SNSの情報って何がホントなの?正しい情報とデマを見分ける6つのコツ

SNSの情報、何が本当かわからなくて疲れる。SNSとうまく付き合う6つのコツ


新型コロナウイルスという見えない敵を相手に、不安な日々が続いています。病院にも気軽に行きづらく、誰に相談していいのかも分からないような状況で、多くの人がチェックしているのがSNSなどで見られる、ネットの情報だと思います。

SNS上の情報はだれでも簡単に大量の情報を手に入れることができる一方で、デマ情報や、必要以上に私たちの負の感情を煽る情報が氾濫していたりと、諸刃の剣でもあります。

(c)Shutterstock.com

こうした状況下で、私たちはどのように手に入れた情報を対処し、SNSなどの環境とうまく付き合っていけばよいのでしょうか。
情報学・プロファイル分析を専門とする、摂南大学の針尾大嗣先生に6つの質問に回答していただきました。

 

Q1. 「デマ」によくある特徴は何ですか?


A1.「強調表現、不安を煽る表現や急がせる表現」「生命や金銭に関わる内容」が多いです。

デマ情報によくある特徴としては、警視庁のウェブサイトにまとめられているように、下記の5つが挙げられます。

・強調・不安を煽る表現や急がせる表現が多い
・生命や金銭に関わる内容
・情報源が記載されていない
・「らしい」「みたい」などの伝聞形式で書かれている
・拡散を勧めている

コロナ禍のデマ情報に関して言えば、このうち「強調表現、不安を煽る表現や急がせる表現が多い」「生命や金銭に関わる内容」が多く見られるのが特徴です。

一方で、「情報源が記載されていない」については、必ずしも当てはまっているとは限りません。SNS上で流れているコロナに関わる情報のなかには、有識者や著名人がブログなどで発信している内容を引用・転用しているものが少なくありません。問題は、有識者らが発信する情報のなかにも、十分な検証が行われていないものや政治的な意図のようなものなど、不確かな情報が含まれているということです。そうした情報がデマ情報化していったというケースが見受けられます。

 

Q2.「SNSのデマ」に騙されない・惑わされないコツは?


A2.「人は見たいものを見ようとする」ことを理解しておく。

目にした情報について、瞬間的に何かしらの意味や解釈を加えるのではなく、まずは自分が持っている先入観、置かれている状況、こころの状態などを客観視し、落ち着きをもって情報と向き合うよう習慣づけておくことが必要だと思います。

「見る人によってアヒルにもウサギにも見える」仕掛けの、有名な騙し絵があります。両方の動物を知っている人ならばどちらに見ることもできますが、生まれてから一度もアヒルという動物を見たことがない人には、ウサギにしか見えません。自分がよく知っているウサギという動物の像(型)に、その絵を当てはめてウサギとして見ようとするのです。その逆もしかりです。
それと同じようなことが、あらゆる情報にも言えます。

もとは同じ情報でも、見る人によって捉えられ方が異なるのは、「人が事前に持っている知識や経験による先入観が、その情報にそれぞれ異なる意味や解釈を加えるから」です。置かれている状況やこころの状態も同様です。たとえば、メールで送られてきた「お願いしますね」という一言のメッセージも、その相手に好感を持っている状況であれば、それを好意と捉えます。でも、相手や状況によっては悪意と捉えることもあります。

つまり人は、目にしたものを見るのではなく、見たいものを見ようとするのです。

悪意を持ってデマ情報を流す者は、そういう心理をついてデマ情報を流します。情報を扱う人間の心理傾向を理解しておくことが、デマ情報に騙されない・惑わされないためのひとつのコツと言えるかと思います。

 

Q3.デマか本当かを見極めるためには、どうやって情報に向き合えば良いでしょうか?


A3.  情報は警戒心を持って扱うこと。

現在、SNS上では、この新型コロナ対応に関して、医学や公衆衛生の専門家らが積極的に情報を発信しています。またそういった専門家以外にも、実際に感染者となった人、その家族、現場で看護・介護に携わった人たちが、それぞれの体験や思いを積極的に発信されています。
多くは「誰かのために」その情報を発信しているかと思いますし、有益な情報もあります。ただし、それらの情報の中には、健康被害を起こしかねない情報や犯罪を誘発する情報が含まれている可能性も否定できません。専門家らが発信する情報のなかにも、検証が十分でないものも多く存在しています。そうした情報の中から、デマか本当かを見極めるのは大変難しいです。

そのため、健康、子育て、資産の扱いなど、もし被害があったときに深刻な問題に発展するような関連の情報については、常に強い警戒心を持って扱うことが重要です。
どうしても必要だと思われる情報が見つかった場合は、かならず厚生労働省等の専門管轄機関が、それらの情報をどのように扱っているかを公式ウェブサイトで確認してください。そして、日頃からお付き合いのあるお医者さんや学校の先生などに、意見を求めて参考にするようにしてください。

 

Q4.コロナ禍で情報を扱う場合の注意点は?


A4. 情報はしばらく置いておき、安易に広めない。

今回の新型コロナに関連する情報を得た場合は、SNS上で反射的に共有などはせず、しばらく置いておくことをすすめます。たとえそれが一見有益そうな情報であっても、ひとまず自分の中や家族や友人など数人に話すにとどめ、むやみやたらに広めないことです。真偽が不確かなままの情報を誰かに伝えるということは、自分自身も、デマ情報拡散の当事者となりうることを自覚しておきましょう。そして、その間に次の3つを行っておいてください。

①一次情報に当たること
②被害(者)情報を広く調べること
③消費者センターや迷惑メール相談センター(日本データ通信協会)などに寄せられている情報を参考にすること

 

Q5.同じことについて、肯定と否定の両方の意見が見られる…何を信じたらいい?


A5. どちらを支持するということなく、中立的な立場で観察しておく。

まずSNSを利用するにあたっての基本として、多くの人が支持している情報=正しい情報として、安易に信じないことです。

何かしらの理由やきっかけで関心を集めた情報が、信頼性ではなく話題性を持って支持を得られたということも十分考えられます。また今回の新型コロナについては、その対応について専門家や有識者であっても、意見が大きく分かれるケースがよく見受けられます。
同じものについて「こうすべきだ」「すべきでない」という分かれた意見を見ると、どちらを支持するかはっきり決めたいという人は少なくないのですが、よくわからない状態でどちらかに決め込むことは危険なことです。

肯定と否定で極端に分かれた情報がある場合、どちらかを選択するのではなく、どちらもありうるといった中間選択を行い、中立的立場で双方を観察しておくというのがよいでしょう。

 

Q6. 情報収集によるSNS疲れ…どう対処すればいいですか?


A6.情報の整理をいくつかのメディアに任せ、負担を減らすこと。

人は「多くの選択肢があると、むしろ合理的に選べなくなる」ということが、心理学では知られた話です。

SNSには、多種多様な情報がハイスピードで流れています。そうしたSNSを使った情報収集で疲れが生じているのであれば、その原因は、人間が合理的に処理できる情報量を超えた情報を扱おうとしていることにあると思われます。人は実は大半の情報を無意識で処理していますが、文字や画像など、すべてを意識下で処理する必要があるSNSは「ストレスを感じるに決まっているもの」ということを、まずは知っておいてください。

対処法のひとつとしては、膨大な情報を自分で整理しようとすることを控えて、自分以外の誰かに任せてみることです。

歴史的には、その役割をテレビ、新聞、雑誌といったマスメディアが担っていました。現在はそうしたマスメディアに加えて、Yahoo!などに代表されるポータルサイトや、専門家が立ち上げたブログなどのウェブメディアがあります。それぞれのメディアは、情報整理の基準や枠組みを持っています。これらのメディアをいくつかバランスよく選択して、彼らが整理した情報を、決まった時間にある程度の量分だけ、まとめて得るようにしましょう。

メディアの選択を行う際には、いくつかの社会的テーマについて、新聞・テレビ・雑誌・ウェブの代表的なメディアが、どのような意見や説明を行っているか、記事や報道内容を見て、肯定/否定、推進/慎重といった軸で分類します。そして、その対極的、中間的に位置付けられるメディアを、それぞれ選んでください。

とはいえ、最初はこの分類が難しいかもしれません。

まずは「ひとつだけを見る」のではなく「いくつか見ること」が重要です。しばらくいくつかのメディアを見ていれば「同じテーマについて、こんなに意見が違う」ということが少しずつわかってきます。
それぞれのメディアが採用している情報整理の基準を使いながら、その「意見が違う」メディアを見比べて情報を得ることで、さまざまな視点から社会のことを理解していけるはずです。

 

緊急事態宣言が全国的に解除されたものの、新型コロナウイルスが完全に落ち着くまでにはまだ遠く、不安な日々が続きそうです。その上、SNS上のデマ情報は新型コロナウイルスが収束しても、常に氾濫しています。
ネットのデマ情報に今後も左右されそうになる場面は、いくらでもあると思います。たくさんの情報を知ることができて便利だからこそ、SNSに振り回されないように、このようなことに気をつけて向き合ってみてくださいね。

お話をうかがったのは…
摂南大学 針尾大嗣准教授(博士・国際情報通信学)
日本社会情報学会、情報コミュニケーション学会、日本セキュリティ・マネジメント学会、ヨーロッパ犯罪学会等に所属。大阪府警察サイバー犯罪対策アドバイザー。サイバー攻撃者の行動特性等を研究。
構成/山口彩楓、後藤香織

 

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