過剰に卑下する人の心理とは?
自分のことを必要以上にアピールし過ぎず、自慢げに振る舞わない精神は、日本においては謙遜という意味で尊ばれていますよね。でも、それがいき過ぎると、自己卑下として煙たがられる結果になってしまいます。そのように過剰に自分を卑下する人の深層心理とはどのようなものなのでしょうか。そこで今回は、「過剰に卑下する人の心理」をご紹介いたします。
■先に卑下することで自分を守ろうとしている
人には防衛機制という、自分を守るために無意識的に起こる心理的なメカニズムがあります。人間は、何らかの葛藤や痛みを感じると、そのような状況を避けて自分を守ろうとするためにディフェンス・メカニズムと呼ばれる心の動きを発動します。自分の悪い側面を他人から指摘されると傷つくため、他の人に何か言われるよりも先に自分から卑下することで、必要以上に自分が傷つくことを防ごうとしていると言えるのです。
■卑下することで共感をしてもらいたい
卑下する気持ちの背後には、依頼心が隠れていることがあります。自分はダメな人間なので、何もできないという自己否定の気持ちの裏側には、自分はこんなにダメだから助けて、という気持ちを、アピールしている可能性もあるのです。その場合、自分を主語に感情と状況を相手に伝えていることが多いと言えます。そうすることで、共感をしてもらい自分の依頼を通したいという心理があるのです。
■セルフハンディキャッピングで予防線を張っている
はじめから自分に期待をしていないような、自己卑下する言葉を使うことによって、上手くいかなかったときの精神的負担を減らそうとする心理傾向が、人にはあります。これを心理学では、セルフハンディキャッピングと言います。これは自分で自分にハンデを課すことで、精神的なショックを抑えようとするものです。具体的には、何かをやる前に言い訳や卑下の言葉をあらかじめ伝えることで、上手くいかなかった時の予防線を張っているのです。
■自己卑下は承認欲求と密接である
自己卑下は承認欲求とも密接です。周りから、あの人は謙虚でいい人だね、性格のいい人だなと思われたいがために、自分自身を少しだけ卑下することで、評価を高めて認めてもらいたいという欲求を隠している場合もあります。また、自分が努力したアクションに対して、相手の反応がない場合も、分かってほしい、認めてほしいといった心の欲求を満たすために自分を責めて、卑下することも少なくありません。要するに、自分を卑下してかまってもらいたいという気持ちを隠しているのです。
謙遜と卑下の違いとは一体どこにあるのでしょう。慎ましくあることは日本人の美徳としてポジティブに受け止められますが、へりくだり過ぎると、ネガティブなイメージに繋がります。それは褒められたときによく表れます。謙遜は「お陰さまです」と相手を立てる言い回しになるのに対し、卑下は「いえいえ、私なんて……」と自分を下げる物言いになるところが違いです。卑下しそうになったらグッとこらえて、感謝を示しましょう。そうすれば謙遜のできる人としていい印象を残せるはずですからね。(脇田尚揮)
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、現在テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出 書房新社)。