「ポチ」とは、もともと「小さい」「ほんの少し」という意味の上方の言葉。「ぼちぼち」という言葉に由来しているという説もあります。
明治時代から、旦那衆がお茶屋遊びをする際、ひいきの芸子にご祝儀を渡すのに使われ始め、木版のポチ袋の美しさに魅せられた絵師たちが、さらにさまざまな図版でつくるようになったとか。
心付けやお車代、おこづかいやお年玉など、“ほんの少しのお金”を入れるのが主な目的。『和樂』8・9月号では、そんな「ポチ袋」を素敵に使いこなすためのポイントを解説します。
正式な祝儀袋とはことなり、厳密なルールなどはありませんが、覚えておくときっと役に立つはずです。
ルール1 御礼は顔を内側「右前」の3つ折りに
紙幣の顔が印刷されている面を内側にして、左→右の順で3つ折りに。ポチ袋を表に向け、折った紙幣を上下さかさまにならないように入れましょう。
ルール2 封はしない
お車代などを相手がサッと取り出して使えるよう、ポチ袋はのり付けなどはせず、封をしないのが基本。お札は新券を用意しておきましょう。
ルール3 入れる金額は1万円までが目安
小さい袋にお札を無理やり何枚も入れるのは無粋。お札は最大3枚までにしたいところです。ただし3万円ともなると、祝儀袋に入れた方がスマートです。
ルール4 表書きはあってもなくてもよし
「お車料」「心ばかり」といった名目は、あったほうがわかりやすいが、なくても失礼にはあたりません。美しいデザインを優先して生かしましょう。
ルール5 目上の人には使わない
略式の祝儀袋であるポチ袋は、原則として目上の人から目下の人に対して渡すもの。目上の方には、お札を折らず入るサイズの白封筒などが無難です。
小さくてかさばらず、何よりも美しいデザインが豊富なポチ袋は、お金を入れて渡すだけではもったいない! 小物入れとしてはもちろん、ミニ便箋やミニカードを入れる封筒がわりにするのも素敵です。
また、お気に入りのお香をバッグやタンスに忍ばせる、オリジナルのにおい袋にしても。小さいプレゼントをポチ袋に入れてリボンをかけると、ポチ袋自体も贈り物になります。
季節の風物詩や伝統柄、遊び心のある衣装を余すことなく楽しみましょう。(鈴木 梢)
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