代表的な子宮の病気と予防&早期発見のためにできること
近年、20代でもリスクが高くなってきている子宮系の病気。「あれ? これってもしかして……」と不安になる前に、正しい知識を身につけ、若いうちから予防をして早期発見につなげましょう。今回は子宮系の病気とその予防・早期発見のためにできることを、産婦人科医・丸田佳奈先生に聞いてみました。
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20代でもリスクがある代表的な子宮系の病気5つ
「まだ若いから大丈夫」と安心するのはダメ! 子宮の病気は20代でもリスクがあり、重い症状がなく気づきにくいものも。早めの検診は予防になるだけでなく、自分の体への意識も変わるかも。
20代でもかかるリスクのある、代表的な子宮系の病気をご紹介。
①子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
20〜30代女性の20%にみられる病気。子宮の筋層にコブができる病気。良性の腫瘍だが、できる場所により月経トラブルを引き起こしたり、不妊や流産、早産などの原因になることも。小さい場合は自覚症状がないことも多い。
②子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
20〜30代女性の10%は疾患あり。子宮内膜が、腹膜や卵巣など子宮の内腔以外に発生し、増殖する病気。症状が進むと強い月経痛や腰痛、性交痛を起こしたり、周囲の臓器と癒着したりして、不妊の原因にもなる。
③卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)
かなり進行するまで自覚症状が出にくい。卵巣に腫瘍ができる病気。初期は無症状で、大きくなってから下腹部痛、頻尿などの症状が出る場合が多い。腫瘍がおなかの中でねじれてしまうと、突然の強い下腹部痛が出現することも。
④子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)
重い症状が表れず気がつきにくい病気。子宮の下部にある子宮頸管に炎症が起きる病気。性病からなる場合が多く、自覚症状が出にくいのが特徴。またクラミジア感染による子宮頸管炎の場合、放置すると不妊の原因に。
⑤子宮頸がん(しきゅうけいがん)
ウイルスの感染が主な発症原因のがん。子宮の入り口に発生するがん。主な原因は、性交渉によるヒトパピローマウイルスの感染。性経験のある女性なら50%以上が生涯一度は感染するとされている。免疫で排除されることが多いが、居着いてしまうと子宮頸がんが発生すると言われている。
20代でもまれに発症する危険がある…「乳がん」
発症率が高まり、11人に1人はいるといわれている。40代の発症率が高いが、20代でもまれに発症。早期発見には検査だけでなくセルフチェックも重要。しこりや引きつれなど、乳房に異常を感じたらすぐ病院へ!
病気の予防と早期発見のためにできる3つのこと
①自分の体の小さな不調を見逃さない工夫を!
「子宮の病気や性感染症は、生理の不調やおりものに変化が出ることが。基礎体温をつけ、調子をメモするなど、日頃から記録をつけて。今は便利なスマホアプリもあるのでぜひ活用を」(丸田先生)
②かかりつけの婦人科医を作り、小まめに通う
「いつでもすぐ婦人科に相談しに行けるよう、検診などで日頃から受診し、自分に合う病院を探しておきましょう。また、病気の早期発見のために年に1度は医療機関で検診を受けて」(丸田先生)
③規則正しい生活を心がけ、ストレスをためない
「生活習慣やストレスに影響を受けやすい女性ホルモン。婦人科の病気には女性ホルモンの乱れが原因となるものもあります。不調がなくとも生活に気を配り、ストレスをためない努力を」(丸田先生)
■教えてくれたのは…
現役の産婦人科医として、様々なメディアで女性の体や美に関して発信中。著書『キレイの秘訣は女性ホルモン』(小学館)は、女性の体の仕組みや美しく生きる秘訣が満載!
撮影/金野圭介 イラスト/たなかみさき 構成/西村真樹、衛藤理絵 WEB構成/佐藤佑月