ムカッ!ときたときに使える、怒りを抑える「アンガーマネジメント」って?
ある研究によると、人は怒りを上手にコントロールできると年収が約2倍になり、平均寿命が7年ほど長くなるとされています。喜怒哀楽といった感情の中で、ネガティブな感情のひとつである怒りと、一体どうやって付き合っていくのが賢いのでしょう。
そこで今回は、「アンガーマネジメントの基本」をご紹介いたします。
■相手の短所を長所に置き換えてみる
相手に対して怒りを覚えるとき、何かしらの理由があることがほとんどですよね。きっと相手の短所(と感じるところ)に、腹だたしさを感じているはずです。そんなときのアンガーマネジメントとしては、置き換え法が有効です。
たとえば「作業が遅い」は「仕事が丁寧」、「適当」は「おおらか」といったふうに、ネガティブな印象をポジティブな言葉に置き換えて考えることで、あなたの心の受け入れ体制が整い、怒りも収まりやすくなるのです。
■相手にこういう人なんだというラベル付けをする
怒りのコントロールには、相手の腹だたしい部分をどう受け止めるかが重要だと言えます。心理学者リチャード・ラザルスは、ストレスコーピングという概念を通して、ストレス状況に対する自分の感情や行動をコントロールしたり、その環境を変えて自分を成長させることの大切さを説きました。
例えば、怒りっぽい人に対しては「怒っているのではなく言葉遣いがきついだけ」と思うようにすると、相手への期待もなくなり、怒りも収まるはずです。
■自己暗示により自分の怒りを消化する
自分の中にある怒りの感情を薄めていくには、まずは自分が今怒っているということに気付くことがポイントです。そして、次に自己暗示をかけていきましょう。オーストリアの精神科医メスメルは、言葉による暗示で心の状態が改善できると提案しました。その中でも、自分に対して行うものを自己暗示と呼びます。
これを応用して、相手にイラッとしたときに、私の怒りは消えつつあると、現在進行形で自分の心の中で呟くようにしてみましょう。次第に心は落ち着きを取り戻すはずです。
■それでも収まらない怒りは…… 紙に書き出す
もしも後から思い出しても怒りが解消されなかったり、イライラが長時間続くようなら、紙とペンを手に取って怒りを書き出してみましょう。これは心理学でいう、エクスプレッシブ・ライティングというアンガーマネジメントです。
怒りを紙に書き出すという作業はかなり効果的で、自分を客観視するきっかけづくりになる上に、感情を整理することができるとされます。継続的に続く怒りの感情は、紙に書き出してみましょう。怒りを客観視することで、冷静になれるはずです。
怒りの感情の根本にあるものは何でしょう。それは相手を支配したいという気持ちかもしれません。例えば、もっと自分を理解して欲しいという思いがいき過ぎて、なぜわからないの!と攻撃してしまった経験はありませんか。なまじ相手に対する期待や甘えがあるからこそ、怒りを表出することで自分の思い通りに動いてくれるはずという期待があるはずです。でも、人を動かしたり変えたりするのは非常に難しいもの。自分の心を柔らかくして、怒りを散らすほうが簡単なのです。(脇田尚揮)
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、現在テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出 書房新社)。