国立大学でコスメが専門的に学べる!佐賀大学の「コスメティックサイエンス学環」ってどんなところ?

2026年から、佐賀大学に国公立大学初の「化粧品」を専門に学べる、「コスメティックサイエンス学環」が誕生し、話題となっています。

「コスメを学ぶ」と聞いてパッと思い浮かぶような「メイクの方法を学べる」ではなく、化粧品開発に欠かせない化学・生物学を中心に、皮膚科学や薬学、心理学やマーケティングまで、「化粧品」をあらゆる角度から知り、研究できる場所です。
県としてコスメティック産業を支援し、コスメティック関連企業を呼び込み、「コスメのまち」を目指している佐賀県。だからこそ、実際の製造や開発の現場と近い距離で学べるプロジェクトも用意されているそう。


そんな「コスメティック学環」について、佐賀大学に直撃! 「どうして国立大学にコスメを専門に学べる学環ができたの?」「実際何が学べるの?」などなど、素朴なギモンに応えるQ&Aをお届けします。

Q.なぜ「コスメティックサイエンス学環」が生まれたのでしょうか?

佐賀県は2013年から「コスメティック構想」を進めており、「THREE」など化粧品関連企業を誘致し、県をあげて研究開発を行いやすいまちを目指しています。
この「コスメティック構想」を支援すべく、化粧品産業の成長と地域振興を両立させる教育拠点として登場しました。研究者としての技術はもちろん、総合的に化粧品産業に貢献できる人を育成するべく生まれています。
佐賀大学は国立大学ですが、おそらく私立大学を含めても、ここまで専門的に化粧品関連に特化して学べる大学は、日本では初めてではないかなと自負しています。

Q.「コスメティックサイエンス学環」って何が学べるんですか?

よく聞かれるのですが、メイクアップの技術を教えるわけではありません。
化粧品は、さまざまな化学物質の複合でできています。それぞれの成分がどんな性質で、人間の体にどう作用するのかという、従来で言う理工学部的な「サイエンス」が学びの中心です。

ただ、化粧品は世の中に出回り、誰かに使ってもらうことが重要です。理系の専門知識に加えて、世に出るための知財やプロダクトデザインの専門知識もある方は現在はまだまだ希少ですが、化粧品業界では確かに求められています。そのため、理系と文系の両方の知識を専門的に学べるプログラムを組んでいます。

ちなみに、「学環」とはさまざまな学部のリソースを集結したもので、佐賀大学が持つさまざまな学部の専門知識を、「化粧品」という軸で学べます。メインとなる化粧品の科学技術は、理工学部の化学部門と農学部の生命機能部門です。ほかにも、皮膚科学は医学部、マーケティングは経済学部、パッケージデザインは芸術地域デザイン学部など、あらゆる学部の専門分野を取り入れながら分野を横断して化粧品について学ぶことができる場所、それが「コスメティックサイエンス学環」です。

▼MEMO 学部と学環の違いって?
学環とは、学部が連携して編成される教育課程のこと。学部の枠を超えて学べる新しい学びの形。学部と同等の組織で、履修方法や学位、学生の身分は学部と同じ。卒業すると学部と同じ「学士」の学位を取得可能。
現在文部科学省により定められている、「大学設置基準」によると、学部を新設する場合は、その新設学部のための授業科目や教員が新たに必要になるが、学環は従来の学部の教員・授業科目・施設などのリソースを有効活用しながら新しい学びを提供することが可能で、スピーディーに設立ができる。

Q.具体的にはどんな授業がありますか?

1年生の後期からカリキュラムにある「コスメティックサイエンスPBL」という授業では、設定された課題について少人数で取り組む体験学習をします。たとえばですが「10代向けの化粧品をデザインしなさい」という課題のもとに、どんな成分で、どんなデザインの化粧品を作るか、主体的に考えながら学びます。
4年生まで「コスメティックサイエンス実験」を学びの中心としながら、コスメ関連企業や地域、自体ともつながりながら実践的に学び、化粧品の研究開発や製品企画など、化粧品に関わるあらゆる分野で活躍できる学生を育てていきます。

Q.学生さんからの反響はどうですか?

やはり最初にオープンキャンパスを行った時点でほぼ満席と注目度も非常に高く、他の学部では九州以外からの参加が1割以下なのですが、コスメティック学環は約3割が県外から。西日本が中心でしたが、北海道から参加された方もいました。

「思ったより真面目だった」「メイクアップを学べるわけではないんだ」といったものもありました。「自分は皮膚が弱いので、化粧品について体系的に学んで、同じような方に向けて化粧品を作っていきたい」という学生さんの声など、熱意がある方が多いです。おかげさまで初年度の入試倍率は7.3倍となりました。

また、2026年9月29日には、唐津市を舞台に学環生がフィールドワークを行い、実際に化粧品原料の生育から成分抽出、それを基にした化粧品製造及びパッケージング、流通までを見学しましたので、それも学生からは非常に好評でした。

Q.予想される進路はやはり化粧品業界でしょうか?

はい。学環自体は2026年度からなのですが、コスメティックサイエンス学環に所属されている先生のもとで学んだ理工学部や農学部の学生さんは、有名どころでいえば資生堂、コーセー、ファンケル、アルビオンなどに就職されています。
学環の学生が卒業する4年後を見越して、実はすでにさまざまな化粧品メーカーの皆様からお声がけをいただいており、ありがたい話です。学環のパンフレットには、シャネルR&I化粧品研究所の原田康子所長からも「化粧品について専門的に学べる環境は羨ましいばかりです」といった応援メッセージをいただきました。

ぜひ、佐賀県に拠点を設ける化粧品関連企業で活躍してもらえたら嬉しいですが、まだまだ数が不足しています。佐賀県のコスメティック構想や、唐津市でも企業の生産拠点や研究施設の誘致を進めていると聞いておりますので、ぜひ大学としても今後も協力していきたいと考えています。

もちろん、「コスメティック学環に入ったから化粧品メーカーしか進路がないよ」というわけではなく、食品や飲料、各種メーカーの品質管理や自治体の産業振興部門などに繋がる学びもあります。

さらに、ご自身で化粧品のスタートアップ企業を立ち上げるという選択肢も視野に入るような学びを提供しています。

まだ数年先の未来ですが、コスメティック学環を卒業して化粧品業界で活躍するOB・OGがゲストスピーカーとして授業に来ていただくなど、より学生と化粧品業界、そして地域が連携して盛り上げていけるような好循環を作っていけたらと思います。

Q.最後にメッセージをお願いします!

ここまで化粧品に特化して学べる大学はそうないと自負しています。「化粧品業界に進みたければ、佐賀大学のコスメティックサイエンス学環」といったイメージを持っていただけるよう、積み上げていきたいです。
本学で教えている先生も「化粧品は、人を幸せにするアイテム」と言われています。その化粧品について総合的に学び、よりよい化粧品を世に送り出していきたい、熱意がある方に学んで活躍していってもらえたらと考えています。国内外のコスメ業界をさまざまな形でリードする人を育てられるよう、目指しています。

佐賀大学 コスメティックサイエンス学環 公式サイト
https://www.cosme.saga-u.ac.jp/
構成/後藤香織