで!」入社前にブラック企業か見抜くポイント
「入社前にブラック企業か見抜く方法」を聞いたところ、1位になったのは「求人内容をよく読む(118人)」。そして、2位「ネットの口コミを調べる(110人)」、3位「面接で違和感を探す(103人)」、4位「社内・社員の雰囲気を知る(93人)」と続きます。
求人広告や口コミなどのネット情報でも、ブラック企業かどうかを判断できると考えている人が多いとわかります。最近はSNSでも「A社はブラック」「B社でハラスメントがある」といった情報が瞬時に広まるため、口コミを気にするのもわかります。ブラック企業かどうかに限らず大会社が提示している情報だけでなく、実際に働いている人や会社を知っている人の様子を事前に確認することは大事ですよね。
次に、就職・転職活動での実体験から寄せられた声を、さらに詳しくランキング形式で紹介します。
<7位 社員に話を聞く>
- 働いている人の話を聞いてみる。愚痴が続くのであればブラック企業の可能性が高いと思います(27歳 男性)
- 社員複数名に会って話を聞く(30歳 女性)
- 現社員に直接話を聞くこと(42歳 男性)
ネットや口コミの情報が古くなっていることもあるので、実際にその会社で働く社員から話を聞いてみた方がいいというのも確か。ただし、話を聞くときは複数人から話を聞くことがおすすめ。就職活動であれば、大学の就職課を通じて該当企業に就職した先輩に話を聞くことができるかもしれません。他にも今はOB訪問アプリなど、会社公認でオンラインや実際に会って話を聞くことができるサービスが出てきているので、利用してみるのもアリです。
<6位 残業時間数を調べる>
- 転職活動時、人事が送ってくるメールの送信時間が何時になっているのかを気にして見ていました。遅い時間にも送信履歴がある会社は、残業が多い可能性大(30歳 女性)
- 就活・転職活動時から、残業の有無などを質問する(39歳 女性)
- 夜遅い時間に職場の近くに行ってみて、職場の電灯がついているか確認する(48歳 男性)
求人票に残業時間の目安が掲載されていますが、「内容が正しいとは限らない」と疑う人は面接で聞いたり、実際に終業時間後に会社まで足を運んだという人も。また、人事から連絡がくる時間帯で判断していたという人もいました。確かに、深夜にメールがきたりすると、「こんな時間まで仕事なの?」と感じてしまいますよね。
<5位 離職率を調べる>
- 新人が離職していないかを聞いたり調べたりする(27歳 女性)
- 求人情報を出す頻度が高いと、「人が足りていない」「入ってもすぐ辞めている」と想像できるので避ける(40歳 男性)
- しょっちゅう求人が出ているなど、入れ替わりの激しいところは避けます(54歳 女性)
離職率は求人サイトに掲載されていることがあるほか、就職四季報やハローワークなどでも調査可能です。また、求人広告が多い企業や新規事業・新店オープンでないにも関わらず大量に人を募集している企業は、離職率が高いと推測する声が多く挙がりました。そのため、「求人が長期間または頻繁に出ている企業は避ける」という人が目立ちます。
<4位 社内・社員の雰囲気を知る>
- 説明会などで、社員同士の関係性を見る。ギスギスしているのもダメだが、仲が良すぎて「なあなあ」なのも仕事とプライベートの切り替えができていなさそうで危険(27歳 女性)
- 会社見学を行い、社員さんたちの表情を見る(32歳 女性)
- 面接時の待機時間に、社員同士の会話や仕事ぶりを観察する。学生のクラブ活動みたいな上下関係を感じた場合は、辞退を検討します(45歳 男性)
社内の雰囲気を知る方法としては、「インターン」「店舗に行ってみる」「社内見学をさせてもらう」「面接や説明会で社員の様子を観察する」などがあります。社員の雰囲気だけでなく、職場の整理整頓・掃除が行き届いているかチェックする人も多いようです。自販機のエナジードリンクが売り切れていたら、残業が多いのか疑うといった細かな部分に会社を知る要素が隠れていそうです。また、ブラック企業かどうかだけでなく、実際に会社に行けた時などは自分が「馴染める社風であるか」ということを見ることも大事です。
<3位 面接で違和感を探す>
- 人事担当者の「人当たりの良さ」だと思います。「人事は人当たりが良くて当たり前」と思うかもしれませんが、当たり前もできていない会社はブラック企業である可能性が高いと思われます(27歳 男性)
- 面接で会話のキャッチボールができるか。不都合な質問をした際、スルーされたり回答をうやむやにされたりしないか(33歳 女性)
- 面接で質問をしまくる。残業時間やみなし残業制などの質問で顔色が変わったり、面接官同士が目配せして苦笑したりするところから推測してみます(45歳 男性)
「面接官が威圧的」「質問にきちんと答えてもらえない」などの場合、ブラック企業ではないかと警戒する人が多いとわかります。面接で残業や有給取得率の質問はしづらいと考える人もいますが、あえて質問して面接官の反応を見る人も多いようです。
<2位 ネットの口コミを調べる>
- 口コミサイトにはある程度真実があると思う(26歳 女性)
- 会社の口コミが記載されているサイトを確認する(33歳 女性)
- 転職系口コミサイトは役に立つと思います(40歳 男性)
最近では職場の口コミサイトも多いですね。そのためネットで現社員や元社員の口コミをチェックし、ブラック企業かどうか判断している人も多くなりました。匿名性ということもあり、実際の状況が反映されているとも考えられますね。ただ、元社員は不満を書くことが多いので、ネガティブな口コミが目立つことには注意が必要です。個人の主観も入ってくるので、「全てが真実」と捉えすぎないことが大切です。
<1位 求人内容をよく読む>
- 求人票をよく読むこと。「若手が活躍」「アットホームな職場」という記載がある場合はブラック企業のイメージがある。みなし残業の有無や時も確認している(28歳 女性)
- 募集要項をよく見て、「最初から給料が高すぎる」「年間休日が少なすぎる」などは確認しておく(32歳 女性)
- 誠意が感じられない募集要項の会社は選択肢から外していました。「誤字脱字」「説明があやふや」「口調が攻撃的」などから判断しました(52歳 男性)
特に求人情報でチェックするポイントとして、「抽象的なアピールポイント」「ゆるい応募条件」「悪い労働条件」などが挙げられました。また、記載されている給料が高すぎる場合は、「ノルマが厳しいのではないか」「みなし残業代が含まれているのではないか」をチェックするべきでしょう。他にも、「ブラック企業の求人広告にありがちな文言」といったポイントがまとめられているので、参考にしてみるのもよさそうです。
一番はやはり「求人募集をよく読む」ということ。その上で、ネットの口コミや説明会などを通して会社について知っていくことが大事になっていきます。また、求人広告の多さも離職率が高い可能性があるため注意が必要です。
その他、厚生労働省が労働基準法違反の企業一覧を公表してたりするので、実際に話を聞いたり会社見学が難しい場合でもブラック企業か見抜く手段は多くあります。うまく、それらの情報を集めながら、自分に合った企業への就職を目指しましょう!(岡美咲)