今こそ改めて知りたい!正しい手洗い・マスクの使い方・外出時の行動など、新型コロナ対策の基本【医師監修】

■新型コロナウイルス対策(3)マスクの扱い方

Q:マスクの正しい外し方を教えてください。


A:
まず、マスクをする目的について正しい知識をお話します。

間違ったイメージを持っている人が多いのですが、基本的にマスクをする目的は「自分が持っているかもしれないウイルスを、唾液を通して他人に拡散しないこと」です。

ですから、マスクの扱い方で最も大切なのは、内側についた自分の唾液に触れないこと。つまりマスクの外し方は、「ゴム部分を持って外し、外側を下にして机に置く」のが正解です。

Q:マスクの外側にも、あまり触らないほうが良いですか?


A:
「マスクの外側に触らない」というのは、感染源が多い環境(病院内や感染した家族と同居している場合など)における注意事項であり、一般的な生活には当てはまりません。

そもそも顔に他人の唾液を浴びたくないのであればフェイスシールドが必要であり、マスクで防ぐことはできません。ですから、「マスクの外側に触らない」ことに関しては、あまり神経質になる必要はないでしょう。

ただし、こちらもスマホ同様「どうしても気になる」という人は、精神的なストレスを和らげるためにできるだけ触らないように注意するのも悪いことではありません。

Q:繰り返し使える「布マスク」の正しい洗い方は? 普通の衣類用洗剤で洗濯すれば問題ありませんか?


A:
はい、ウイルス対策としては衣類用洗剤による洗濯で問題ありません。

洗濯石鹸(洗濯用洗剤)の多くは中性石鹸に類する成分です。石鹸で手を洗うのと同じ仕組みで、マスクについたウイルス(を含んだ唾液)は洗濯用洗剤で水に溶け出し、そのまま排水と一緒に流れていきます。一方でウイルス感染者を治療する医療者では、被爆するウイルス量が多いためマスクは毎回、取り換える必要があります(マスク不足でこれができていないため、医療者の感染者が増えています)。

ただ「マスクが傷むかどうか」という点については、個々のマスクの生地や性能によって異なります。この点についてはマスクメーカーさんの方が詳しいでしょう。

ちなみに、ウイルスを殺すためにはエタノール、次亜塩素酸水、次亜塩素酸ナトリウムに浸ける方法もありますが、この方法はマスクの劣化が激しいと思います。

 

Q:外でマスクを外してペットボトルを飲み、またマスクをつけることは問題ないですか?


A:
自分専用のペットボトルで外出中に何度か「マスクを外す→飲む→マスクをつける」を繰り返しても問題ありません。細菌の場合には水分があれば増殖しますので、時間がたった飲みかけのペットボトル内には細菌がいっぱいになります(むろん自分の口腔内細菌ですので病原性は少ないです)。

一方、ウイルスは自分だけでは増殖できませんので、もしボトル内にウイルスが入ったとしても、時間をかけて繰り返し飲むことで、ウイルス数が増えることはありません。

ただし、ウイルスの感染源は唾液なので、誰かとペットボトルの回し飲みをすることは避けてください。大皿料理なども引き続き避けるようにしましょう。どうしても大皿料理から取り分ける際は、1人につき1組ずつ、別の取り箸を使ってください。

 

■まとめ:大切なのは「正確に怖がること」


身近な疑問の数々に、丁寧に答えてくださった大橋先生。先生いわく、「新型コロナ対策は“正確に怖がる”ことが重要です」とのこと。

ウイルスに100%感染しない方法はありません。すべての人が一定の確率で新型コロナウイルスに感染します。もっと分かりやすく言えば、全ての人が『自然の新型コロナウイルスにかかるか、人工的に無毒化した新型コロナウイルス(=ワクチン)にかかるか』の二択を迫られている、ということです。

自然のウイルスは重症化しやすく危険ですが、ワクチンなら感染しても無害、もしくは軽症で済みます。現在のウイルス対策は、すべて『ワクチンができるまでの間の感染者数を減らすこと』を目的としているのです。

「正確に怖がる」ことが重要です。
「不正確な怖がり方」とは、理由もなく自分は感染しない(させない)と信じて予防行動をとらないこと、一方で自分は絶対に感染したくない(感染させたくない)として過剰に予防行動をとることです。
「リスク」とはラテン語の「リズカーレ」を語源とし、本来の意味は「乗り越えるべきもの」です。リスクをゼロにすることはできず、いかにリスクを乗り越えるかを考えることが重要です。

今の状況のように、前例のないものに科学的根拠(エビデンス)を求めることは難しく、このような未知の状態に対応するときにこそ、常識と考える力が必要です。

今最も意識してほしい対策は、手洗い・うがいに加えて、『対面での無駄な会話を控えること(唾液による拡散を防ぐため)』、そして『感染しても発症しない、発症しても重症化しない健康づくり』をしていくことです」

と、大橋先生。

怖がりすぎず、あなどらず、適切な対策をしっかり行い、コロナ禍を乗り切っていきましょう!

*情報は2020年5月27日現在のものです。
お話をうかがったのは…
大橋 一友(おおはし かずとも)先生:
大手前大学副学長・国際看護学部教授。1982年大阪大学医学部を卒業後からこれまでの37年間、現役の産婦人科医師として活躍。前職は大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻にて17年間、看護学教育に携わる。現在はモンゴルを中心に、周産期医療の途上国支援などの国際保健活動にも従事している。
構成・文/豊島オリカ 写真/(c)Shutterstock.com

 

★管理栄養士に聞いた体の免疫力を高めるおすすめ食材まとめ

★マスクの日でも最高かわいい!手抜きに見えない簡単&時短メイク

>CanCam.jp TOPにもどる