2012年7月、カプセルトイ業界に突如として現れた“フチ子さん”こと『コップのフチ子』。
発売1週間で10万個を出荷し、その後も制服の色を変え、新シリーズを発売するごとに驚異的なスピードで売れ続け、「20万個売れたら大ヒット」と言われるカプセルトイ業界で、なんと650万個(全シリーズ/6月現在)を売り上げている異例の大ヒット商品となっています。
あまりの人気にオリジナル商品や書籍の発売、各業界とのコラボキャンペーン、期間限定カフェのオープンと、その人気はとどまることを知りません。
おさげ髪に、地味めの制服。ビジュアルはいたって普通のOLなのに、なぜここまで人々の心をガッとつかみ、中毒者を出しているのか……。
それはやはり、制服姿にもかかわらず、脚を開いたり逆さになってぶらさがったりという、嫁入り前(に違いない)のOLにそぐわない、そんなポージングをしているから? それよりも、そんなハレンチな姿で必死にコップの縁にしがみつく、けなげでえげつない姿に心を奪われるから、でしょうか。
『Domani』7月号の「今月のおこもりカルチャー」でも紹介されている“フチ子さん人気”の秘密を探るべく、Woman Insightスタッフは販売元の玩具メーカー『奇譚クラブ』広報・しき せいたさんを直撃してきました。
“フチ子”生みの親は、『オッス!トン子ちゃん』や『バカドリル』で知られる漫画家のタナカカツキさん。
時代はちょうど、一般の人たちにもFacabookが浸透し出したころ。人々が料理の写真をFacebookにアップする様子を目の当たりにしたタナカカツキさんが、「食べ物のシーンに関連したカプセルトイはどうか?」と思ったのがきっかけだとか。
「それまでガチャガチャの主流と言えば、“マグネットやストラップといったおもちゃで、大きさはカプセルに入ればOK。1シリーズで7種類”と、カツキさんにこれまでのガチャガチャ情報をお伝えし、オファーをしたんです。10パターンほど案をいただき、見た瞬間、『商品化するならコレだ!』と。スタッフ満場一致でしたね」(しきさん)
コップのフチに“ただいる”というだけのカプセルトイに、スタッフ全員が迷わず心奪われたそう。
ところが、「カツキさんは、10案の中で9番目ぐらいだろうって思ってたみたいですけど(笑)」という裏話が。
「スタッフも実は、ここまでヒットするとは想定外でした。NAVERまとめに載ればいいよね~というぐらいにしか思ってなかったんです(笑)。なにせ、商品が完成してお店のバイヤーさんに見せても、最初誰にも相手にしてもらえませんでしたから。弊社スタッフもこんなに売れるとは想像もしてなかったですけどね(笑)」(しきさん)
それが“まさか”の大ヒット。この2年でカプセルトイ業界を背負って立つトップスターとなるとは、誰も想像していなかったようです。
タナカカツキさんが考えた平面のフチ子さんから、フィギュアの元となる原型を作る。そしてできたものが、(文字通り)“一人立ち”できるかをコップのフチで試し、原型が決まったら工場生産。そしてまたコップを使って試すという一連の作業を経て、発案から約1年、ついにフチ子さんが誕生!
『コップのフチ子』は、“コップのフチに一人で自立できる”という大きなミッションがあるため、原型の作り直しなどをしていると、どうしても1シリーズを発売するまでに1年はかかってしまうのだそう。
ひとフチ子、200円。このひとつひとつへの情熱と時間は、思いのほかたっぷりじっくりかけられているんです。
さて次回、ますます進化する“フチ子ワールド”についてお伝えします。お楽しみに!(さとうのりこ)
【後編】→ 「コップのフチ子」第3弾発売!フチラー垂涎のタワレコ限定も!
『コップのフチ子』HP
http://fuchico.jp/
(C)タナカカツキ/KITAN CLUB
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