「アレンジメント」「花束」「ブーケ」それぞれの違い、知ってる？
ギフトやインテリアなど様々な場面で登場するお花たち。駅前に1軒はお花屋さんが絶対あるように、私たちの生活にお花は欠かせない存在ですよね。
そんななかで、皆さんがお花に関する情報を見ているときに何気なく目にしているお花にまつわるワード……例えば「フラワーアレンジメント」と「生け花」。実は、西洋と日本の違いだけじゃないことをご存じですか？
今回はそんなお花の違いについて、虎ノ門の会員制フラワーショップhananeの代表を務める石動力さんにお話を伺いました！
Q.「フラワーアレンジメント」と「生け花」の違いは？
フラワーアレンジメントと生け花の違いを想像してみると、「生け花は日本の伝統的なお花の飾り方で、フラワーアレンジメントはカタカナだし生け花の西洋版……？」となんとなく想像する人が多いと思います。
実は、日本のものか、西洋のものかという違いだけではなく、お花の生け方にも違いがあるんです。早速、石動さんに解説していただきましょう。
・フラワーアレンジメントは「西洋風でたくさんのお花を使った生け方」
・生け花は「日本流の出来るだけ少ない数できれいに見せる生け方」
『この違いは、それぞれの国や地域の人々の生活習慣や住居様式にヒントがあります。
西洋の街づくりは、森や林を残しながら広げているため、花や植物がとても多い環境にあります。さらに住居も広いので、自宅に花や植物を飾ることが当たり前の習慣となっています。
一方で日本は、古くから花や植物を用いた飾り物などを使ってはいるものの、一説によるとお寺で使われる供花から始まり、一般の住居の床の間に花を飾る習慣が増えていくまでには時間がかかったという経緯があります。
「床の間に飾る」と言っても、狭い場所で、さらには一般の方がお花を沢山買い集める事は難しかったため、「なるべく少ない本数できれいに生ける」ということを突き詰めていきました。
さらに最近では、畳の部屋や床の間は無くなり、マンションのように飾る場所がさらに小さく狭くなり、いけばなの生け方も柔軟に変化しています』
生け花って伝統的で格式高いイメージだったけれど、こうしてみると日本の空間の使い方とかには生け花の飾り方はやっぱり合ってる……。西洋などに比べると家の中などの飾れるスペースはどうしても少ないから、生け花の精神は参考になりますね！
Q.「アレンジメント」「花束」「ブーケ」の違いって？
「花束」も「ブーケ」も言い方を変えただけなような気がするし、どっちもアレンジしてるから「アレンジメント」の括りに入りそうだけど……この3つに違いはあるのでしょうか。こちらも引き続き伺いました。
・アレンジメントは「容器にすでに生けてあり、そのまま飾って楽しめるもの」
・花束は「横に抱えて持つ大きな花束」
・ブーケは「丸くコンパクトに持つ花束」
『アレンジメントは、籠や器に生けてありそのまま飾って楽しめるタイプのものです。吸水性スポンジにお花を挿して飾るタイプのものが主流ですが、特にヨーロッパでは近年、環境に配慮する意識も高く、吸水性スポンジをなるべく使わずに花を飾ることも増えているようです。
花束は日本語、ブーケはフランス語の違いですが、花束と言えば横に抱えて持つタイプ、ブーケと言えば丸くコンパクトに持つタイプとして使われることが多いです。
これは、以前より抱えて持つタイプの花束が主流だったところに、結婚式で持つウエディングブーケのような形に作られた花束も一般に選ばれるようになり、そのようなコンパクトな形の花束をブーケとして呼び方が使い分けられるようになりました』
「花束」を頭にイメージしながら、違いがわからずに「ブーケ」を注文したら全然イメージと違った……なんてことになってしまうかもしれないんですね！ 似ているようで全然違う３つ、ちゃんと区別できるようにしたいですね。
ギフトなどでお花を買い求めるときや、家にお花を飾るときの飾り方などを探すときなど、自分のイメージにより近いものが探せるように今回紹介した用語の違いを是非参考にしてみてくださいね♪（山口彩楓）
石動 力（イシドウ チカラ）さん
hanane owner 兼 CEO
華道家元池坊 いけばな教授免許取得
神奈川県横浜市出身、花屋チェーンに就職し6年間勤務。退職後、約2年ドイツに単身渡欧し、フラワーデザインの修業を積む。その後ビジネスを学ぶべくベンチャー企業に就職し、取締役CFO兼上場準備責任者に。いずれも上場を果たし、並行して花の活動を再開。2016年11月に株式会社hananeを設立。また2019年には港区⻁ノ門にhananeというフラワーショップをオープンさせ、花屋としての店舗販売と並行し、規格外の花を活用した店外活動を行っている。
