こちらは、人気芸人「ぼる塾」のメンバー4人によるリレーエッセイ連載。
241回目は、あんりさんのターン!
今回のあんりさんのエッセイは、「煌めき」がテーマ。インターネット検索から、ふと思い出した“母の味”。そこには、あんりさんの様々な気持ちや、弟さんとのエピソードがつまっていました。思い出のメニューのように味わい深いこのエッセイ、読めばあなたも煌めくような懐かしい味を思い出すかも♡ ぜひ最後までじっくりお楽しみください!
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「私が春に思い出すのは、母が作ってくれたそら豆と海老の何か!」by 田辺さん
皆さまは、自分の“ネットの検索履歴”を確認したことがありますか?
私はよくします。
今、私の検索履歴には『煌めき 意味』という文字がある。
ただ調べただけなのに、それがなんだか誇らしい。
「煌めき(きらめき)」は、まばゆいほどにきらきらと光り輝く様子、またはその光そのものを意味する言葉。物理的な輝きだけでなく、華やかで目立つ様子や、瞳の輝きなどにも使われ、希望や美しさを表現する際によく用いられる表現。
私が煌めきを感じるもの。
例えば、純白のウェディングドレスとか、占い師の方がつけていそうな大きな石がついた指輪とか、子供の頃にワイドショーで観たヨン様の来日映像とか。
思い浮かぶものはたくさんあるけど、私が絶対的に煌めきを感じるものは、もっと身近にあって、確実なもの。
“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”。
くしゃみが出始めて今年の春を感じ、なんとなくあのメニューを思い出した。
頭に浮かんだそれは、物凄く輝きを放っていて、「煌めきってこういうものに対して使うんじゃないか」と思った。
それで、ネットで煌めきの意味を検索した。
お母さんが作る料理で好きなものは、他にもたくさんある。
からあげ、にんじんのかき揚げ、海老グラタン、思い出すとキリがないくらいある。
でも、“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”は特別。
そう、煌めいているのだ。
春キャベツの時期だけというのが、ポイントなのか。
ほとんどの人間が弱いとされている“期間限定”というシステム。
マクドナルドでチキンタツタが期間限定メニューに入る時期、私はそればっかり食べる。
でも、チキンタツタが定番になったら、きっといつも通りフィレオフィッシュかビッグマックを食べるだろう。
“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”も、夏や秋や冬に思い出したことはない。
気候が暖かくなり、春の訪れを感じると、いつも思い出して食べたくなる。
花粉症と一緒に「久しぶり!」と、毎年食べたい気持ちに再会する。
会うと、色々なメニューを作ってくれるそう。
そして、ロールキャベツというメニューは私の大好物には入っていなくて、お店でロールキャベツを注文したことは、実は一度もない。
私はロールキャベツが好きなわけではない。
“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”が好きなのだ。
胡椒が効いた牛挽肉と玉ねぎのタネを、柔らかくて甘い春キャベツが包む。
スープの味付けは和風で、トマトソースもお皿の端に添えられている。
和風スープにトマトソースを溶け込ませながら、食べるロールキャベツ。
それが、“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”だ。
頭に浮かぶ、煌めくそのロールキャベツの映像。
その映像に、ある音が乗っかる。
幼い頃に聞いた、お母さんの声。
母「ママがロールキャベツを作るのは、春キャベツの時期だけ!! それ絶対だから!!」
夕飯が、“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”のときは、「いただきます」をする前に毎回言われた気がする。
その言葉が味付けの仕上げかのように。
おかげでいつもの「いただきます」より、合わせる手の強さや音も大きくなった。
隣で一緒に両手を合わせて「いただきます」をしていた弟は、もしかしたら私よりも“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”を愛しているかもしれない。
4月生まれの弟は、誕生日当日の夕飯のリクエストをよく“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”にしていた。
10月の誕生日に海老グラタンとからあげというリクエストをしている姉としては、そんな弟に余裕を感じて、少し気に食わなかった。
器の小さい姉だと思われても仕方ない。
だけど、想像してしまうのだ。
友達と遊んでいて、誰かが「みんなは自分の誕生日に親にどんな夕飯をリクエストしてる?」って話題を振ってきたとする。
私「からあげと海老グラタン!」
友達は、「いいね! 最高!」と言ってくれるだろう。
でも、話は大して盛り上がらない。
弟「お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ!」
きっと友達は、「何それ!?」と目を輝かせ、たくさん質問するはずだ。
それこそ、瞳を煌めかせて。
そんな思い出が実際にあるかのように感じて、想像しただけで嫌な気持ちになる。
盛り上がる話の中心に毎回自分がいたいわけではない、ただ弟に取られるのがすごく嫌なのだ。
勝手な想像で自分の器の小ささを改めて自覚して、久しぶりに弟にLINEをした。
私「ママが作る料理で一番好きなメニューって春キャベツのロールキャベツ?」
急な姉からのLINEに弟は秒で返信してきた。
弟「うん」
「なんで?」と聞いてこないあたり、やっぱり余裕を感じる。
余裕のない姉は、聞かれてもないのに言う。
私「今、仕事でロールキャベツについて文章を書いている!」
我ながらどんな仕事だよ、と突っ込みたくなる。
弟「なるほど」
納得なのかよ。
弟にとっても、“お母さんが春キャベツの時期だけ作ってくれるロールキャベツ”は煌めきなのだろうか。
それを聞く勇気が、姉にはまだない。
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