【ダイエット講師・松田リエさん監修】ダイエット本から学ぶ「太る原因」とそのメカニズム
「食欲のコントロールができない」「ダメだとわかっていても食べてしまう」「何度もリバウンドを繰り返す」…このような理由でダイエットに失敗してしまった人は、きっと多いはず。思うようにやせられないなら、まずは「太る原因」を知ることが大切です!
ここでは、看護師、保健師をへて2016年からダイエット指導の活動をはじめ、のべ3,000人以上の食事指導をしてきた松田リエさんの書籍『食べるほど人生が変わるずぼらダイエット 瞬食マインドで自分嫌いを卒業』(小学館)より、「太る原因とそのメカニズム」について一部抜粋してご紹介します。
Contents
やせられない人は「何かしらの悩み」を抱えていている人が多い
著者でありダイエット講師の松田リエさんは、「ダイエット教室の生徒さんと話すと、みなさん何かしら一見ダイエットとは関係なさそうな悩みを抱えている」といいます。
たとえば…
「夫婦関係がうまくいかなくて、けんかのあとはついヤケ食いしてしまうんです」
「何か満たされなくて、その反動か子どもにどなってしまいます」
「どうせ私は太っててダサくて…って開き直っちゃうんです」
など。家族のことで悩んでいる人もいれば、劣等感でいっぱいだったり、自分が嫌いだったりする人も。
体と心はつながっているため、ダイエットがうまくいっていないと心が落ち込み、そのストレスが過食へと向かい、ますます太る条件が揃ってしまう。つまり、間違ったダイエットで失敗して「自己否定マインド」になるほど、やせにくい体のメカニズムができあがってしまうのです。
◆いくつ当てはまる?太りやすさを招く「自己否定マインド」チェックリスト
- ストレスでドカ食いしてしまう
- 自分の容姿に自信がない。もしくは好きではない
- 他人と比べて、自分が劣っていると落ち込むことがある
- 対人関係が苦手で、あまりうまくいかない
- 家族や親しい友人に、イライラしてつい当たってしまう
- 疲れたときやイヤなことがあったときは、甘いものを食べて自分をなぐさめる
- 本当に自分が着たい服と、実際に着こなせる服は違う
- もう少し自分の容姿が良ければ、違う人生が送れていたと思う
- 物事に積極的になれない
- 自分のことが嫌い。あるいは自分の性格を変えたい
項目のうち1つでも思い当たれば、すでに太りやすい傾向に。3つ以上あれば要注意。
ダイエットで「食事制限」をするのはNG!
本書中で、太りやすくなる原因として次の3つのことが挙げられています。
【1】 ストレスのかかった脳や体は、食べ物というご褒美を欲しがる。
【2】 必要な栄養をとらないと、体の機能が落ちてますます太りやすい体になる。
【3】 空腹になってからドカンと大食いすると、規則正しく3食食べるより太りやすい。
一般的にダイエットというと、食べたいものをガマンして、食べてもいいと許された食材だけを薄味で少量食べるという「食事制限」をイメージしがちですよね。でも、食事制限は太りやすくて不健康な体を作るだけ。今すぐやめましょう。
松田リエさん自身も、学生時代に極端な食事制限をしてストレス太りを経験したそう。1年も経たないうちに10㎏リバウンドしたり、「2㎏減らしては3㎏太る」を繰り返したり…食欲がコントロール不能になってしまったといいます。
太りやすくなる5大要因
ダイエット成功への近道は、太る理由=栄養と体のメカニズムを知ること! 次に「肥満を招く5大要因」をお伝えしていきます。
太る原因①:基礎代謝の低下
◆基礎代謝を上げる食べ物は…たんぱく質
やせる人とやせない人の大きな違いは「基礎代謝(食べたものが体の材料やエネルギー源へと変換されること)」にあると言えます。おなかに脂肪が溜まるのは、代謝がうまくいってない証拠。
そんな基礎代謝を上げるために、とくに有効な栄養素が「たんぱく質」です。人は食べたものを消化して代謝するときに、体の中で熱が生まれエネルギーとなります。たんぱく質は食べたものの30%が熱として燃えますが、糖質だとたった6%、脂質だと4%。つまり、積極的にたんぱく質をとって代謝を高めることが大事なのです。
たんぱく質は筋肉のもととなる栄養素で、その筋肉も基礎代謝の20%を担う重要なもの。間違ったダイエットで体重を落とした場合、代謝を促す筋肉も落ちてしまうので要注意!
太る原因②:基栄養のバランス不足
◆アミノ酸・ビタミン・ミネラルが揃わないと、食べたものは燃焼しない
基礎代謝を上げるには、代謝活動を活発にする栄養素をとる必要があります。それが次の3つ。
【アミノ酸】エネルギー燃焼に重要なたんぱく質を作る
代謝を上げる鍵は、体の中で作ることができず食べ物で補う必要があるアミノ酸9種(=必須アミノ酸)をバランスよくとること。動物性の肉・魚・卵、乳製品、大豆といったたんぱく質食材は、必須アミノ酸をバランスよく含む代表選手なので積極的に食べて。
【ビタミン】やせ効果アップのお助け栄養素
ビタミンの働きはよく“車のエンジンオイル”に例えられます。炭水化物とたんぱく質を燃やしてエネルギーにするには、ビタミンの力が不可欠! ビタミンにはA・B群・C・Eといった種類がありますが、とくにダイエット効果が高いのは「ビタミンB群」。毎日ちょい足しするとやせ効果がアップするのでおすすめ。
・ビタミンB1…糖質の代謝に(魚介類、豚肉、乳製品、豆腐、玄米など)
・ビタミンB2…脂質の代謝に(乳製品、わかめ、卵、さば、さんま、納豆など)
【ミネラル】体の機能を正常にしてくれる
ミネラルも必須アミノ酸と同様に体から作り出すことが難しいため、食事で摂取したい栄養素。現代人はとりわけ亜鉛やマグネシウムなどのミネラルが慢性的に不足しがちですが、バランスのいい食事をしていれば不足することはありません。
・マグネシウム…便をやわらかくする。筋肉のコリをほぐす。(海藻類、煮干し、豆類)
太る原因③:貧血・隠れ貧血
◆美しくやせたいなら、血液を元気に!
日本人女性の多くが自覚のない隠れ貧血に陥っています。全身を巡る血液が酸素&栄養不足になってしまうと、さまざまな不調が出てしまうのは想像できるはず。貧血の場合、日頃から立ちくらみやめまい、息切れや疲れやすいなどの症状が出やすいのはよく知られていますが、次のような自覚症状がある人も要注意。
- 手足が冷える
- 顔色が悪い
- 慢性的な頭痛がある、肩や首のコリがひどい
- 食欲がない、朝食が食べられない
- 肌荒れしやすくなった
- 唇の端が切れやすくなった
- 爪が変形したり、もろく欠けやすくなった
- 抜け毛や、髪のパサつきが気になる
- シワやたるみが目立つ etc.
また、甘いもの+冷たいもの(=アイスクリームなど)を無性に食べたくなるのも、鉄分不足のサインのひとつです。
貧血改善のために鉄分をとることは大切ですが、鉄分の多い食品をわざわざ暗記する必要はありません。肉や魚、豆類などたんぱく質の多い食品を食べていれば鉄分もとれるので、毎食手のひら1枚分のたんぱく質食材をとるよう意識すれば、鉄分補給としても充分。
太る原因④:糖質のとり過ぎ
◆体重コントロールに苦労している人は、糖質をとり過ぎている
糖質が多い食品の代表選手は、白米や小麦粉、砂糖など。ごはん多めの丼ものや、菓子パンだけで食事をすませる人もいますよね。糖質の比率ばかり高く、たんぱく質やビタミン・ミネラルといったエネルギー変換のサポート役が不足していると…エネルギーとして使われない糖が体の中で交通渋滞を起こし、脂肪へと変わっていってしまいます。また糖質過多は血糖値が乱高下して、体にもメンタルにも悪いので注意。
ごはんなら1食につき「握りこぶし1個分(茶碗に軽く1杯)」がおすすめ。デザートで糖質が多いフルーツを食べるときも、握りこぶしより多くならない量を目安にしましょう。
・糖質少なめフルーツ…ベリー類、なし、グレープフルーツ
※フルーツはミネラルやビタミンも豊富なので、食べ過ぎに気をつければ避ける必要はありません。
太る原因⑤:腸内環境の乱れ
◆腸の汚れはダイエットの大敵
腸には、体内で役割を終えた不要なものを“捨てる(排出する)”機能がありながら、ダイエットに役立つ栄養素や物質を“生み出す”働きも備わっています。そして腸が整うことによって、次のような嬉しいメリットも!
・メンタルが強くなる…空腹感によるイライラ、ストレスによる過食が減る
・食欲の暴走が起こりにくくなる…幸せホルモン「セロトニン」は腸にも存在し、心を落ち着ける役割がある
・体に必要な栄養素を生み出す力が高まる…代謝アップに欠かせないビタミンB群を生み出す細菌が活発に
・便通が改善する
栄養バランスのとれた食事を1日3回とっていれば腸内環境は整います。パンやお菓子だけで一食を済ませてしまったり、便意があるのに我慢することが多い人は、腸の健康度が悪くなりがちなので気をつけて。
太る原因とメカニズムの続きや、詳しいダイエット方法が気になる方は書籍も合わせてチェックしてみてくださいね。
看護師・保健師・ダイエット講師。Belle Life Style協会代表理事。看護師としてがん患者のケアを担当後、保健師として成人の健康教育、メタボリックシンドロームや糖尿病患者への保健指導を経験。自身も食事改善を行い、運動をせず自然に12kgのダイエットに成功。その経験から食べやせダイエット専門講師として起業し、誰でもすぐに取り入れられる食事メソッドを発信。YouTubeチャンネル登録者数は12万人を超え、Amebaダイエットブログなど、SNSでも活躍中。著書『ずぼら瞬食ダイエット』(小学館)、『やせ調味料ダイエット』(マガジンハウス)など数々のヒット本も生み出している。Instagram:matsuda_rie8