女子旅にも、一人旅にも人気の京都。ただ大人気なだけに「どこへ行っても混んでいるのがネックだなぁ~」と思いませんか?
もし人混みを避けて京都を楽しむことができたら?
どこへ行ってもすいている状態で、見たいものをマイペースに見て回れたら?
「そんな京都旅行、超理想!」と思う方、多いのではないでしょうか。
人混みの少ない京都を楽しむための方法を、「そうだ 京都、行こう。」でおなじみのJR東海さんに聞いてみました。
▼京都は好き、人混みはイヤ…なら狙い目は「朝」!?
京都といえば混んでいる。そんなイメージを覆し、人の少ない京都の街を独占したい。でもそんな都合の良い方法あるの?
結論から言うと、その方法は存在するそう。それは……
ずばり、早朝観光!!
……早朝かぁ。。。
何を隠そう、子どもの頃から早起きが超苦手な私。正直「早起きはちょっとなぁ」という思いが一瞬頭をよぎりました。
でもプロがおすすめと言うからには、きっと何かメリットがあるはず。それにまだ広く知られていない楽しみ方を知っていれば、誰よりもオトクに京都を回ることができるかも。というわけで、思い切って「早朝の京都観光ツアー」に参加してみることに!
そして実際に行ってみると、今まで想像したこともなかった「早朝の京都」の魅力が見えてきたのです。
▼混まない、楽しい!早朝の京都3つのメリット
まずはじめに、早朝観光で得られる3つのメリットをご紹介しましょう。
◆メリット1「人が少ない」
一番分かりやすいメリットがこれです。人が少なく、街がとってもすいている。
京都の街は国内からも海外からも観光客が押し寄せるため、土日はもちろん平日でも賑わっています。とくに桜や紅葉の季節は「待っていたバスが来たけど乗り切れない」というほど混雑することも珍しくありません。
でも早朝、とくにオフシーズンの早朝は、まだまだ人が少ない! 実際に行ってみて本当に驚いたのですが、神社仏閣も交通機関もお店も全部すいているから並ばずに済むし、移動も楽ちんなのです。京都なのに人混みゼロ。これならマイペースにスイスイと観光できます。
◆メリット2「特別な景色を楽しめる」
さらに気合を入れて早起きすれば、京都の随所にある有名な建造物と日の出のコラボを楽しむことも可能です。早朝の京都巡りは今ちょうど注目され始めたところで、有名なお寺や神社と連携企画を組むツアーも現れています。
平等院鳳凰堂も、朝焼けのもとでは新鮮な印象に。(※写真はイメージです)
今回私が参加したのは、JR東海が行っている「春はあけぼの 京都の世界遺産いちばん乗りツアー」というもの。このツアーでは清水の舞台で知られる「清水寺」、10円玉に描かれた鳳凰堂で有名な「平等院」、五重塔が印象的な「東寺」など、国宝指定を含む建造物を早朝から特別拝観できるコースがいくつか用意されています。場所によっては日の出とともに夜景やライトアップを楽しめることもあるのだとか。
とくに冬場は日の出の時刻が遅めなので、早起きが苦手な方にもおすすめ。2月の日の出時刻はだいたい6:30〜7:00前後。(ただしこの時刻には空が明るくなってしまうので、日の出が見たい場合は40分くらい前には現地に到着していたいところではあります。)朝4時台に日が昇る夏に比べればずっと楽に起きられる時刻です。
◆メリット3「特別な体験ができる」
早朝は、どこに行っても人がほとんどいない状態でゆったり散策できます。また社寺と連携しているツアーに参加すると、お坊さまの朝のお勤めを見学したり、通常非公開の場所に特別に入ることができたりといった普段はできない体験をすることも可能です。
たとえば年中混みあっている清水寺。こちらには「西門」という、国の重要文化財に指定されている門があります。かつて天皇の勅使だけが通行を許された西門は、現在も普段は立入禁止。一部ツアーではそこに特別に入り、京都の街を一望することができます。
この西門から見る夕陽は極楽浄土を彷彿とさせると言われ、観音さまの教えを体感する「日想観」という修行の場として古くから用いられてきました。
修行に使われている特別な空間「西門」から、京都の街を見下ろせます。
爽快感、そして特別な場所にいられる優越感……。
普段はなかなか知ることができない清水寺にまつわるお話を直接聞けるのも嬉しいポイント。誰もいない朝の本堂でお坊さまとお勤めができたり、有名な「音羽の滝」で朝一番の水をいただけたり……。お坊さまもやはり「朝は良い時間です。開門の前はやはり空気が張りつめており、滝の音、山の風、鳥の声……通常ですとなかなか聞こえない”音”も楽しめます」とお話されていましたよ。
また同じ清水寺には「経堂」という、やはり立入禁止の場所があり、こちらの天井に描かれた龍は360度、部屋のどこから見ても目が合うようになっているとのこと。
実際に部屋をぐるぐる歩き回って試してみると……。
本当にどこからでも目が合いました! 不思議。
繰り返しになりますが、西門や経堂はあくまでも通常非公開。ツアー参加者のみが入れる場所なので、気になる方は要チェックです。
ツアーがかなり面白かったのでツアー推しでやってきたものの(笑)、「ツアーに参加しないと京都って楽しめないの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ツアーに参加しなくても拝観できる場所も、もちろんたくさんあります! たとえば2019年冬は「第53回 京の冬の旅」というものが開催されており、期間限定で絵画や仏像を公開している社寺も多数。「芸術」をテーマに京都をめぐるって、なんだか大人な気分です。
たとえば有名な仁和寺のすぐそばにある転法輪寺というお寺には、ちょっと変わった涅槃図が。
この涅槃図は縦5m30cm×横3m90cmの特大サイズで、お釈迦様が肉体的に亡くなる瞬間を描いたもの。人々や天からの使い、それにたくさんの動物達がお釈迦様の死を悼み、周りを囲むように描かれています。……が、この中で1匹だけ、お釈迦様ではなく獲物のネズミに夢中な動物がいるのです。その動物とは、ずばり猫!
転法輪時のお坊さまからは「この大きな図の中にいる猫を探してみてください」とのお話が。壁いっぱいに広がる絵図の中にいる1匹の猫。「涅槃図」と聞くとかしこまって見なければいけないようなイメージもありますが、きちんと知って見ると、こんな楽しい遊び心も感じ取れて、京都旅行がさらに楽しくなる! 他の涅槃図でもそういう遊びはあるのかな、と探してみたくなりますよね。
猫好きさんはぜひ転法輪寺を訪れ、涅槃図の中を探してみてください♡
「第53回 京の冬の旅」(公益社団法人京都市観光協会)
このように今回の早朝ツアーでは、地元の方でさえ見たことのないもの、したことのない体験にふれることができました。早起きすれば1日をたっぷり使えますし、「せっかく旅行するならあれもしたい、これもしたい」と思う人には、断然早起きがおすすめです!
「春はあけぼの 京都の世界遺産いちばん乗りツアー」(JR東海)
▼朝の京都を200%楽しみ尽くす、3つのプラン
ではここで、実際に行ってみて発見した「早朝の京都を200%楽しむプラン」を3つご紹介しましょう!
1. 日の出鑑賞
京都にたくさんあるものといえば、有名なお寺や神社などの建造物。平等院や清水寺、五重塔など、旅行雑誌や教科書でも見かける建物が朝焼けに染まる景色は、まさに「感動」の一言!
私も実際に日の出鑑賞に行ってみました。明けていく空特有の、オレンジと紫のグラデーション。のぼり始めたばかりの新しい太陽の光。それを背景に佇む国宝級の建造物の荘厳さは、圧巻です。それこそさまざまな雑誌やSNSで美しい写真が溢れる現代ですが、やはり「生」の感動は、何にも代えがたいもの。心が洗われるようなあの体験は、朝ならでは、です。
2. 早朝ランニング(orウォーキング)
身体を動かすのが好きな方は、ぜひ朝のランニングを楽しんでみてください♪ これは旅慣れたツアースタッフの方が実際に実践している楽しみ方。旅先でのランニングは開放感が素晴らしいのだとか!
平安神宮をはじめ、京都の社寺には無料で入れる場所もたくさんあります。朝から入れるごはん屋さんやオシャレなカフェ・喫茶店も多数。澄んだ空気や昼間とは違う街の表情、地元の人しかいない道を走る爽快感を想像すると、普段全く運動しない私も「やってみたい!」とウズウズ。走り慣れていない人ならウォーキングや散歩でも充分楽しめますよ〜!
3. 特別な朝ごはん
旅行といえば朝ごはんも欠かせないポイント。京都にはイノダコーヒをはじめとした喫茶店モーニングや、朝からおばんざいをいただけるお店など、朝食営業をしているお店が多数ありますが、やはり一度は行ってみたい、憧れの「京の朝食」の最高峰といえば、『瓢亭』。
450年の歴史を誇る老舗高級料亭『瓢亭』は、京都が誇る名店の一つ。
そんな『瓢亭』の朝の看板料理といえば、老舗の味をふんだんに詰め込んだ「朝がゆ」です。もともとこの朝がゆは、祗園界隈で夜遊びをした京の旦那衆が、芸妓さんと連れだって朝にやってきて「何か食べさせてほしい」と頼み、そこで瓢亭のご主人がありあわせのものでおかゆをこしらえた……そんな出来事から生まれたと言われています。そういったお品ですから、京都の夜を楽しんだ翌朝にもぴったりですね。
春~秋は通常の白がゆですが、今回いただいたのはなんと冬季限定の鶉がゆ。うずらのお肉と三つ葉の風味と出汁の滋味深い美味しさに溢れ、冷えた体をあたためてくれます。
ちなみにおかゆ以外のお料理は月ごとに旬の食材を使ったもの。何度行っても楽しめます。
このときは、朝から鯛の求肥巻きや鰆の塩蒸し、京都ならではの海老芋や湯葉など、いただくたびに素材の美味しさが体にひたひたと染みていき、体も心も満たされるメニュー。特に菜の花と梅麩が入った白味噌のお味噌汁は、ひと口飲んだだけで口の中に優しく濃い旨みが広がり、おかわりが欲しくなってしまう美味しさ……。帰ってきてしばらく経っても忘れられません。
そんな季節そのものを味わえるような朝食ですが、唯一不動で通年提供されるのが、瓢亭450年の歴史とともに歩んできた名物の「瓢亭玉子」。シンプルなゆで卵のように見えますが、このとろりとした黄身は、まさに絶品。
通常、本店の昼食は23,000円〜、夕食は27,000円〜(各税サ込)というこちらのお店ですが、別館で提供される朝がゆはなんと一式で4,500円〜(税サ込)という破格のお値段(※こちらは別館で食べたときのお値段。本館でも提供されますが別価格となります)。
至福の朝食から始める一日は、まさに格別。日頃のストレスもすべて飛んでいくような、限りなく贅沢な時間。早起きは三文の徳とは、まさにこのことかもしれません。豪華な食事を楽しみたい方にも早起きはとってもおすすめです。
▼早朝観光なら時間もお金も最高にオトク◎
京都の朝にはワクワクとお得感がいっぱい詰まっていました。ちなみに東京帰還後の私はといえば、「早起きは楽しい」と旅先で実感できたためか日常に戻ってからも比較的朝寝坊せずにすんでいます。嬉しい旅のお土産と言えるかも。
願わくばこのまま早起き生活を続けたいものですが、もしもまた朝寝坊の癖が戻ってきてしまったときには……ああうん、そうだ。京都、行こう。(笑)
■取材協力 JR東海「そうだ 京都、行こう。」
(取材・文/豊島オリカ)