今年はいつもより早く猛暑モードに突入して、エアコンが手放せない日々。でも「どうやっても必要以上に冷えちゃう…」「外と中の寒暖差がしんどい」などなどお悩みも尽きませんよね。
そこで今回は正しいエアコンの使い方について、温熱にまつわる建築環境工学を専門とする、いわばエアコンや空調にまつわるプロ・摂南大学の宮本征一教授にうかがいました。
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Q.エアコンの寒さが苦手です。どう調整したらいいですか?
A.「風量」を強める、扇風機を使うなど「風」を有効利用しましょう
ご自宅など、自分でエアコンを調整できるときは、ただ「設定温度」を下げるだけでなく、「風量」を調整してみることをおすすめします。肌寒さが苦手な方は「温度をいつもより少々高め、風量を強め」にすると快適になることがあります。
また、扇風機などを併用し、「風」を取り入れることで、部屋の温度を下げすぎずに涼しく過ごすことができます。「涼しさは欲しいけれど、肌寒いのは苦手」という方は、エアコンの設定温度を30度くらいにして扇風機で空気を動かすと、爽やかさや涼しさを感じながら、変に冷えることはなくなります。
Q.「除湿」のほうが湿度が減って快適な気がしますが…どう使い分けるといいですか?
A.実は「冷房」モードでも自然と除湿されています。除湿モードのほうが電気代がかかるものもあるので、基本は「冷房」でOK。
日本の夏はだいたい湿度が60〜70%程度ありますが、エアコンを使うと「冷房」モードでも湿度は60%以下になります。
「温度を下げすぎなくても快適になりそう」という点から、女性は除湿を好む傾向にあります。ただ、10年前くらいの通常グレードのエアコンの場合、実は除湿モードのほうがエネルギーをたくさん使い、冷房モードより電気代がかかることがあることは要注意。とは言ってもどんどん技術は進んでおり、最新の上位グレードのエアコンの場合、冷房と除湿の消費電力はさほど変わりません。
「どのエアコンを使っているか」にもよりますが、「温度を高めに設定した冷房モード」が良いのではないかとおすすめしています。
Q.外は暑いけど、室内に入ると寒い! どう対処したらいいですか?
A.自分で空調を調整できない場合は、「着衣量」で調整しましょう。筋トレで耐性をつけるのも有効です
暑い寒いを何度も繰り返すと体調を崩してしまうので、外出するときや会社に羽織ものを持っていったり、足元にひざ掛けを置いたりと対策を。暑さ寒さを感じる上で強く影響するのは「首元」です。首まわりが詰まっている服の日は暑く感じますし、開いていると涼しく感じます。男性でいうとネクタイをする・しないで体感温度が変わります。そのため、首まわりで調整できるものを持っているといいですね。
また、女性は筋肉量が少なく、代謝量が少ないため、暑さ寒さに弱い方が多いです。ちなみに、筋トレをして体を鍛えると暑さ寒さへの耐性がつきます。そのため冷えに悩んでいる方は地道にトレーニングすることをおすすめしています。そして過度の食事制限など、筋肉が落ちてしまうようなダイエットはおすすめしません。
摂南大学 理工学部 宮本征一教授
建築環境工学・温熱環境を専門に研究している。