【京都旅行】鴨川の眺めをまったり独り占め。幸せに満たされた最高のお宿発見

4月下旬並みと言われるほどのあたたかさがやってきて、春到来! 寒い冬を抜けた柔らかな気候の中、行きたくなる場所といえばテラス席。たっぷりと日差しを浴びて春を全身で感じて、のんびりとくつろぐ贅沢な時間。それがもし、川沿いや海辺だったりしたら、もう最高。
でも、そういうカフェって、もちろんみんなが行きたがるから、だいたい激混みです。

そんな中、重めの仕事を終えてカラカラに乾きすり減りきった心身を抱え、「気分を変えてリフレッシュしたい」と京都を訪れた私・ライター後藤。
ある京都のお宿で、何時間も「鴨川沿いのテラス」で心ゆくまでのんびりしたら、思っていたよりものすごーく気分転換になりやすらげてしまいました。
チェックインの夕方からチェックアウト後の翌日お昼までのまったり記録をご紹介させてください。

すぐそこ鴨川。

【16:00ごろ】チェックイン

そのお宿は、昔ながらの京都のノスタルジックな街並みを残す、五条エリアの鴨川沿いにたたずむ「Genji Kyoto」。20代が中心となって、京都の銭湯文化を守り抜く、地元の方にも観光客にも人気のスポット「サウナの梅湯」や、任天堂創業の地で旧本社社屋を生かして2022年に開業したばかりのホテル「丸福樓」など、話題の場所がすぐ近所に点在する五条エリア。京都駅や、繁華街の中心四条河原町、錦市場や先斗町も徒歩20分圏内とアクセス良好で、祇園や清水寺も徒歩25分程度と、京都旅行の拠点にするのにちょうどいい立地にあります。

ただでさえどこにでも出やすいのに、自転車の無料貸し出しサービスを行っているのも嬉しいポイント(台数に限りあるので要注意)。私も実はチェックイン前、午前中から荷物を預けがてら自転車をお借りして鴨川沿いを爆走していました。

茶色い折りたたみ自転車でとってもかわいかったのでつい鴨川と一緒に写真。

京都サイクリングの最後は対岸からGenji Kyotoを眺めて、いざ戻ってチェックイン!

「Genji Kyoto」と名づけられたお宿だけあり、お部屋の名前はもちろん、すべて京都の職人が心を込めて作り上げた家具や照明など、あらゆるものが『源氏物語』のイメージやモチーフから来ています。居心地のいいロビーからは、「浮舟の庭」と名付けられた、現代風に解釈された枯山水の中庭を眺めることができました。

外の気温が気持ちいい季節になると、この中庭に面した大きな窓を開け放ち、こちらの縁側にてくつろぐこともできるそう。なんて優雅な時間…。
美しいロビーの空間を楽しみながらウェルカムドリンクのコーヒーと抹茶の一口菓子をゆったりと味わい、お部屋へ向かいます。

【16:20ごろ】お部屋へin

お部屋に入って何より目を引いたのが、鴨川を臨む大きな窓でした。

鴨川が目の前をゆったりと流れていて、自分以外誰も来ないテラスで心ゆくまでまったりのんびりできます。幸せ…。

テラス以外にも鴨川を見ながらソファでくつろぐも、畳の上でまったりしてもよし。和と洋がちょうどよくミックスしている心地いい空間です。


しかも外に行かなくてもすぐに飲めちゃうミニバーつき。(※最初宿に着いたとき疲れすぎていて、オールインクルーシブで飲み放題なのかと勘違いしましたが、有料なので泊まる方はお気をつけください)

無限にリラックスできる空間でごろごろしながら、京都の夜の計画を立てるだけでも楽しいものでした。

【21:00ごろ】お部屋で夜の一杯

夕飯はホテルのオールデイダイニングに注文するもよし、近隣に出かけてもよしですが、私は行きたい店があったので、少し足を伸ばして四条エリアへ。京都の街並みが楽しめて歩くだけでも楽しい、高瀬川沿いの木屋町通りを往復し、お宿へ帰ってきたのは21時過ぎ。

夜の照明のロビーラウンジは、まだ明るさが残っていたチェックイン時とはまた異なる雰囲気に包まれていました。
そしてせっかくなので、ラウンジにて、Genji Kyotoのシグネチャーカクテル『紫』を注文。日本酒をベースにしているためアルコール度数は強めですが、甘く飲みやすい仕上がり。美味しい…。

すべての食事やドリンクは、ラウンジでもお部屋でも、さらに屋上にあるスカイフォレストガーデン(後述)でも、どこで味わってもOK。注文すると好きなところにスタッフの方がサーブしてくれます。私はお気に入りスポット・お部屋のテラスでまたも鴨川の水面を眺め、夜風に吹かれながらのんびり…。

「あぁ、いい京都の1日だった」と美しく締めくくってくれるお酒とともに過ごした夜は、「何も考えずにぼんやりする時間」の中でも、かなり最高級で幸せな時間でした。

【翌朝7:00ごろ】朝日とともに起床

ふと目を覚ますと、7時少し前。ゆっくりとベッドから起き上がりテラスへ向かうと、そこには東山からのぼり鴨川を照らす、美しい朝日。

あまりにもきれいだったので「朝日が昇り切るまでの20分間、ずっと眺め続ける」というとても贅沢な時間の使い方をしてしまいました。何をしているわけでもないのに、日々やるべきことですり減りがちな自分の中が何かにひたひたに満たされていく感覚です。

そして、お待ちかねの朝食タイム。洋食・和食を選べるのはもちろん、場所も夜のカクテル同様、お部屋やラウンジ、屋上など、好きな場所を選べます。好きな場所で食べられるって、結構すごーく嬉しい。
せっかくなので屋上でたっぷりと日差しを浴びながらいただきたかったのですが、この日は朝食の時間は少し風が強かったため、和朝食をお部屋で鴨川を眺めながらまったりといただきました。

こだわった器に盛り付けられた、京都ならではの出汁が効いた優しいお味の朝ごはんをゆっくりと味わったあとは、少しあたたかくなってきたのでテラスでコーヒータイム。

最高〜。

この朝食後のコーヒータイム兼メールチェックタイムで、地味にものすごく重要ポイントに気づいたのですが、館内のフリーWi-Fiはかなり強めに飛んでいます。がっつりワーケーションしたいという方も、緊急の仕事だけ急ぎ対応する必要があるという方も、どちらも安心。

【10:00ごろ】ルーフトップを独り占め

このお宿の嬉しいポイントは、チェックアウトが12時なので、ばたばたと荷物をまとめて宿を後にするのではなく、ゆったりとホテルで時間を過ごせること。

というわけで、屋上にある「スカイ・フォレスト・ガーデン」にて、チェックアウトまでの時間を過ごすことにしました。
この庭園には『源氏物語』に登場している植物を集めているこだわり。

大きく開けた京都の空、太陽がきらめく鴨川、東山の風景。このルーフトップからは、肉眼で清水寺や、「大文字焼き」として有名な京都五山送り火の「大」の字など、京都ならではの風景をたっぷりと味わうことができます。振り返れば五条の街、そしてほんの少し遠くに京都タワー。桜の季節には、鴨川沿いにずっと、たっぷりと美しい桜が咲き誇ります。その風景をゆったりと眺められる場所って、いったい京都にどれくらいあるのでしょうか?

この日は他にも宿泊している方がもちろんいらっしゃいましたが(12時のチェックアウトでたくさん遭遇)、皆さん部屋でまったりしているのか、なんとずーっと私ひとりの貸切状態。
ぽかぽかあたたかい日差しの中、あまりにここで過ごす時間が心地よく、部屋からコーヒーとパソコン、ノートとペンを持っていき、ノートにまとめながら考えごとをしたり、少し仕事をしたり、たっぷり2時間近く、とても贅沢な午前中を過ごしました。

奥にさらっと映っている山は比叡山です。

あまりにもここが気に入ってしまったので、チェックアウト後にはなりますが、オールデイダイニングから屋上に持ってきてもらい、ランチをここでいただきました。

スモークサーモンとアボカドの丼には、『京都季の美ジン』でマリネしたいくらや、山葵のあんかけが載っており、美味しすぎてすぐにぺろり。

さらに食後のデザートに「温かいほうじ茶フォンダン」とカフェラテを。最高の景色を見ながら静かな空間でいただく、とろりととろけるほうじ茶味のケーキとバニラアイスなんて、幸せしかありません…。

このお宿に来る前に、京都で行きたいところをいくつかリストアップしていました。必須級のものはお宿で自転車を借りた1日めのうちに、すべて巡りました。でも、行くかどうか迷っていたものは、このゆったりとした屋上で鴨川を眺めながら過ごす、あまりに極上の時間を知ってしまったら「最高以外、何も行かなくていい」という気分になってしまい、ただただずーっとここでの時間を過ごすことを選んでしまいました。

「せっかく京都に行ったのにもったいない」と思われるかもしれませんし、ここに行く前の私もそう思っていました。だからこそ、できるだけいろんなところに行きたいと、気になる場所をまとめてから京都に行きました。

でも、「今ここに私が心から求めていた最高があるのに、それを蹴ってまで、行くか迷う場所を訪れなくてもいいや」と、自然と思ったのです。
それだけ最高の場所を見つけられるって、なかなかない奇跡。

チェックイン直後に見た夕陽バージョンもとっても素敵。(このときは少し風が寒かったので、行くだけ行ってすぐに降りました)

ちなみに、チェックアウトは12時ですが、もし次のお客さんの予約が入っていないようであれば、もう少し臨機応変に後ろ倒しすることも可能とのこと。「小さなホテルなので、できる範囲でにはなりますが、お客様のリクエストにはなるべく応じたい」と、ホテルの方は語ります。他にも「アニバーサリープラン」で予約をした方にはホテルからのプレゼントがあったり、一緒にお花や花火つきのケーキなどで演出のお手伝いをしたり、小さなお子様連れの方のためにベビーバスや添い寝用のベビー布団を用意していたりと、何から何までホスピタリティ尽くし。さらには京都を知り尽くしたホテルスタッフによる五条の案内ツアーなど、おもてなしの精神が満ち溢れています。
(※別途料金が発生するものもあるとのこと。ご希望の方はお問い合わせください)

この美しい風景と、静かで心地いい空間を味わいに、きっとまたここに帰ってくる。多くの場所に行かなくても、本当に自分が求めている最高さえ見つかれば、こんなにもリフレッシュできるのだと気づき、カラカラになっていた自分がひたひたに満たされ癒される。そんな幸せな感覚と余韻に浸りながら、13時の昼下がり、お宿を後にしました。

Genji Kyoto
京都府京都市 下京区波止土濃町 362-3
公式サイト:https://genjikyoto.com/jp/home
構成/後藤香織