「えこひいきをする上司」への対処法
何かとストレスが多い「仕事」のシーン。
特に「上司」の問題については頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
好きになれない上司がいたり、怒る上司に困っていたり。人間だから好き嫌いがある程度あるのは仕方ないけれど、ものすごくえこひいきをする人がいたり……。
今回は読者の方から寄せられたお悩み「えこひいきをする上司が職場にいるときの対処法」について、「精神看護学」や「ポジティブ心理学」を専門とし、「セルフ・コンパッション」を研究テーマとしている東京医療保健大学の秋山美紀先生にうかがいました。
【今回のテーマ】えこひいきをする上司、どう対応したらいい?
Q.職場の上司が、とにかくえこひいきをする人です。しかも、いわゆる「デキる人」ではなく「かわいい女の子」か「ただただ飲みに付き合ってくれる部下」においしい思いをさせようとします。デキる人がえこひいきされている人たちの尻ぬぐいばかりさせられていて、見ていてイライラします。
自分もひいきされる側になればラクだと思うので、そっち側にいけるよう努力したほうがいいのでしょうか。それともそんな上司のことは気にせず仕事を進めたほうがいいのか……どう対処するのがベストなのでしょうか。
A.ゲームのように「いいところ」を探して、それをさらりと伝えてみる。
えこひいきをしているのを見るのは、いい気分ではありませんよね。もしもできるのだったら、あなたがおっしゃるように、気にせず仕事を進めるのがいいと思いますが、きっとそれがなかなかできないから悩んでいるのですよね。
おそらく、そのえこひいきをする上司は、自分に自信がないのだと思います。
だからこそ「自分より弱い立場のかわいい女の子」や「自分を称賛してくれて、飲みに付き合ってくれる部下」においしい思いをさせるのでしょう。威張ったりすることは自分の自信のなさの裏返しだと思い、少し上司をかわいそうな人だな、と思ってあげると、イライラはちょっぴり鎮まるかもしれません。
<ひいきする上司に対して>
「えこひいきする上司」にひいきされるように努力する必要は、ありません。
ただ、その上司だってひとつやふたつはいいところもあるでしょう。そんな素敵なところ(お世辞ではなく、心から素敵だと思うところであることが重要です)を探して、さらりとフィードバックしてあげてもいいかもしれません。どうしても見つからない場合は、上司の持ち物を褒めてあげましょう。
自分にとってはイヤな上司であったとしても、その人を頼りにしている人や、その人を愛している人がどこかにいるはずで、どこかいいところがあるはずです。「そんなこと言われても、いいところなんてない!」と頑なに決めつけるのではなく、ゲームのように探してみてもいいと思います。ゲームだと思うと、いいところがなさそうな人ほど、探し甲斐があります。そうすると、いつのまにか「イヤな人」から「ちょっと憎めない人」ぐらいに、あなたの中で格上げされているかもしれませんよ。
<ひいきされている人に対して>
「ひいきされている人」に対しても、あまりよい気持ちは持たないかもしれませんが、それは自然な気持ちですし、思うのは自由です。ひいきされている人に嫌みのひとつでも言ってやりたい、と思うでしょうが、それを言ってしまうと対立や分断を招くだけなのでご注意を。
だから、そういう人にこそ優しくしてあげましょう。中には、実はえこひいきを苦痛に思っている人もいると思います。日頃からその人たちに優しくして、いい先輩として見守り、ときにはそのひいきされている人に「これ手伝ってくれると助かる♪」と仕事を振ってあげて、あなたが尻ぬぐいをしている部分を手伝ってもらってもいいのではないでしょうか。そして手伝ってもらったら「ありがとう、おかげで助かったわ」と感謝の念を伝えて、相手の自己効力感(やればできるという気持ち)を高めてあげるとよいと思います。
東京医療保健大学 医療保健学部 准教授 秋山美紀先生
保健学博士、看護師、保健師
精神看護学・ポジティブ心理学を専門とし、「セルフ・コンパッション」を研究テーマとしている。