バンクシーって何者?!世界で100万人以上を動員したバンクシー展がついに日本初上陸♡

バンクシーって何者?!世界で100万人以上を動員したバンクシー展が日本初上陸♡


世界5都市を巡回し、100万人以上を動員した「バンクシー展 天才か反逆者か」がついに日本初上陸!

オークションで落札直後の作品がシュレッダーで裁断されたことが世界的なニュースになったり、防波扉にステンシルされたねずみに小池百合子東京都知事が「東京への贈り物かも?」とツイートし話題になったり…と、何かと名前は聞くものの「一体何者なの?!」と疑問に思っている人も多いのでは?

そこでバンクシーの素顔に迫るべく、5月30日(土)から横浜アソビルで営業再開の「バンクシー展 天才か反逆者か」の様子をリポートと共にお届けします♪

バンクシー展 天才か反逆者か


この展示会では、世界中のコレクターが所蔵する70点以上のオリジナル作品をはじめ、バンクシーにまつわる映像やインスタレーションも展示され、謎に包まれたバンクシーにぐっと近づける内容!

多岐にわたるバンクシーの作品と共に政治的メッセージやユーモアたっぷりの風刺が効いたアートを感じながら、じっくりと意味を考えたり友人や家族と答え合わせをしたりと、作品をきっかけに会話や議論がはじまるのもバンクシーの魅力のひとつ。

イギリスを中心に活動するバンクシーの本名やプロフィールは一切公表されておらず、その正体は謎に包まれています。そんな覆面アーティストである彼のスタジオを、バンクシー自身が監督したドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』の映像から再現したスタジオから、展示ははじまります。

左/PRINTING PLATE LAUGH NOW 右/PRINTING PLATE BOMB LOVE

バンクシーの作品で多く見られるアートプリント「そもそもアートプリントって何?」「パソコンから印刷するものと何が違うの?」という人も多いですよね。そこで次のセクションでは、アーティスト自身が自分の手で複製するアートプリント=オリジナルワークであるということをわかりやすく制作している様子の映像と、実際に使った代表的な2点のオリジナルプレートで見ることができます。

制作風景を見たり、その作品の背景やストーリーを知ると作品を見る楽しみも増えますよね。

そしてバンクシー展はいよいよ本編へ! テーマ別に並べられたバンクシーの作品を思う存分楽しめる空間が広がっています。

■CONSUMPTION(消費社会)


KATE MOSS

こちらの作品は、人々は技能ではなくブランドや人気のあるものにお金を払いたいと思っており、人気がないもの=必要がないとされるアート・マーケットの現状を白日に晒した、アンディー・ウォーホルの代表作『マリリン・モンロー』を、“自分はある意味21世紀のアンディ・ウォーホルだ”と自称するバンクシーが引用し、当時最も有名だったカバー・ガール『ケイト・モス』を描いたもの。

この作品は、ケイト・モスがハネムーンに出かけた際に、帰宅したら自分のバスルームにバンクシーからのプレゼントとして置いてあった!という逸話付き。

DI FACED TENNERS

大英博物館に所蔵されている初のバンクシー作品としても有名な偽物の10ポンド札は、100万ポンド分作ろうとして作ったものの一部。エリザベス女王の肖像がダイアナ元妃になっていたり、通常Bank of Englandと描いてある部分がBankcy of Engrandとなっていたり、TRUST NO ONE(誰も信じてはいけない)という文字が印字されていたりと遊び心たっぷり。

バンクシーならではの“いたずら”として、とあるフェスティバルでこの10ポンド札の一部を群衆めがけてばらまいてみたところ、駆け寄って拾った人がそれで買い物をし始めてしまい、実際に売買が成立してしまったことから、バンクシーは「偽札を作ってしまった」と気付き、作った10ポンド札を自分で保管しその後“いたずら”に使われることはありませんでした。

最終的にこのお札は現在、バンクシー作品を本物だと認証するシステムに使われています。バンクシーが運営するPest Controlという会社で証明書を発行する際に、この10ポンド札を半分に破ってIDを書き記したものを貼り付け、残りの半分はPest Controlが保管し、つなぎ合わせることで証明できるというもの。

DESTROY CAPITALISM(festival)

フェスティバルといえば、こちらの作品。若い母親やパンクロッカー、ヒッピーなど世間から「反資本主義社」だと思われている人たちが並んでまでこの売店で買い求めようとしているTシャツは「資本主義をやっつけろ」というTシャツ! 

まさに、この展示会で消費社会に対するバンクシーの見方をテーマにした一部屋にぴったりの作品です。

■POLITICS(政治)


左/MONKEY QUEEN 中央/MONKEY PARLIAMENT 右/Turf War

エリザベス女王の肖像を白黒の猿と置き換えた作品(左)やロンドンで環境活動家が泣く子も黙るウィストン・チャーチル元首相の銅像の頭の上に芝生を乗せ、モヒカンのようにしてしまったことから着想を得た作品(右)。

MONKEY PARLIAMENT(中央)は2009年にブリストルの美術館で開かれた展示会で巨大なキャンバス地の作品として登場したもののリトグラフ。イギリス議会議事堂の下院で集会をする猿たちは、議員による経費の不正申告など政治に対する不満の高まりと共に登場し、今イギリスで行われている政治そのものを表した一枚です。

■POLICE(警察)


バンクシーが生み出した初期の象徴的イメージである、SMILEY COPPERが並ぶ通路。優しい笑みを浮かべた警察官の手には、マシンガンが抱えられています。

任務遂行という大義名分に基づいた警察官から民間人への暴行が珍しくなくなっていることから、友好的だと思っていてもいつ攻撃のためにその銃が使われるかわからない=権力と権威を振りかざす奴を信じるなという警告の意味が込められています。

COP CAR

パトカーのアートワークからは、タイヤが盗まれています。タイヤの無い車で走っても犯罪者は捕まえられないし、そんな大事なタイヤすら守れない警察が、はたして私たちを守ってくれるのだろうか?というバンクシーからの皮肉を込めたメッセージが伝わってきます。

そして、ビルにステンシルで絵を描くストリート・アートというバンクシーの作風は、厳密に言えば犯罪行為であり、彼もまた警察に追われるべきひとりなのです。

POLICE KIDS

笑顔で駆け回る子どもたちの体は、楽しげな雰囲気にそぐわない「警察」と書かれた防弾チョッキに守られています。警察こそ人々の純粋さを疑問視し、人生の楽しみを奪い、子ども時代の自由を失わせるものだとバンクシーが考えていることが、この作品から見て取れます。

■PROTEST(抗議)


Love is in the Air

バンクシーの作品の中で最も有名なもののひとつである「Love is in the Air」は、バンクシーが旅行中にパレスチナで初めて壁に描いたもの。街頭での抗議に参加する男を描いており、顔を隠して一見火炎瓶を投げようとしているようにも見えるが、その手に持っているのは花束。

しばしば抗議は暴走し暴力へ、戦争へとエスカレートしていくことがあるが、絵の中で手に持っているものが花束であるように、どんな変革も平和的な手段で達成されなければならない、という意思が表れています。あるいは、資本主義体制や軍国主義体制に対する抗議は、暴動の最中に花を投げ込むのと同じぐらい効果があると言いたかったのかも。

■WAR(戦争)


NAPALM

バンクシーがよく使う手法として、写真の作品だったものを荒唐無稽な作品に変え、見るものの目を彼が訴えかけたい問題に向けさせるというものがあります。この作品はその最たるもので、ベトナム戦争時撮影され反戦運動を巻き起こしたかの有名な「ナパーム弾の少女」をモチーフにしています。

ナパーム弾を投下する軍用機に怯え逃げる少女の手をアメリカ文化と資本主義のアイコンであるミッキー・マウスとロナルド・マクドナルドが取って歩いており、恐怖がありありと浮かぶ少女の表情とは対照的にミッキーとマクドナルドの顔には笑みが浮かんでいます。はたして彼らは少女をどこに導こうとしているのでしょうか?この作品は命令を正義と信じて疑わず平和な村へ爆弾を落とした人=現代でもルール破る人ではなく、何も疑わずにルールを守る人への疑問も投げかけています。

WRONG WAR

イラク侵略に反対しイギリス史上最大の反戦運動が巻き起こり、バンクシーを含む26名のアーティストたちが反戦マニフェストを作成すると共に、アート作品の展示を行いました。その際ダンボールに描かれ実際のデモで使用されたバンクシーの例外的なこの作品は、この反戦運動を象徴する作品となったのです。

■HOTEL(ホテル)


バンクシーがイスラエルとパレスチナ自治区内の分離壁の近くにオープンさせた“世界一眺めの悪いホテル”こと「THE WALLED OFF HOTEL(壁で遮断されたホテル)」の一室を再現したスペース。

バンクシーはパレスチナ問題に世間の目を向けさせようとしており、バンクシーのテーマのひとつである消費主義を用いてここを「人気のホテルだから」という理由で滞在する旅行者たちに、窓のすぐそこに壁があるのを見て感じることで、壁に分断された生活とはどういうものであるかを考えて欲しいという思いから建てたと言われています。

実際に使われている照明を再現したものや、ホテルの写真、ホテル内で販売されていた作品が並んでいます。しゃれが効いたホテルの名前はニューヨークの高級ホテル「ウォルドルフ=アストリア」の名前を皮肉ったもの。

■ACTIONS AND EXHIBITIOBS(アクション&展覧会)


バンクシーはイギリスのウェストン・スーパー・メアに5週間限定で夢の国とは真逆の悪夢のテーマパーク「DISMALAND(ディズマランド)」をオープンさせました。広大な敷地に50人以上のアーティストが制作したユーモアあふれる現代アートがちりばめられたテーマパークは、連日行列ができる人気だったそう。

ここでは公式に作られたチラシやCM、ポスター、DISMALANDの様子をおさめた写真などを見ることができます。

不気味にライトアップされた城と、歪んだキャラクターの姿(左)城の中に入るとかぼちゃの馬車が横転して亡くなったプリンセスの姿をパパラッチが無情に撮り続けている(中央)難民のボートらしきものが浮かべられた池(右)

■RATS(ネズミたち)


ストリート・アート制作するにあたり、すぐに描いて逃げる必要があるためバンクシーはステンシルを使って描く手法を取っています。その中でも有名なのが、このネズミをモチーフにした作品。ネズミには、私たち人間は都市の環境やシステムの中で巧妙に、そしてずるく生きているネズミのようだという意味が込められています。

RATの文字は並び替えるとART(アート)となり、ストリート・アートを手がけるバンクシーにぴったりのアナグラムにもなっています。

GET OUT WHILE YOU CAN

ここでは様々なメッセージを掲げたネズミを見ることができます。こちらの作品にはGET OUT WHILE YOU CAN(逃げ出すならいまのうち)の書かれている。ピースサインを胸に下げたネズミが抗議看板に掲げるメッセージは、これを見る人ひとりひとりへの警告ともとれます。

■LIFE AND DEATH OF ART(作品の生と死)


PULP FICTION

クリスティン・タランティーノ監督の映画「パルプ・フィクション」の一幕を描いたこちらの作品は、主人公たちが銃の代わりにバナナを握っています。映画は大げさなほど残虐な内容ですが、それを見ると人々を刺激して残虐にしてしまうというステレオタイプな考え方に対し、バナナを持たせることでおかしみをプラスしています。

2007年にこの作品を再び制作した時には、手に銃を持っている代わりにバナナの衣装を着せられていました。この作品にオゾンという若いグラフィティ・ライターが「次のがもっとマシなら残してやる」と書き残して上書きした数日後、彼は電車に轢かれて亡くなってしまったのです。バンクシーはオゾンを弔って天使の絵とメッセージを書き残しました。その中の「アートファグにノーを」という言葉の意味を巡って大きな論争になるなど、多くのストーリーがある作品です。

■HOPE(希望)


GIRL WITH BALLOON

イギリス国民に好きなアート作品1位に輝くなど、バンクシーを代表する今おそらく最も有名な作品である「GIRL WITH BALLOON」は、サザビーズで落札直後にシュレッダーで裁断された作品としてもおなじみ。

ハートの形の風船に手を伸ばしている少女は、バンクシー作品の中でもわかりやすく愛や希望を表している作品と言えるでしょう。#withSiryaと名付けられた反戦キャンペーンで希望の象徴とされたこの少女は、私たちが生まれながらに持っている子ども時代の純真さを思い出させ、彼女の未来への希望を守りたいという気持ちにさせます。

 

プリント作品からインスタレーションまで、もりだくさんのバンクシー展、いかがでしたか?

本展示会のキュレーター兼プロデューサーを務めるアレキサンダー・ナチケビア氏は、とあるイギリス誌の記事で「バンクシーの作品にはValue(価値)がない。なぜならそれはVandalism(破壊行為)にすぎないからである。」と書いてあるのを目にした際に怒りが込みあがったことから、今回のテーマを設けるに至ったそう。

「バンクシーは天才なのか、反逆者なのか」あなたの答えはどちらか、ぜひ展示会で確かめてみて!

3密を避けるため完全事前予約制で入場制限を行なっていますので、お出かけの際はWEBサイトより日時指定のチケットを購入してからの来場を。

また、バンクシー展ではバンクシーにゆかりのある人から聞いた話を盛り込んだ無料のオーディオガイドも提供中! アートって一体どうやって見ればいいの?とお悩みの人にも嬉しいですよね。スマホでQRコードから読み取ることができるので、イヤホンの持参をお忘れなく♪

■バンクシー展 天才か反逆者か
期間:2020年3月15日(日)〜9月27日(日) 10:00~20:30(最終入場20:00)
※完全事前予約制(WEBにて日時指定チケットのみ有効)
※3月28日(土)~5月29日(金)まで新型コロナウイルス感染症拡大防止策として休業
会場:<アソビル> 神奈川県横浜市西区高島2-14-9 アソビル2F
※本展は謎に包まれたアーティスト「BANKSY」によってオーソライズやキュレーションされた展覧会ではなく、コレクターのコレクションが集結する世界巡回展です
HP https://banksyexhibition.jp
構成/久保 葵

 

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