お正月に向けて飾り付ける、鏡もち。でも、「いつ飾るべきなのか」「どう飾ればいいのか」「そもそもなぜあの形なのか」などなど……鏡もちのこと、ご存じですか?
平安時代から存在した鏡もちですが、現在のように供えられるようになったのは、床の間ができた室町時代から。
そもそも“鏡もち”と呼ばれている理由は、昔の鏡の形に似ていることが由来しています。当時の鏡は青銅製の丸型で、神事などに用いられるものでした。ちなみに上にのっている橙(みかんで代用する場合もある)を玉、串柿(干柿を串に刺したものを乗せる場合がある)を剣とし、その3つで三種の神器に見立てているのです。
◆飾り方
地方によって差はありますが、今回は一般的な飾り方をご紹介します。
1. 三方(さんぽう)と呼ばれる台を用意する
2. 三方の上に、四方紅(しほうべに)と呼ばれる紅白の紙をのせる
3. 2の上に、裏白と呼ばれるシダ科の葉を2枚、ハの字になるようにのせる
4. 裏白の上に大小ふたつの平たいもちをのせる
5. もちの上に御幣(ごへい)と呼ばれる紅白の紙がつらなったものを左右に1枚ずつ垂らす
6. 一番上に橙をのせる
※のせる順番が一部異なったり、のせるものが増えたり減ったりすることがあります。家や地方によって多少の差があります。
◆飾る場所
メインの大きな鏡もちを飾る場所は、一般的には床の間とされています。床の間がない場合は、玄関から遠い奥まった場所が適しているとされています。
また、小さな鏡もちを、生活するうえでの大切な場所に供えるという場合もあります。たとえば神棚や仏壇、そして水回りやお手洗い、場合によってはお客様を迎える玄関、学生がいる場合は勉強机など……家族や自身が大切と思う場所に供えるのが一番です。
◆飾るタイミング
鏡もちを飾り始めるのは、早いと何か問題があるというわけではありませんが、12月28日は「八」が末広がりで縁起が良いとされています。地域によっては、大安に合わせて供える場合もあるようです。
ちなみに、12月29日は「九」が苦しむという意味につながるので避けられ、(地方によっては「29」=「ふく」としてこの日にする場合もある)、12月31日に飾るのは直前のため「誠意に欠ける」「葬儀の飾り方を連想する」として“一夜餅”と呼ばれ、避けられています。
また、12月30日はキリが良いものの、旧暦の場合は31日がそもそも存在しません。そのため、一夜餅扱いになってしまい避けられる……といった、NGな理由がそれぞれにあります。
というわけで、12月28日に飾るのがもっとも良いタイミングと言えるでしょう。
◆鏡開き
飾り終えたらもちを食べるタイミングが来ますが、それはいつでしょうか。一般的には、年神へのお供えが松の内(正月の松飾りを立てておく期間)に終わった後の、1月11日とされています。
元々は松の内が終わる小正月(1月15日(旧暦))後の1月20日(旧暦)におこなわれていましたが、徳川家光が4月20日(旧暦)に亡くなったことで1月20日は忌日として避けられるようになり、1月11日となったのです。
松の内が1月15日の地方では、1月20日(二十日正月、正月終わりの節目とする地域がある)とする場合もあるようです。
それぞれざっくりではありますが、鏡もちのことを知ることができたのではないでしょうか。飾り方に関しては地方差があったり、最近はスーパーなどでプラスチックのパッケージタイプなどが売られているので、あくまで参考程度としてください。
1年間に感謝をし、新しい年を縁起の良いものにするために、ぜひ飾ってみてはいかがでしょうか。(鈴木 梢)
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