元バスケ部モデル菜波が車いすバスケを日本代表・古澤拓也選手と初体験!

CanCam専属モデル菜波(元バスケ部)が車いすバスケを体験!日本代表の古澤拓也選手と一緒に魅力を探る

昨年開催された東京2020パラリンピック競技大会で銀メダルを獲得した車いすバスケットボール。大興奮に沸いた試合を、テレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか?
今回は、CanCam専属モデルで元バスケ部の菜波が、車いすバスケを初体験! その魅力や競技について迫ります。

今回教えてもらったのは…

WOWOW/パラ神奈川SC所属の古澤拓也選手。

U-23日本代表のキャプテンを務めたほか、東京2020パラリンピックではポイントガードとして銀メダルに貢献した注目選手です!古澤選手が自主練を行っていた、母校、桐蔭横浜大学で取材しました。

さっそく車いすバスケを体験!

まずは、車いすの乗り方をマスターしよう!

「初めて車いすに乗った」という菜波。まずは車いすの乗り方から教えてもらいます。実際の試合では、車いす同士でのぶつかり合いもあるため、安全のためベルトで腰の部分を固定。

いざ車いすを漕ぎはじめてみると、最初は真っすぐ進むこともなかなか難しい…!そんな菜波に、「乗り方にはプッシュとバックとターンがあって…」と細かくレクチャーしてくれる古澤選手。まずは前に進んでみると、「まっすぐに進めない…!」と菜波。どうしても利き腕のほうが力が強く、車輪を漕ぐ力も強くなってしまうので、利き腕とは反対側に曲がってしまうそうです。バランスを見つつ、もう一度左だけを漕ぐ、など微調整していると、真っ直ぐ進めるようになりました!

止まりたい時は背中を反らせながら、タイミングよくぎゅっと車輪を掴むことで止まれます!競技用の車いすはバックキャスターがついているので、後ろに転びにくくなっていて安心。足元には足用ガードがついていて足を守ってくれます。選手の安全が考えられている設計だから、初心者でも安心してトライできそう!

続いて、曲がる練習。「緩やかに曲がりたい時は、手を軽く添えるだけで曲がれる」と教わり、いざ挑戦。でも、「どっちの車輪を触ればいいのか、咄嗟にはわかんなくなる!」と混乱する菜波。「右に曲がりたい時は右手、左に曲がる時は左手を使うだけですよ」と古澤選手が丁寧にアドバイスしてくれ、数回繰り返すうちにマスターすることができました。

10分ほどで基本の乗り方をマスター!

ここまでの感想を聞いてみると、「指紋がなくなりそうですね」と菜波。古澤さんの硬くなった掌を見せてもらって感動していました。

車いすバスケとバスケのルールの違いは?

古澤選手が車いすバスケのルールを教えてくれました。
普通のバスケットボールとの違いは大きく分けて3つ。

◆1.持ち点制度があること

選手は障がいの程度よって、(障害の重い者から順に)1.0~4.5まで0.5刻みで点数が決められている。試合中のコート上の5人の選手の合計を14.0以内におさめるというルールにより、障害の重い軽いに関わらず平等に出場機会を得られるようになっている。

※古澤選手は持ち点3.0の選手

◆2.ダブルドリブルがない

◆3.1歩=1プッシュ
3プッシュしてしまったらトラベリングを取られる

ただし、バスケと違って、1回でもドリブルを挟めばリセットされるので、2プッシュ、1ドリブルを繰り返して進むことが許されているそう。

それを聞いて、早速ボールを持って進む菜波。ところが、「頭と体がこんがらがる!(笑)」といきなりトラベリング! 1ドリブルで止めるのにもコツがいるようでした。ただ、さすがはバスケ経験者。初めてなのにすでにドリブルが板についている様子。古澤選手も「頭が慣れてくれば大丈夫!」と太鼓判を押してくれました。

得意のシュートに挑戦!

いつもは片手でシュートをすることが多いという菜波。ところが普段とはリリースポイントが異なるため、ゴールに全然届かない…。

「バスケは膝で打つけど、車いすバスケは背中を使って反動で打つんです」と古澤選手からアドバイスが。さらに、「普段の感覚の2倍くらい高く上げると入る」と言われ、2,3回の挑戦で見事シュートに成功! 

「すでに試合に出られるレベル」と古澤選手も驚くほどのセンスと急成長ぶりを発揮しました。

そこで、ドリブルからのレイアップにも挑戦してみることに。「通り抜けるイメージで」とアドバイスをしてもらいましたが、なかなかタイミングが合わない…。古澤選手にお手本を見せてもらうも、「なんで?っていうくらい簡単に決めてる!」と驚きっぱなしでした。何度も挑戦していたため、「腕筋が…」と菜波。でも、1回目の練習でレイアップまで挑戦できる人はなかなかいないのだそう。

その後、3ポイントシュートやフリースローなどにも果敢に挑戦。「実は、Bリーグの選手がハーフラインから3ポイントシュートを打つのと同じくらい、車いすバスケの選手がシュートを打つのにはエネルギーが必要なんです」と教えてもらい、「そんなの入るわけない!(笑)」とパワーの違いに驚愕。本来は近い距離から徐々に遠い距離に挑戦していくもので、古澤選手も3ポイントシュートの習得には2年かかったそうです。

車いすバスケをやってみてどうだった?

菜波に終わってみての感想を聞くと、「腹筋や体幹など、使う筋肉が全然違う! 車いすバスケをやってから普通のバスケをやったらめっちゃうまくなってる気がする」とのこと。

今日の服装やメイクは?

この日はメイクも薄め、爪もネイルなしと完全スポーツモードだった菜波。理由を聞くと、「バスケをやる時はちゃんとしたい。高校時代、髪の毛がちょっとだけ伸びてしまっていた時に、副キャプテンがチャラチャラ髪を伸ばしてるから勝てない!と怒られるくらい厳しい部活だったんです。その時は悔しかったから少しの間伸ばしてたけど、結局汗が落ちてくるので切りました(笑)」と当時のエピソードも披露してくれました。その時に培ったスポーツマンシップ(?)は今も健在のよう!

古澤拓也選手×菜波インタビュー

1時間半ほどの練習を終えた2人にインタビュー。初チャレンジの感想や、事前に菜波が「隅々まで読んだ」という古澤選手の著書『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』についてのお話を伺いました。

菜波:車いすバスケのことは以前から知ってはいて、映像を見た時から難しそうだなと思っていました。実際にやってみると、バランスを取ったり勢いをつけたりということが制限されていたし、膝を使えないからシュートが1番難しかったです。いつもとは違う筋肉を使った気がするし、頭も使うからずっと脳トレをやってるみたい(笑)。でも、慣れたらどんどん車いすが自分の一部になっていくんじゃないかなという感覚はありました。

古澤:僕が教えてきたベスト3に入るくらいくらいめちゃくちゃ上手でした。車いす操作が1,2回でできるようになってましたよね。向上心もあって、僕のアドバイス以上に、ご自分でもコツを掴んでるのかなって思いました。おっしゃられたように、慣れれば身体が勝手に動くようになりますし、車いすバスケは健常の人も持ち点4.5で試合に出ることができます。さらに、女子も-1.5で男子の試合に出られるので、菜波さんは3.0の持ち点で出場ができる。つまり、僕のライバルです(笑)。

菜波:試合、出てみたいです! 現役の時から試合が大好きだったので。今日やってみて、改めてもっと多くの人に知ってもらえたらいいなと思いました。

古澤:今だと東京パラリンピックに出たことで、競技自体は盛り上がりつつあります。代表選手が出場する試合には人が集まるし、確実にファンの方も増えました。僕が所属しているチームには日本代表が2人いるので、7月に行われた天皇杯の予選では、客席がチームカラーの赤で染まってうれしかったですね。ただ、代表のいないクラブチームはまだ身近にはなっていないようなので、今後は車いすバスケという競技自体の認知度の向上にも力を入れていきたいと思っています。

菜波:本を読ませていただきました! 発売のきっかけは何だったんですか?

古澤:僕は小学生の頃に車いす生活になり、車いすテニスの国枝慎吾選手のプレーを見て「車いすでもかっこいいんだ!」と勇気をもらいました。自分やチームメイトの姿がそんな風に次の世代の励みになったら嬉しいなと思ったんです。

菜波:そうだったんですね! バスケに関してもそれ以外のことにも本当にストイックに向き合われていたのが印象的でした。車いすバスケのためにここまで打ち込めるモチベーションはなんですか?

古澤:やっぱり東京パラリンピックの存在は大きくて、そのためにこれまでの7年間があったといっても過言ではありません。なので、終わった直後はモチベーションも下がりました。今2年後のパリパラリンピックも目指していますが、東京の前は打ち込みすぎてバスケが楽しくない瞬間も増えてしまったので、今はバスケを楽しむことにシフトチェンジしていて、それがモチベーションですね。

菜波:たしかに、私も学生時代はバスケが好きというのが根底にあったからやってこられたのを思い出しました。でも、やっぱり日本代表になるほど突き詰めるには、自分はこうだから、そのために何をやって…というのを明確に持っていないと駄目なんだなと感じました。あの時は将来ずっとバスケを、とは考えられなかったけど、本を読んだ時に、自分ももうちょっとがんばっていたらよかったなと思いました(笑)。でも、これは何に対しても言えることだと思うので、この気持ちを今のお仕事に生かせれば、と思います!

パラアスリートの生き方を知ることができる!『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』発売中

古澤拓也選手の著書『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』が小学館から発売中!

今回車いすバスケを教えてくれた古澤さんが、自身の障害にどう向き合ってきたかを綴った自伝。今壁にぶつかっている人や、他の人との違いに悩んでいる人のヒントになる1冊になっています。

最後に菜波のプレー中の姿を少しだけ動画でお届け!

【古澤拓也プロフィール】
1996年神奈川県生まれ。車いすバスケットボール男子日本代表。WOWOW所属。パラ神奈川スポーツクラブ在籍。先天性疾患(二分脊椎症)とその合併症の影響で、小学6年から車いすでの生活となる。13歳の時に車いすバスケットボールを始め、高校2年でU23日本代表デビュー。2017年のU23世界選手権では、キャプテンとして日本のベスト4進出に貢献、自身もオールスター5に選出される。日本代表として出場した東京2020パラリンピックで銀メダル獲得。
Instagram:@takuyafurusawa7
Twitter:@takuyafurusawa7
著書『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。
撮影/木川将史 モデル/菜波、古澤拓也 撮影協力/桐蔭横浜大学、オーエックス神奈川 構成/あまのさき