虫が苦手な人にとって、お家の害虫対策はかなり深刻な課題です。とくに絶対遭遇したくないものの筆頭と言えばもちろん、GOKIBURI。
文字列にすら抵抗を感じるほど苦手であっても、一人暮らしをしていたら、他に頼れる人もいません。「撃退する自信がない」「遭遇したらどうすればいいの!?」と思っている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は「ブラックキャップ」「ゴキジェットプロ」といった害虫対策グッズでおなじみのアース製薬さんにインタビュー。ワンルーム・1K・1DKなど、一人暮らしの部屋でゴキブリを出さないコツを伺いました。
■まずは敵を知るべし!Gに関する基本知識
※「単語を見るだけでゾワゾワする!」という同志のために、ここからはコードネーム「G」と呼ばせていただきます。
敵を倒すには敵を知るべし!ということで、まずはGの基本知識を知っておきましょう。
Q.Gが活動しやすい環境には、どんな条件がありますか?
A.
Gは、ジメジメとして暖かく、暗く狭い場所で、食べ物や水があるところが好きです。
一般の家庭でこうした条件が揃うのは、主にキッチン周りでしょう。冷蔵庫の下や後ろなどに隠れていることが多いですが、発熱していて暖かい電化製品の内部もじつは要注意です。
Q.「日本の夏はGが活動しやすい」というのは本当ですか?
A.
はい、本当です。
Gは、気温25〜28℃くらいの環境で最も繁殖しやすく、またジメジメした湿気も好きなので、日本の夏は活動しやすい季節と言えます。また、5月~10月にかけて産卵することも、夏に見かけやすい理由のひとつです。
Q.Gが出ない部屋づくりをしたいのですが、まず何から始めたら良いでしょうか?
A.
Gが出ない部屋づくりの基本は、Gにとって住みにくい環境をつくることです。
Gが好むのは、ジメジメと湿気があって暖かく、陽の当たらない物陰で、水分や餌がある、といった環境です。
ですから、風通しがよくて、気温が低めで、陽があたって乾いた広い空間を意識することが、Gの出にくい部屋づくりの基本となります。
*
なるほど。こまめな換気で湿気がこもらないようにしたり、カーテンを開けてできるだけ日光を取り入れたり……といった工夫なら、すぐにでもできそうです。
他にも、具体的な対策を教えていただきました!
■絶対にGを出さない部屋づくり・5つのルール
1.隙間を作らない
Gは、自分の背面と腹面がぴったり付く場所にいると落ち着きます(成虫なら7〜10mmくらいの隙間が大好きです)。家具や電化製品を置くと、このくらいの隙間ができてしまうことがあります。
壁にくっつけて家具を置く、買う前にサイズを測って隙間を作らないように配置するなど、隙間を作らない工夫をしてみてください。
どうしても隙間ができてしまう場合には、逆に広めに間隔をとって、Gが「落ち着かない隙間」にするのもひとつの手段です。
2.ダンボールは即処分する
外から来る荷物、とくにダンボールには、Gの幼虫や卵が潜んでいる可能性があります。
とくに「新築なのにGが出る」という場合は、引っ越しや宅配便など外から持ち込まれた荷物から侵入した可能性が大です。
ダンボールは長く放置せず、不要になったらすぐ処分するようにしましょう。
3.家の中を清潔に、食べこぼしを放置しない
お菓子のかけらひとつであっても、Gにとってはご馳走です。食べこぼしを放置せず、家の中を清潔に保ってください。
また、食べ残しの食料は密封するか冷蔵庫にしまう、生ゴミは蓋つきの容器に入れるなど、こまめな対策を意識しましょう。
4.水分を拭き取る
Gにとっての水1滴は、人間にとってのビールジョッキ1杯分です。シンクやお風呂場に水滴が残っている場合、夜に出てきて飲んでいるかもしれません。使った後や寝る前などに、シンクや浴室を拭き上げる習慣をつけるのがおすすめです。
Gが生きるために必要な水分や餌をなくすだけでも、Gにとって住みにくい環境になります。
5.家の中に侵入させない
一番気をつけたいのが、家の中にGを入れないこと。Gの侵入経路としては、玄関や窓の隙間、先程お話した引っ越しや宅配便の荷物などが一般的です。
わずかな隙間からも侵入できてしまうので、玄関や窓を開けっ放しにせず、網戸の隙間は隙間テープなどできちんと始末しておきましょう。
Gの侵入を防ぐためには、屋外用の対策グッズ(「ブラックキャップ屋外用」など)も効果的です。
また集合住宅では、自分の家をしっかりキレイにしていてもお隣やご近所から移動してくるケースがあります。そんなときは、バリア効果のある対策グッズを使ってみてください。
■そもそもどうしてこんなに怖いの?恐怖心を和らげる考え方
ところで、そもそもこんなに「Gが怖い」と感じるのは、なぜなのでしょうか?
人間は正体不明のものに恐怖心を抱きやすいと言います。そこで、恐怖心の原因についても聞いてみました。
Q.毒虫でもないGを「怖い」と感じるのは、なぜなのでしょうか? 専門家として思い当たる理由はありますか?
A.
小さな頃からの刷り込み効果が大きいのではないかと考えています。例えば、親がGを怖がる様子を見ながら育てば自分も怖がるようになると思いますし、逆にGを全く怖がらない家庭で育てば、大人になっても「怖い」という印象を持ちにくいかもしれません。
また、都市部に行くほど虫と直接出会う機会が少なくなるため、未知のものへの不安というか、「何をするか分からない」「危険かもしれない」という本能的な恐怖感が強まるとも考えられます。
私(アース製薬の担当者さん)も、もともと虫が大の苦手でした。かつては「Gは人を襲う」と本気で考えていた時期もあります。
でもこの仕事に就き、虫のことを正しく知るようになってからは、Gのことを(決して好きではないけれど)「怖い」とは思わなくなりました。恐怖心を和らげるためにも、やはり相手のことを冷静に知ることが大切なのかもしれません。
ただし、噛まれたり刺されたりすると危険な「怖がらないといけない虫」もたくさんいるので、そうした虫に対する危機感は忘れないでくださいね。
*
次回以降も、一人暮らしのG対策として「キッチン・浴室・玄関など、部屋ごとの対策」「シチュエーション別・G対策グッズの使い分け」を教えていただきます。
アース製薬 研究部 研究業務推進室 生物研究課 課長 有吉 立さん
構成・文/豊島オリカ
あわせて読みたい