「中島健人さんが演じるからこそ、ただの設定では終わらない」話題の映画『ラブ≠コメディ』をレビュー!

しんのすけ@今月のMOVIEコレミトコ!

TikTokの映画レビューでバズりまくりのアニキ・しんのすけさんが読者にイチオシの映画をナビ☆

紹介してくれたのは…

しんのすけ 1988年、京都府生まれ。映画感想TikTokクリエイター。映像作家、株式会社MEW Creators代表。映画レビュージャンルを開拓し人気を集める。

Q. 好きな声優さんはいますか?

A.『超かぐや姫!』の酒寄彩葉を演じた永瀬アンナさんは、次の時代を背負う声優さんだと思います!


今月の映画は『ラブ≠コメディ』

STORY

数々の王道ラブコメで主演を務めてきたイケメン俳優・神崎麗司(中島健人)だが、ラブコメでなく重厚な社会派ドラマで評価を上げたいと願うようになる。しかし次のオファーも世間が彼に求めるキラキラしたイメージのラブコメ。理想と現実のギャップに苦しみながら向かった撮影現場だったが、そこで出会った共演者のアイドル・南風美里(長濱ねる)に心を動かされていく──。


人を元気にする仕事を、甘く見るな!

傑作! タイトルだけ見ると軽やかなラブコメに思えるのに、中身は「エンタメは誰のためにあるのか」を真正面から問う素晴らしい〝お仕事〟 映画でした。世間では重厚なドラマのほうが評価されがちで、ラブコメはどこか〝軽いもの〟として見られやすい。でも本当にそうなのか…この映画は、その偏見に立ち向かいながら、ラブコメというジャンルの存在意義を堂々と証明してみせます。

中島健人さん演じる神崎が抱えているのは、売れっ子俳優ならではの贅沢な悩み、ではありません。30歳になっても「イケメンだから」とキャスティングされ、芝居で勝負したいのに、顔やイメージばかりが先に消費されてしまう。そのもどかしさは、華やかな世界にいる人ほど切実です。そしてこの役を中島さんが演じるからこそ、ただの設定では終わらない。本作は、〝キラキラして見える人ほど、その役割に苦しんでいる〟という残酷でリアルな真実を、最初から突きつけてきます。

神崎が揺さぶられるのは、長濱ねるさん演じる現役アイドルのヒロインと向き合ったとき。最初は「アイドル風情が少し役者をやっているだけ」とみくびっている。けれど彼女は、読み合わせ時点ですでに完璧に台本を頭に入れ、しかも演技で圧倒してくる。その瞬間、神崎はナメていたのは自分自身だったと気づきます。ラブコメを軽く見ていたのも、アイドル俳優を軽んじていたのも、自分の思い込みだった。その痛みが、神崎を本当の意味で仕事に向き合わせていきます。

神崎がたどり着くのは、ラブコメだけが特別なのではなく、すべてのジャンルにちゃんと意味があるということ。考えさせられる作品もあれば、落ち込んだ心を軽くしてくれる作品もある。役割が違うだけで、どちらが上という話ではありません。それは、仕事もまったく同じ。目立つ仕事も、軽く見られがちな仕事も、誰かの毎日を支えているという点では同じ価値を持っている。この映画はラブコメを通して、仕事の尊さそのものを描いているのです。

そして何より、この映画を成立させている要因は、中島さんの存在。数々の出演作を観てきましたが、今作は間違いなくベストアクト。演技ができて、歌えて踊れて、顔がよくて…でも華やかさゆえにコンプレックスを抱えている。そんな複雑な役を、リアルな痛みとして演じられるのは彼しかいません。スター性を隠しきれない人が、そのスター性に苦しむ役を演じる。その説得力が、この映画を一段上の作品に押し上げています。

観終わる頃には、ラブコメを〝軽いジャンル〟なんてもう言えない。誰かの気持ちを上げること、明日を生きる元気を渡すこと、それも立派な仕事であり才能です。だから、すべてのジャンルに意味があり、すべての仕事に意味がある。中島さんが演じるからこそ、説得力がありました。エンタメは人を救う。ラブコメ万歳!

『ラブ≠コメディ』

配給:ストームレーベルズ/ライブ・ビューイング・ジャパン/7月3日公開
©2026Storm Labels Inc.
CanCam2026年8月号「CCC!」より
構成/田中絵理子 WEB構成/久保 葵