大学生になると意識せざるを得ない「就職活動」。リクルートスーツに身を包み、授業の合間をぬって説明会や面接へ行くのは大変ですよね。
昔の就職活動も、同じように大変だったのでしょうか。もしかして今とは全然違うのでしょうか。そう思い、1982年から発刊されている雑誌『CanCam』をさかのぼって調査していると……すごいものを発見してしまいました。
◆90年代前半には「コネおじさん」という概念が存在していた?
今回取り上げるのは、1994年に発売された『CanCam』4月号「コネおじさんの心に響くヘア&メーク」という特集。「もしもコネクションのあるおじさまに会う機会があれば、それは大きなチャンスへの第一歩」と書いてあり、「コネクションのあるおじさま」=「コネおじさん」と呼んでいます。
つまり……コネクションのあるおじさまに気に入ってもらえれば、就職活動がラクになるってこと!? それってアリなの!?
◆しかも「コネおじさん」のタイプ別に「ウケるヘア」紹介があった
さらにすごいのが「コネおじさんのキャラクターに合わせたヘア&メークが必要」と書かれていたこと。「コネおじさん」を3つに分類し、それぞれが好むヘア&メークをして、コネおじさんに「このコの力になってやろう」と思ってもらうのがゴールのよう。コネって、特別な人しか使えないものだと思ってました……。ヘアスタイルを一部、抜粋してご紹介します。
【1】商社のおじさんは、巻髪が好き?
商社、メーカーの営業職系に多いといわれていたのが「良きパパ系ノーマルコネおじさん」。「スーツは基本的にハデなデザインでなければ何色でも可」「思わず引いてしまうようなきついメークはNG」らしいのですが、どこまで許されるのだろう、という疑問が残ります。
良きパパ系ノーマルコネおじさん用のヘアスタイルは、落ち着いた巻髪。少しだけ個性をだしたいときにおすすめとのこと。巻き髪してもよい時代だったんですね。
【2】金融系、メーカー系のおじさんには、ストレートヘア?
金融系、メーカー系に多いといわれているのが「企業戦士系まじめなコネおじさん」。「就職する」という本人の気持ちが伝わるスタイルが合格、と書かれています。ちなみに「パンツスーツはマイナスイメージ」らしいのですが、理由は「女性らしさを感じない」からだそうで……。うーん、20世紀。
そんなコネおじさんに会うときに、おすすめされているヘアスタイルは、ウェービーヘアならまとめ髪、他には「ダウンのストレート」。
まとめ髪は、現在のリクルートスタイルにだいぶ近いかもしれません。しかしストレートヘアのピアスが派手なのはよいのでしょうか。基準がないって難しいです!
【3】広告代理店、マスコミ系のおじさんにはポンパドールで……って派手すぎ!
広告代理店、出版、テレビ局などマスコミ系に多いのが「業界ノリ系ダンディーなコネおじさん」なのだそう。「清潔感があり、TPOをわきまえながら個性を感じるコ」が好感度の高いとしつつ、「ふだんのそのコを感じ取れない『就職用』すぎるスタイル」はNG、とのことで……難易度高すぎません!? そんな方にウケるスタイルとして紹介されていたヘアがこちら。
「華があって落ち着いたポンパドール」と書かれていますが、これぞ90年代というようなド派手なヘアスタイルです。ポンパドールをあまりふっくらさせすぎないことがポイントのようですが、問題はそこじゃないような気がします。
就職活動は人生の大きな岐路になる重要なこと。90年代前半の就職活動は、筆記や面接対策の他にも、業界や人別(!)に考えなくてはいけないことがたくさんあり、また違った意味で大変だった様子……。だからこそ、黒や紺のリクルートスーツや、黒色のまとめ髪が一番無難であり、現在のスタンダードになってきたのかもしれないですね。(イラスト・文/たきたて玄米)
参考文献:『CanCam』1994年4月号(小学館)
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