男性誌、女性誌、BLなどジャンルの垣根を超えた新形態のコミック雑誌『ヒバナ』、いよいよ3月6日に発売です。表紙&巻頭カラーの東村アキコさんをはじめ、ほかにもそうそうたる執筆陣で、発売前から注目されています。男性誌『ビッグコミックスピリッツ』の増刊でありながら、執筆陣の9割が女性という珍しい雑誌で、東村さんがマンガを描くに至った背景に迫りました。
★第1回はコチラ→ 【独占インタビュー】東村アキコの新境地…待望の新作は3/6創刊の『ヒバナ』にて連載決定!
Woman Insight編集部(以下、WI) 『ヒバナ』は青年誌レーベルから創刊されましたが、執筆陣といい登場するマンガのキャラクターといい、女性にとってもかなり気になる内容ですね。
東村アキコさん(以下、東) 女性作家中心となって作られた、初めての青年誌じゃないですかね。それって結構すごいことだと思います。青年誌の創刊号で表紙も女性作家っていうのも、結構えらいことですよ。
WI 女性誌で描く感覚とは、やっぱり違いますか?
東 女性誌だとどうしても、恋愛とか、女にとっての仕事とかがメインテーマになってきますよね。私も、読み手として女性誌に期待するのはそういうものだったりするし。「歴史もの」があったとしても、恋愛が中心になりますよね。男性誌とは、明確にその違いがある気がします。
WI 今回の新作『雪花の虎』は、要素として恋愛があったとしても、軸はそこではない、と。
東 『雪花の虎』は、本当にただの歴史マンガとして考えていたので、そうすると女性誌でやるのはちょっと違うな、と思っていたんです。そんなときに、ちょうど『ヒバナ』での新連載の話をいただきまして。とはいえ、まさか「上杉謙信女性説があるんですけど」っていう話をして、それがそのまま通るとは思わなかったですけど(笑)。
WI 東村さんといえば、週刊誌で何本も連載を抱えていらっしゃる、多忙なイメージがありました。でも最近は、ちょっとセーブされている感じですか?
東 私、週刊誌でマンガを10年くらいぶっ通しで描いてきたんです。今、10年ぶりに週刊誌の締め切りがない状態。だから、初めて目の前の作品にゆっくり時間をかけてる気がします。「時間をかけるとこういう感じで描けるのか」って、自分ごとながら驚いてます。
WI とはいえ、ご自分で、ずっと走り続けることを選ばれていたんですよね?
東 そうですね。私、とにかくマンガが下手だったんですよ。同業者に会うたびに、「まあすっごい下手だよね」と言われるくらい、業界的には伝説的に下手。大御所先生には「もはや下手すぎてうまい」っていう、よくわかんないお褒めの言葉をいただくほどでした(笑)。
WI 素人目には、本当に上手だと思いますが・・・・・・。
東 普通マンガって、好きな人は中学生くらいから描いているものなんです。私が初めてマンガを描いたのはOL1年目、社会人になってからだったから、人よりちょうど10年遅いんですね。その10年を取り戻さなきゃと思うと、私の単純な計算では、とりあえず年間1,000枚描かないといけなかった。