後ろ向き・クヨクヨ状態から脱却するための心理テクニック

後ろ向き・クヨクヨ状態から脱却するための心理テクニック

(c)shutterstock.com

あの人って悩みがなさそうでいいなぁ、と思っていたとしても、実は重たい不安を抱え込んでいる場合も少なくありません。それくらい悩みは誰にでもあるものです。でも、それをいつまでも引きずるのかそうでないのかとなると、話しは別になってきます。気持ちを切り替えるにはどうすればいいのでしょう。そこで今回は、「後ろ向き・クヨクヨ状態から脱却するための心理テクニック」をご紹介いたします。

■後悔して反省するのはOK、思い悩んで振り返るのはNG

過去の過ちや失敗を反省するというのは大切なことですが、それをいつまでも後悔し続けるのは避けましょう。なぜなら、いつまでも悩み続けていると、そのネガティブな情報が心に強く刻まれてしまうからです。これを心理学では“自己説得効果”と呼び、何度も考え込んでいるうちに心の中でその情報が増幅してしまうのです。もちろんこれはプラスにも作用する心理効果なので、なるべく自分で積極的に行動したポジティブな結果を記憶に残していくようにしましょう。

■不安になったら真逆の○○アクションを

心配や不安をコントロールするのは難しいことですが、そういうときに有効な心理テクニックがあります。精神科医ジョセフ・ウォルビは、人間の精神は二つの矛盾する感情を同時に感じることはできないことを発見しました。そこで不安の感情と真逆のリラックス(安心アクション)の感情に集中して、不安をシャットアウトするように条件づけてみましょう。後悔を呼び起こす物事をイメージしたときに、リラックスするという反応を条件づければ、自然とリラックスのスイッチが入り、前向きになれるはずです。

■クヨクヨ状態はチャレンジ精神で打ち消す!

人は無意識のうちに成功を回避してしまう心理があります。心理学者ホーナーは、そのことを“成功恐怖理論”の中で説明しました。この理論からすると、心配性の人はもしかしたらダメになるんじゃないかと悪いことばかりを考えてしまう成功回避傾向が強い人だと言えます。確かにこの傾向が弱すぎると、自分に都合のいい未来ばかり妄想してしまうということにもなりかねません。着実な未来を描くためには、ある程度の成功回避傾向は必要なのです。しかしそれが強すぎると、失敗ばかりを恐れて何も行動できなくなってしまいます。そのため、クヨクヨ状態になったときこそチャレンジする精神が大切になってくるのです。

■安心感が欲しいなら“ランク付け”がベスト

“安心感”と“損得”というベクトルは、意外と密接だとされます。人はなるべく損をしないように意思決定をしようとしますが、心配性な人は損を避けようとするあまり、なかなか選択や行動ができなくなってしまう傾向が。そこで、比較対象となる選択肢を“ランク付け”するようにしましょう。それにより、自分の選んだものが他よりも優れていたら、安心してアクションを起こせるはず。これを心理学においては、“社会的比較理論”と呼びます。比較することで正確な自己評価ができることにより、心配性を緩和できるでしょう。

おわりに

何となくこうなりそうと思っていたことが、本当にそうなってしまうことってありますよね。これを心理学においては、“予言の自己成就効果”と言います。人は何かを期待、もしくは予想するだけで、無意識にそのイメージに沿った行動をとってしまう傾向があるのです。そのため、成功をイメージすれば上手くいきやすくなり、過去の失敗をイメージすれば上手くいかなくなってしまいがちに。幸せのためには過去をクヨクヨと思い悩むのは良くないことなのです。(脇田尚揮)

脇田尚揮
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。