◆ほんもの遊び人・高野さんが教える、横浜おさんぽデートのすすめ【たかのさんぽ 元町・横浜中華街編 第4回】
あなたは「極上の遊び」を、知っていますか?
それは、「お金をかけなければいけないこと」や「自分には縁遠いこと」……そんな風に思ってはいませんか?
でも、そこまでお金をかけなくても、遊びの種も、毎日を楽しく過ごす方法も、たくさんあるのです。
そんな「極上の遊び」のナビゲートをしてくれるのは、東京・築地生まれ、銀座界隈で幼少期を過ごし、東京中、そして日本中の「究極」や「いいもの」「おいしいもの」を知り尽くした「ほんとうの遊び人」で、現在TSIホールディングスなどで顧問をつとめる高野茂さん。
今回は、CanCam it girl 渡辺光沙子さんを、元町・横浜中華街エリアの「極上のさんぽデート」に連れていってくれました。
【第4回】極上の中国茶が味わえる超人気店、「悟空茶荘」で最高のお茶の時間を
今回訪れたのは、休日の混んでいる日になると、なんと2時間待ち(!)になる日もあるという、高野さんおすすめの超大人気中国茶専門店「悟空茶荘」。
お店のたたずまいは異国情緒たっぷり。中国に旅行しに来ているよう。
1981年に「悟空1号店」として横浜中華街で誕生し、2001年に系列店としてオープンした「悟空茶荘」。1階のショップでは、新しいお茶や旬の茶葉、中国の奥地に足を運び手に入れた茶葉など、「常に何かが違う新鮮さ」を心がけた約100種類の茶葉が取り揃えられています。
さらに、中国茶の美味しさを引き立てる茶器や、中国茶に関係する書籍やCD、心地よい雰囲気づくりに欠かせない小物や雑貨など、中国茶にまつわるありとあらゆるものが店内にぎっしり。
2階に上がると、そこにはゆったりとくつろげる落ち着く空間が広がっています。ここだけ外とは違う時間が流れているみたい……。
常時40種類ほどの中国茶とデザートやフードがあります。やはり休日は混んでしまうようですが、店長の辻本さんによると、「平日の夜、会社帰りに寄ってお茶を楽しまれていくお客様もいらっしゃいますよ」とのこと。平日は休日ほど混むわけではないようですが、平日は予約をすることもできるので、行くことが決まっていれば事前に予約するのもおすすめ。
今回はお店おすすめの中国茶、「八宝茶」と「白芽奇蘭(はくがきらん)」をいただきます。
そして、お茶の時間に忘れちゃいけないお茶請け。悟空茶荘にも、タピオカや仙草ゼリーが入った中国パフェ「敦煌デザート」や、アツアツの饅頭(肉まん、なつめあんまん、きのこまんから選べます)と、ドライフルーツなどがセットになった「悟空セット」、そして「マーラーコー」と呼ばれる中国カステラに、ドライマンゴー、グリーンレーズン、ポークジャーキーがセットになった「お茶請けプレート」などさまざまな種類があります。
今回は「お茶請けプレート」とともにいただいてきました♪
それでは早速お茶をいただいていきましょう。まずいただく「八宝茶」は、六保茶(黒茶の一種)をベースに、棗(なつめ)、クコ、菊花、干山査子(サンザシ)、白木耳(シロキクラゲ)、龍眼、氷砂糖が入っている彩り豊かなお茶。こちらの悟空ではひとつひとつ手作業で詰められています。ちなみにこちらは1階でも売られているのですが、自宅で飲む場合は好きな材料を好きなだけ入れて自分でカスタマイズできるのもポイント。
こちらはお湯を注いで少しおけばすぐに飲むことができます。
見た目にも美しく、写真映えも間違いなし。そしてさすが中国茶専門店、使われている茶器がどれもとってもかわいいんです。
\いい匂い♪/
\!!/
いただいてみると、氷砂糖が入っているのでほんのり甘く、何重にも味が重なっているような複雑な味わい。いいものが入っていて、体にしみわたる……。
そして次にいただく「白芽奇蘭(はくがきらん)」は、福建省の青茶。白緑の新芽で淹れたお茶が蘭の香りがすることからこの名前がつけられています。1997年にイタリア・ミラノの国際博覧会で金賞を受賞したお茶で、悟空茶荘の数あるお茶の中でもイチオシのもの。
中国茶に詳しいスタッフが多い悟空茶荘。今回は店長の辻本さんに正しい淹れ方でしっかりと美味しく淹れていただきました。その手順を見ているだけでも楽しい!
まず、美味しいお茶の味を引き出すために、お湯はしっかり沸騰させます。「青茶」「黒茶」など、お茶の種類によって適したお湯の温度はまた異なるのですが、今回いただく「青茶」の場合は、ぬるいお湯では茶葉がしっかり開かないため、アツアツが必須。
また、それぞれの茶器はしっかりあたためることも重要。日本で言う急須である「茶壺」に、茶葉を入れる前にお湯を注ぎ、しっかりあたためます。
茶壺がすっぽりはまるサイズの、あまり見慣れない白い茶器は、「茶海」と呼ばれるもの。「何に使うの?」と疑問に思うことでしょう。こちらは、わかりやすく言えばピッチャー的な存在。茶壺からお茶を直接ひとりひとりの器に注ぐのではなく、一度茶海に注ぐことで、最初に注いだ人は薄く、最後の人は濃い……などといった、お茶の濃度のばらつきを解消することができます。こちらも茶壺をあたためたお湯を使ってあたためましょう。
しっかりあたためた茶器に茶葉を入れ、まずは茶壺に1/3程度お湯を注ぎます。こちらは「洗茶」と呼ばれる手順で、茶葉をしっかりと開かせ、お茶の香りを引き出すために行われます。1分程度待ったらお湯を茶海へ。
洗茶をした茶壺にお湯を注ぎ……。
蓋をした茶壺の上から熱湯(洗茶をしたときのお湯)をかけ、外側からもあたためて蒸らします。
少々待ったら完成! 茶海に一度注いでからそれぞれの器に注ぎます。
中国茶は基本的に5~6煎ほどは繰り返し楽しめるもの。茶葉が蒸れすぎると味に渋みやえぐみが出てしまうので、2煎め以降の味が落ちてしまわないように、茶壺のフタはあけて温度を下げておきましょう。
ところで、「いわゆるお茶を注いで飲むために使われそうな器」の横に、縦長の器がありますが……これはなんなんでしょうか?
これは、「聞香杯」と呼ばれるもの。こちらには一度お茶を注ぎ、飲む用の器に移してから、残った香りをかぐためにある……という、なんとも優雅な茶器!
不思議なのは、お茶の匂いを直接かぐよりも、この聞香杯の残り香をかいだほうが濃厚に甘いお茶の香りを感じられること……! なんとも不思議な体験ができます。
数々の手間暇をかけて淹れたお茶は、やっぱりとっても美味しい。中国でお茶しているような安らぎを横浜で体感できるのも嬉しいポイント。そして、お茶に向き合って、「お茶を淹れる時間」に手間暇をかけて楽しむことは、なんとも贅沢な時間です。お客さんの中にも、この悟空茶荘に来たことをきっかけに中国茶の世界にハマり、台湾にお茶を買いつけに行くようになった方もいるとのこと……!
また、中国茶には「養壺(ヤンフー)」という言葉があるそう。その名の通り「茶壺を養う(育てる)」こと。選んだお気に入りの茶壺でお茶を淹れ、大切に扱って手入れをすることで、その茶壺が育ち、どんどん美味しく淹れられるようになっていくというのです。
奥深し、中国茶の世界。
高野さんも、今回いただいた中国茶のように、「ちょっとの手間」を惜しみません。
高野「“ちょっとの手間”をかけるかかけないか、ひとつひとつは小さなことかもしれないけれど、それによって人生の満足度は、大きく変わってくる。“お茶を飲む”だけなら、どこでだってできる。でもこうしてひと手間かけた中国茶を味わう時間を知っているかどうかで、人生の楽しみも、奥深さも変わってくる。
もちろん、人によっては“どこで何を食べたって、どこでお茶を飲んだって、手間をかけたって、たいして味なんて変わらないよ、いいじゃん、ここで”という人もいるでしょう。もちろんそっちを選びたい人同士なら、それはそれで相性がいいんです。ただ、僕だったら、一緒に「ひと手間かけられる」人がいい。デートって、そういうところを見る場でもある。それがつまり、価値観が合うかどうか、に繋がってくる」
ここ最近婚活をしている……というみちゃみちゃにも、高野さんは「焦るとその人本来の良さが出なくなってしまうよ」とアドバイス。焦るよりも、お茶の時間を一緒に楽しめる人をじっくりと見つけていくほうが、急がば回れ、実は良い結果に繋がっていくのかもしれません。
さて、次は……立ち寄る予定はなかったけれど、ついつい目を引かれてしまい、その場で取材OKをいただいた、ある「お土産屋さん」にうかがいます。
1961年東京・築地生まれ。青山学院大学卒業。女性ファッション誌『JJ』にて、「関東VS関西企画」をはじめとしたヒット企画を生む。アパレル上場会社の東京スタイル取締役・TSIホールディングス取締役を経て、現在はTSIホールディングス顧問。
その人柄と自身の五感・経験に基づいた遊び情報は、モデル・業界人からも厚い信頼を寄せられており、日本各地のおすすめ情報を聞かれること多々。
撮影協力/悟空茶荘
神奈川県横浜市中区山下町130 045-681-7776
(平日)1F/11:00~20:00 2F/11:30~20:00(LO.19:15)
第三火曜定休
構成/後藤香織
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