菊池 先生は漫画を描く作業の中でどの行程が好きですか?
望月 ネーム(※1)は苦手ですね。絵を描くのは、遊びに等しいくらい楽しいです。今は後半の作業をパソコンでやっていますけど、ペン入れした原稿をスキャンして、さらにパソコンでペン入れをして、昔スクリーントーンを貼ると言われていた作業をして、最後にホワイトというはみ出した線などを消す作業があるんですが……、そこが大好きです。
菊池 (爆笑)アシスタントさんにやってもらわないんですか?
望月 いや、自分でやります。
菊池 私は、ページごとの絵コンテを書き、スタッフを集めて写真を撮る。この写真が出そろったときがいちばん興奮します! ページの中にどういうふうに写真を配置して、どんな書体の文字を入れようなどと、あれこれ想像しているときが最高に楽しい。本当はその作業に細かく支持を出さず、プロのデザイナーさんにまるっとパスをしたほうが、いいものができることもあるんですよね。でも、やりたくなる……。
望月 僕もまったく同じですね。だから装丁も自分でやっています。自分のクリエイティビティには限界があって、違う他人がぽこっと入ったほうが、今回の『マッシュ』のテーマ“かける”みたいに、新しいものができあがるのはわかっているんですけどね。
菊池 いつも葛藤していて、手放しどころを悩んでいます。
望月 真面目で正直者なんですよ。
菊池 『ちいさこべえ』を読んで、一人前ってどういうことだろうと考えていたんです。でも4巻を読ませていただいて……目からウロコでした。私自身は、まだ全然一人前になれている気がしないですけど。
望月 一人前は、物事に責任をとれる人とか、責任をとる覚悟がある人のことだと思います。だから、菊池さんは一人前ですよ! 『マッシュ』にも責任編集って書いてあるくらいですから(笑)。
【注釈】 ※1 漫画を描くときに、コマごとの構図やセリフ、キャラクターの配置などを大まかに描き表す作業。
第2回へとつづく。
菊池さんのこだわりがたっぷり詰まった『菊池亜希子ムック マッシュVol.7』が、いよいよ明日発売!ぜひ、チェックしてみてくださいね。次回は、10代のころから望月作品のファンという菊池さんに、最新刊『ちいさこべえ』について語っていただきます! お楽しみに!(西村真樹)
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『ちいさこべえ』
山本周五郎の名作時代小説『ちいさこべ』を現代版に新解釈した意欲作。最終巻4集は、3月30日発売。〜火事で実家の工務店“大留”が焼け両親を亡くした主人公 茂次は「どんなに時代が変わっても人に大切なものは、人情と意地だ」という父・留造の言葉を胸に大留再建を誓う。そこへ、身寄りのないヒロインのりつや、行き場を失った福祉施設の子供達が転がり込んできて〜
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