一人で家に居たほうが集中できる人と、出社したほうが集中できる人の違いは?
家で一人きりで仕事をしていると、何だかはかどる! と感じることってありませんか。あるいは、家だと集中できないから出社しないとだらけちゃうと気づいたりも……。この違いって、一体どこにあるのでしょう? そこで今回は、「一人で家に居たほうが集中できる人と、出社したほうが集中できる人の違い」をご紹介いたします。
■周囲の目があることで集中できるかどうか
人は社会的な生き物なので、他者がいるところでは少なからず周囲の目を意識しています。つまり、他者の視線を通して自分を認識しているのです。このように、客観的に自分を見る能力のことを、心理学においては自己認識力と言います。この自己認識に敏感な人は、誰かに見られているほうが集中できるため、出社した方が集中できるでしょう。
一方で、あまり周囲に気を取られない人は、一人で家にいたほうが他者の視線がないため、逆に集中できると言えるのです。
■行動の選択肢が少ないほうが集中できるかどうか
会社へ出社するとやることが限られますよね。社内にある環境や自分のデスクを使って作業をすることがメインになってしまいます。このように、やることの選択肢が少ないことで、集中力を発揮することを選択のパラドックスと言います。出社したほうが集中できるあなたなら、自宅にはプライベートなものがあふれているため、集中しにくいかもしれません。
その一方で、自ら自分の選択肢をシャットアウトして、これをやる!と内的動機が高くストイックにタスクを設定できる人なら、家で作業をしても効率が落ちないと言えます。むしろ自宅だと、必要なものが手近にあることが多いので集中できるでしょう。
■時間制限がある方が集中できるかどうか
心理学においては、パーキンソンの法則というものがあります。これは、人は労力や時間をあればあるだけ費やしてしまう、つまり時間を決めて作業しなければひたすら作業に没頭するという理論です。会社で仕事をするときは、たいてい時間の制限がありますよね。少なくとも就業時間を過ぎてまで取り組むのは難しいはず。
しかし、そのような環境で作業をすれば優先順位をつけなくてはならないため、質的に効率よくできる…… というのが出社して集中できるタイプだと言えます。一方で、時間を決めずに自分でここまでやろう!と決めて取り組むタイプなら、自分の中で目標を決めているため、それを終わらせるために通勤時間のロスがない自宅のほうが、効率もよく集中できるでしょう。時間制限も集中するうえで、ひとつの外的要因になり得るのです。
■普段とは異なる環境のほうが集中できるかどうか
会社と自宅の環境は大きく異なる人がほとんどでしょう。会社のほとんどは、無機質で照明が明るく天井が高い、いわゆるオフィス調の空間です。一方で自宅は、落ち着いた空間になるようにやや暗めの照明設定になっていたり、天井も必要以上に高くなく、何よりも生活感があります。
また、会社ではある程度の騒音があり、それが思考に適した音の大きさであるため集中しやすい場合もあります。これを70デシベル理論と言います。他方で自宅は、基本的に社内よりも静かであり無音であることが多いと言えます。
これらを総合すると、社内は事務的な作業をこなすのに向いており、自宅はクリエイティブな作業をするのに向いていると言えます。そのため、出社したほうが集中できる人は、事務処理能力が高かったり、そのようなタスクに着手している可能性が高いでしょう。反対に、家に一人でいるほうが集中できる人なら、芸術家・職人肌タイプであったり、創造的なタスクに着手しているのかもしれません。
自宅でタスクをこなした方が効率的な人は、自分なりのルールを持っている場合が多く、自制心が強いため脳の休め方のメリハリができていることが多いと言えます。つまり、やる気を自分自身に向けられる内的動機型なのです。一方で、出社したほうが集中できる人は、外部の環境や制約の中にさらされることで、周囲に目を向けることでやる気を引き出す外的同期型だと言えます。もちろん、どちらがいいというわけではありません。でも、外出できないときは自宅でも集中できるように、環境づくりをしてみるのもひとつの方法ですよね。(脇田尚揮)
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、現在テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出 書房新社)。