日本人の心、きもの。しかし、洋服では様々なお洒落を経験してきた方でも、いざきものとなると、正しく着こなすことが難しいものです。ここでは『和樂』11月号に掲載されている、着物研究家・森田空美さんによる「きものスタイルを輝かせるための5つの鉄則」をご紹介します。
(『和樂』2013年11月号P.94~「大人のきもの着こなし新ルール」より)
【1】きものを着たいシーンをまず3つ考える。
きものは、気に入って買っても、なかなか着る機会が見つけられなかったりもします。その原因は、着ていく場所と買ったきものが合致していないから。まず、きものを選ぶ前に、当面着ていきたいと思う場所を3つ想像してみましょう。観劇、同窓会、会食、パーティ、ランチ、ショッピング、美術館、お稽古、旅行……。場面をイメージすると、買うべききものが絞られてきます。
【2】TPOを考え、装いをつくり上げる。
きものの装いは、さまざまな条件の集積でつくり上げるものです。季節、時間帯、装う空間のインテリア、自分の置かれた立場など。場にふさわしい装いを考えてまとうと、素敵になれます。
【3】奥義は、今、そして未来も着られる一枚を選ぶこと。
数を持つよりも、自信を持って一生付き合える一枚を、確実に選ぶことが大切です。適当なもので妥協すると、飽きもきやすいものです。手に入れたものが、将来的に愛着のある一枚に育っていくかどうかを見極めることが、質も着まわし力も高いワードローブを作る奥義です。
【4】大人こそ似合う、上質な質感を選ぶべき。
洋服感覚で着こなしたいとベーシックカラーを選ぶのはいいのですが、質感が伴わないと、ただの地味な装いになってしまう危険性が。糸づくりからこだわって、着心地・締め心地がよく、着る人を引き立てるものかどうかを見極め、大人の女性の成熟を魅力的に映し出してくれる上質な素材感のものを選びましょう。
【5】小物への投資を惜しまない。
高価・高級だから必ずしも良い、ということではありません。全体のバランスが整っていることが、完成度の高い仕上がりへの近道です。帯揚げ、帯締めの色や素材、バッグや草履の質感やバランスまで目を行き届かせ、身に付けた姿で100%になるスタイルこそ、大人を輝かせます。
いかがでしょうか? 美しく着こなすためにはどれも是非おさえておきたいポイントです。急がば回れの精神で、長い年月をかけてきものを楽しんでいきましょう。(後藤香織)
(『和樂』2013年11月号)