『連載 今日も猫に飼われてます。』第295回 トラちゃん、はじめての点滴。
我が家の暴君(愛猫)トラちゃんの日常を、猫の言いなり飼い主が身勝手に発信するこの企画。忘れもしない、ファイターズの新球場エスコンフィールドでの開幕に浮かれていた翌日のこと。あんなに食べ物にうるさかったトラちゃんが、ごはんを食べなくなる事件が発生しました。これは、ごはんを食べてほしい飼い主vsごはんを食べない猫の、1週間の記録です。
1日目:ごはんが減ってない…?
事の発端は、トラちゃんから人の小指サイズの毛玉が吐き出されたこと。3か月〜半年に1度くらいのスパンで毛玉を吐いているため、「いつもよりチビっこいサイズだな」くらいにしか思っていませんでした。その夜、ごはんを食べた形跡はあるものの、量が減ってないことに気づくのです。
2日目:やはり食べていなかった
何事もなかったかのように食べ始めるかも…という期待も虚しく、一切ごはんを食べる気配を見せなくなってしまったトラちゃん。それどころか、白い泡のような胃液を吐いてしまいました。その後、ちゅ〜るで食欲を取り戻して欲しい!と思い用意したところ、ちゅ〜るを見たとたんに止まらなくなる嗚咽。そしてまた嘔吐。病院行き決定です。
病院に連れていくのが遅くなってはダメ、でも病院がストレスで余計に食べなくなったらどうしよう…という葛藤がありました。が、トラちゃんが珍しく飼い主にベッタリ甘えきたので、これは異常事態だ!と病院行きを後押しされました。
3日目:いざ病院!
やはり飲まず食わずのトラちゃん。病院へ行く前に、症状を正確に伝えられるよう「ご飯を食べたか」「水を飲んだか」「嘔吐はしたか」「便は出たか」の記録をつけ、表にまとめて病院へ。これは症状が落ち着いた今でも、変化を見逃さないのに便利で続けています。病院で、まずは体温を測ってくれている先生をシャー!と威嚇したトラちゃん。マスクの下で、ちょっと笑ってしまう飼い主。
そして、エコーなどで調べた結果は異常なし!
「毛玉を吐いた感覚の名残がある可能性があります」という聞き慣れない診察結果の後、嘔吐抑制など注射を2本打ってもらいました。そして、水を飲まず、ごはんも食べずのため、点滴をすることに。
猫の点滴を初めて見たのですが、方法は皮膚と筋肉の間へ点滴を流し入れる「皮下点滴」。猫の場合なのか、一気に流しこみ、体内で徐々に浸透させていくそう。説明を受け、噛み砕いた結果「つまりラクダみたいなことか」と解釈。ラクダのようにコブはできないものの、まるでシャンプーを詰め替えるかのように一気に注入されていく点滴に、ただただ頑張れトラちゃん!と祈るばかり。ただ、体温を測るとき以外は平然としていました。
帰宅後は、すごく怒っていました。背中に点滴が入っている状態で睨まれました。ちなみに病院へ行く前、とんでもない治療費になるのでは…と思っていましたが、検査や注射なども含めて1万円しないくらいでした。
4日目:だが食べない!
病院に行き、すっかり安心モードに入っていた飼い主でしたが、相変わらずトラちゃんはごはんを食べません。
いつもと同じ時間にちゅ〜るを出しては、食べないの繰り返し。食べたい気持ちはあるようで、夜な夜なキッチンでちゅ〜るを待つトラちゃんを目撃。
5日目:水を飲み始める
水すら飲んでいる気配のなかったトラちゃんが、しれっと水を飲み始めました! ホッとした反面、やはりごはんは食べず。さらに詳しく検査してもらわないとダメかもしれない…と、再び病院へ行こうと決意。
6日目:ごはん、ちょっと食べる
ついに、トラちゃんがごはんを食べました! でも、カリカリ3粒食べた…?くらいの量。せっかく食べ始めたのに、病院へ行くべきか頭をかかえる飼い主。獣医さんに電話で相談したところ「ストレスにならないか心配ですよね。お腹に良いごはんをお渡しするので、それで少し様子を見ましょうか」ということに。
先生に「ぐったりしていますか?」と聞かれたときの答えが一番悩ましかったです。写真を振り返っても、ぐったりというよりゴロゴロしているように見える…症状が見抜けません。
7日目:これまでを取り戻すかのように食べる
変わらず飼い主にベタベタで、目の膜を見せつけてくるトラちゃん。そしてこの日、ついに! 好物だけどトラちゃんの体質に合っていないかも…と半年ほど食べるのをストップしていたごはんを出してみたところ、むさぼるように食べ始めました。あっけに取られる飼い主。このときから、以前と同じ食欲を取り戻しました。
「ごはんを食べない!」という症状がある猫ちゃんの役に立ったら良いなと思って記録を書いたのですが、原因が本当に毛玉の吐き名残なのか、改善した理由が何だったのかが不明です…。ちなみに、ごはんを食べ始めるきっかけとなった、トラちゃんの体質に合っていないであろうごはんは再び封印しています。
毛玉を吐きやすいようにと急いで育てた猫草も、今では日よけのように使われています。この猫草を見るたび、飼い主はニラを食べたい衝動に駆られます。
ただ今回「いつもと違う」と感じたら、いつ何をして何をしていないか、の記録をつけておく。それをもとに、まずは獣医さんに相談しようと学びました。そして何より、猫の点滴に衝撃を受けた出来事でした。