人生の落とし穴を回避!人気作家に「仕事と恋で幸せになるコツ」を直撃!

人気作家・青木祐子さんに直撃インタビュー!


多部未華子さん主演でドラマ化された『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』シリーズなど、働く女性のリアルを描いた作品が続々ヒットをしている作家の青木祐子さん。

その最新作は『派遣社員あすみの家計簿』。主人公の藤本あすみ(28歳)は、恋人の理空也に騙されて、勤務していた大手企業を寿退社。通帳残高が428円しかないところで、物語は始まります。

派遣社員あすみの家計簿

――本音では、「結婚したら、つらい仕事を辞めて、いったん専業主婦になりたい」と思っている人は少なくありません。だから、寿退社の道を選ぶあすみちゃんのことを他人とは思えないんです。

青木祐子さん(以下・青木):しかも理空也は、飲食店運営会社の社長と名刺まで作ってウソをついていました。これはなかなか見抜けない。会社を辞め、家賃やクレジットカードの引き落としもあるのに、通帳残高は428円。追い詰められた状態です。

 

――私だったらどうするだろう……とりあえず、親に借りるか、キャッシングするか……。

青木:人の生き方はお金の使い方に出ますよね。ピンチの時にどうするか、どこにお金をかけるか、何を節約するか……。私はもともと女性誌を読むのが好きなのですが、ここ数年はファッションや美容よりも、「家計簿」「節約」「副業」「ポイント」などの特集が増えているように感じます。支出をいかに減らして、少しでも得をする方法を多くの人が知りたがっている。そういう背景もあり、作品のキーワードは「家計簿」にしました。お金との付き合い方には、その人のパーソナリティが表れます。

 

――あすみちゃんは、ブランド万年筆を一点買いしたり、コスメにお金をかけようとしたり、とても親近感が持てます。

青木:そしてお金が足りなくなる……。今の20~30代は手取りの収入が少ない人が本当に多いと思います。月収が10~20万円台で一人暮らしをしている人も多いです。そこから家賃、食費、通信費、ファッション、美容、貯金、交際費などを皆さん出している。そのリアルな生活を知りたいと思ったのも、この小説を書くきっかけだったのです。

 

――周りを見ても出費にメリハリがある人が多いです。10万円の靴を買っても、電気代は基本料金+数百円とか、食費を1日200円にしているという人もいます。

青木:それはすごいですね。今の日本の個人消費の落ち込みを見ていると、慢性的に金欠状態ということがよくわかります。金欠について考えたときに、これは私の持論なのですが、真面目な人ほどお金が足りなくなるのでは……と感じるのです。

 

――真面目なら貯金ができるのでは? 

青木:仕事、遊び、恋に対して真面目ということです。メディアが「女の子はこれが好き」と紹介すれば、真面目にパンケーキやタピオカの行列に並び、安くはない食べ物を楽しむ。それは真面目さゆえだと思うんです。

 

――空気を読んで周囲に合わせたり、周囲の期待に応えようとする人も金欠傾向かもしれません。

青木:真面目だから、自分が擦り減っても、相手の期待に応えてしまう傾向があると思います。仕事だって、給料が上がらなければ、手を抜いたり、転職すればいい。それなのに、真面目に向き合って、求められている以上の結果を出そうとする。報われないことに努力を続ける必要はないのにね。

 

――頭ではわかっていても、行動ができません! どうすればいいでしょうか?

青木:まずは、自分のルールを確立すること。そして、見栄を張らないことでしょうか。私の小説『これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~』の主人公・森若沙名子(27歳)は、あすみちゃんと対照的なキャラクターです。彼女がお金に困ることは絶対にない。なぜなら、自分ルールが確立しているからです。物事の好き嫌いをハッキリし、衣・食・住に見栄がない。そして、有益だと判断した情報でも、そのまま鵜呑みにせず、自分の中で咀嚼して「自分ルール」に落とし込んでいます。

 

――確かに、森若さんがダメ男に引っかかることはなさそう。

青木:あすみちゃんと森若さんの違いは、「他人に賭けるか、自分に賭けるか」ということ。あすみちゃんも、嘘で固めた恋人(他人)に賭けて、寿退社し無職になってしまいました。森若さんは、常に自分に賭けており、他人に賭けるというチャンネルがないように思うのです。

 

――青木さんご自身はどっちのタイプですか?

青木:自分に賭けるタイプです。私は30歳前後で投稿するための小説を書き始めたことが最初の賭けでした。そして、デビュー3年目に専業作家になるために、会社を辞めたことが次の大きな賭け。それまでヒット作もなくどうなるか全くわからなかった。しかし勤めながらでは思うように書けない。それで自分に賭けて会社を辞めたことが大きな岐路になったのです。

 

――たった一人で、自分に賭けて会社を辞める……。ゾクゾク来ます。

青木:今思い出せば、苦難の道でしたよ。専業作家になってからヒット作に恵まれて今がありますが、ダメだったらどうしていたんでしょうね? 会社員に戻ろうと思っていましたがどうなっていたんだろう……。

 

――ズルズルと続けることで、取り返しがない方向に行ってしまうこともあります。

青木:投資も利益が出なくなったら、損をしていても回収します。人生の場合は、自分が楽しさを感じなくなったら切るのです。これは人生の選択だけでなく、実らない片思い、結婚してくれない恋人、行かないスポーツジム、使わないアプリのサービスなど皆同じです。

 

――恋愛も損切は早い方がいいんですか!?

青木:あくまで、私の場合です。全員が当てはまるわけではありません。恋愛観は、年齢によっても異なってきます。20代は外見や性格、お互いの気持ちが大切ですが、30代になったらそこに安定感も必要になる。アラフォー以上になると、顔も性格もお互いの気持ちも関係なく、経済力と言い切る人も増えてきます。恋愛に限らず、大切なのは、自分の軸で判断すること。この軸があれば、人は幸せになれると感じますし、もし人生の落とし穴があったとしても、そこを踏まないで済むと思うのです。

 

青木先生の最新作『派遣社員あすみの家計簿』は、通帳残高428円で追い詰められた状態から、あすみちゃんが起死回生を経て強くなっていく物語です。最初はダメダメなあすみちゃんが、行動力と決断力を持ち、生きる力が強くなっていく。そんな勇気をもらえる小説です。読めば「私も自分の人生を生きよう」「今までの人生を変えよう」という気付きがあるはずです。

派遣社員あすみの家計簿

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