管理栄養士に聞いた!美味しく食べながらストレスフリーにダイエットをするコツ

「今度こそやせるぞ!」と意気込んでも、最初の数日は頑張れるもののなかなか続かないのがダイエット。「食事に気をつけなきゃ、運動をしなきゃ…」と頭では分かっているけれど「でもやっぱり食べたい!」「今は暑いし運動面倒だな…」と、いつのまにか三日坊主になってしまうことも多いですよね。

そこで今回は、「美味しく食べながらもストレスフリーにダイエットするコツ」を、マツモトキヨシホールディングスの管理栄養士・松下香月さんに教えていただきました。
美味しく食べながら理想のボディラインを叶えましょ♡

【1】 「制限をする」という発想はストップ!

ダイエットは「ストレスがたまらなくて、継続できること」が重要です。

ダイエットといえば「食事制限をしなければいけないもの」というイメージがありますが、まずこの「制限」という発想は要注意「ごはんもおやつも食べていいけれど、しっかりコントロールする」という発想に変えていきましょう。

もちろん毎日のように食べ過ぎてしまうのは良くありませんが、あまりになんでもかんでも「これはダメ」と思っていると、それ自体がストレスになってしまいます。さらに極度の制限や、食事制限のみのダイエットはリバウンドにつながるため、結局のところ食事+適度な運動+適度な睡眠が重要です。
リバウンドをしてしまうと次にダイエットしたいときにやせづらくなります。

*Column
脂肪燃焼が始まるのは、運動開始してから約20分経過してからと言われています。継続することが重要なので、毎日20〜30分程度のウォーキングなど、負荷があまりかからないものから運動を取り入れてみて。
また、寝ている間に脂肪は燃焼するため、目安として6時間以上は睡眠を確保しましょう。

【2】2〜3日で調整すればOK!

コントロールの例としてもっともわかりやすいのは「食べたいものがあるなら食べて、運動をして、次の日は控えめにする」こと。

松下さん「どうしても忙しくてインスタント食品ばかりになる日や、ジャンクフードが食べたい日。今はさほど機会がないかもしれませんが、飲み会や外食で食べすぎる日は誰にだってあると思います。でも、体脂肪は2〜3日で蓄積されるため『今日はたくさん食べたから、明日は控えよう』と2〜3日スパンで考えて調整していけば間に合います」。

ただ、人によって体質は違いますし、年齢が上がるにつれて基礎代謝が落ちるので、できれば「1日の中で調整」など、より早めにコントロールできるとベスト。「ランチをしっかり食べたなら夜を控える」「夜にたくさん食べそうな用事があるなら朝昼は野菜中心であっさりと控えめに」などで調整していきましょう。

松下さん「食べすぎた翌日は、食べすぎた栄養素を控えめに。たとえば焼肉の日は脂質・タンパク質・塩分を取りすぎていることが多いので、それらを控えて野菜を多めに食べるのがおすすめです」。

ただ「夜ごはんの時間」には要注意。食べ終わってすぐに寝ると脂肪に変わりやすいので、寝る前の4時間前に食べ終え、消化してから寝ましょう。どうしてもお腹がすいて眠れないときは、ナッツやさつまいもなど「GI値の低いもの」を少しだけいただきましょう。

【3】過度なダイエットはNG

一般的には1か月5㎏以上やせるのは良くないとされています。体が飢餓状態になるので、逆に身体が入ってきた栄養を蓄えようとし、リバウンドに繋がってしまうこともあります。
また最近では「糖質オフダイエット」も流行っていますが、糖質を全カットしてしまうことも体の飢餓状態につながります。特に「ブドウ糖」は日々の生活に必須で、不足するとやる気が起きなかったり、頭が回らなかったりします。短期的にやせたとしても長い目で見て、綺麗な状態を保てないのでやめましょう。

【4】偏らない、バランスのいい食事

食事はPFCバランス(たんぱく質・脂質・炭水化物)が大事です。

糖質を控える「ロカボ」の考え方を取り入れると、

P(たんぱく質)30%
F(脂質)40%
C(炭水化物)30%

の割合が現実的な目標としておすすめ。糖質を減らしたぶん、自然とたんぱく質と脂質が増えます。脂質は魚油やオリーブオイル、ごま油など良質な油を摂るように意識しましょう。

※糖質を最小限にする(1日50g未満)ケトジェニックダイエットP15~30%:F60~75%:C5~10%を目安にするという考え方もありますが、これは短期間で行わなければならず、危険も伴うので、専門知識がない・専属トレーナーがついていない一般女性にはおすすめしません。過度な糖質制限により、身体的にも精神的にも負担が大きくなります。
*Column
※食・楽・健康協会(ロカボ)は1日の糖質70g~130gを推奨し、それ以外のカロリー・脂質・たんぱく質などに制限はない、という考え方です。つまり280kcal~520kcalが糖質。
18~64歳女性の平均的な一日分の摂取カロリー(日本人の食事摂取基準2020、身体活動レベル低い、女性より)は1700kcalですので、1700kcalのうち糖質が占める割合は16~30%という計算になります。

※厚生労働省で定めている日本人の食事摂取基準では、たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%程度。この割合を見かけることが多いと思いますが、これは主に生活習慣病の予防を目的とした数値。ダイエットを目的とする場合は、上記のように炭水化物(糖質)の割合を減らすのがおすすめです。

 

▼たんぱく質

肉や魚、卵、大豆などに含まれており、体を作る材料になる重要な栄養素。意識的にしっかりと食べましょう。
ただし「たんぱく質は摂れば摂るほどいい」という風潮がありますが、もちろんあまりに度を越して食べすぎると過剰摂取になり、それはそれで脂肪となり体に蓄えられ、太ってしまうことはあります。

▼脂質

先ほどもお伝えした通り、脂質は魚やオリーブオイル、ごま油などの良質な油を取り入れるのがおすすめ。サラダオイルやマーガリン、ショートニングなどの人工的な油はなるべく控えましょう。
脂質は必要以上に制限してしまうとお肌の潤いもなくなるので、ある程度は必要になります。

▼炭水化物(糖質)

糖質は「制限し、食べない」のではなく「お茶碗一杯のごはんは食べる」など「適正な糖質を少し食べるなど、適正にコントロールする」という発想に変えましょう。
野菜でも、かぼちゃやジャガイモなど糖質が多い野菜を食べる際はごはんの量を減らすなどの調整を。また見逃しがちなのが「飲み物」。炭酸飲料など、砂糖がたくさん入っているものは控えるようにしましょう。

▼ビタミン

糖質コントロールをするとビタミンB1やB2、B6が不足しがちなので、意識的に摂取を。栄養ドリンクにも多く含まれる、体を作ってくれる栄養素。不足すると疲れやすくなったり、肌の潤いがなくなりがちです。

B1:大豆、豚肉など。糖質の代謝にも役立ちます。
B2:うなぎ、卵、納豆、牛乳など。脂質の代謝に役立ちます。
B6:バナナ、鶏肉、ごまなど。たんぱく質の代謝に役立ちます。

▼夏のダイエットで気を付けること

松下さん「夏は冷房で体が冷えたり、冷たいものを飲食したりして、代謝が下がりがち。トマトや茄子などの栄養豊富な旬の夏野菜を食べるのはもちろんですが、そこに生姜やにんにく、玉ねぎなど、体をあたためる野菜を意識的に食べましょう。
特に夏バテぎみになると「そうめんだけ」「うどんだけ」など、冷たい一品料理のみになり、栄養バランスが偏りがち。薬味で野菜を足したり他のおかずをプラスするなど、バランスの良い食事を心がけてみてください」。

【5】自分に合ったダイエット法を見つける

繰り返しますが、ダイエットは「継続」が重要です。「自分はこれだったら続く」というものをどう探せるか。そのためには自分に合った「抜け道」を持ちましょう。

例えば「どうしてもごはんが食べたい、これをやめるダイエットはやってみたけれどストレスで続かない」という方がいるとします。それでもダイエットをしたい場合は、

・毎食食べるけど、少しずつ量を減らす
・すべて白米だと糖質の量が上がるので、半分を玄米にする
・朝昼はしっかり食べるけど、夜は量を減らす
・しっかり食べる日と少なめに食べる日を交互に作る

など、どの工夫がよりストレスフリーに続くかは、人によって異なります。いろいろ試してみて、より継続できるものを選びましょう。

【6】おやつを有効利用する

「おやつは食べない」というダイエット法もありますが、間食を、足りない栄養素を補う「捕食」として考えると、よりストレスフリーにダイエットができるはずです。ダイエット中なら、果物やヨーグルトなど、食事で不足しがちな食物繊維やビタミン、乳製品を補えるおやつがおすすめです。
また糖質は蓄積されると脂肪になるので、間食で摂る糖質は1日10g程度に抑えるようにしましょう。GI値が低いもの(干し芋、ナッツ類、カカオ含入量の高いチョコレート等)は、インスリンの分泌を抑え糖質をコントロールできるのでギルトフリーなおやつにつながります。

ちなみに、松下さんが開発にも携わった、マツキヨのプライベートブランド「ロカボおやつ」は、「理想のダイエットおやつ」を目標に掲げ「普通に美味しくて、糖質を10gに抑えつつ、1袋に1日分の食物繊維(水溶性)が入っている」ものを意識して作り上げたそう。
我慢のし過ぎは、リバウンドの元。長い目で見て綺麗な状態を保つために、食べる量や食べる内容をコントロールしたり、最適な運動や睡眠をとったりと、ほんの少し気を付けることを毎日継続させることが大切です。

 

取材協力/マツモトキヨシホールディングス
構成/齋藤有紗・後藤香織