素朴な疑問なんですけど、なんで占いって当たるんですか?
世の中にはたくさんの占いがあります。
たとえば朝の情報番組や雑誌の巻末には12星座占いが欠かせませんし、好きな人がいたら、なんとなくネットで調べて相性占いをやってみたり。手相も気になるし、なんとなく姓名判断もやってみちゃうし…などなど、私たちの生活のすぐ近くに占いは存在しています。
最近ではテレビ番組の『突然ですが占ってもいいですか?』も話題を集め、「一度は占い師さんに占ってもらってみたい」という方も多いですよね。
でも、そもそも「占い」っていったいなんなのでしょうか。
どうして過去のことや未来のことがわかるのでしょうか。
「なんで占いって当たるんですか?」
こんな、CanCam.jp編集部後藤の素朴すぎる質問に答えてくださったのは、数々の占いコンテンツを世に送り出す株式会社ザッパラスの代表取締役、玉置真理さん。8万人を動員する「占いフェス」や、さまざまな占いコンテンツを手がけ、東証一部上場・約40億円もの売り上げを出している…という、占い事業最大手と言ってもいい会社です。
そんな占い会社を取り仕切る玉置社長に「結局、占いってなんなんでしょうか」と、正面切ってぶつけると、意外な答えが返ってきました。
これから「占い」にまつわるさまざまなトピックスを、4回にわたってご紹介していきます。
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CanCam.jp編集部(以下、編)めちゃめちゃ素朴な疑問で恐縮なのですが、占いってなんで当たるんですか? 結局なんなんでしょうか?
ザッパラス代表取締役 玉置真理さん(以下、玉置)実は私も、もともとは完全に科学的思考の人間で、占いを信用していなかったし、うさんくさいと思っていたんです。でも、占いの仕事をするに当たって自分なりにたくさん調べてみたところ、結構面白かったんです。ジャンルごとにまったく違うので、ひとつひとつ説明していきますね。
▼「12星座占い」はなぜ当たる?
編 たとえば雑誌やテレビで欠かせない「12星座占い」はどういう仕組みなんでしょうか?
玉置 正式な占い名は「西洋占星術」なんですが、これは月などさまざまな星(天体)の位置関係で占うものです。西洋占星術では、自分が生まれた生年月日と時刻のとき、星がどこにあったか…という図を「ホロスコープ」として作成し、自身が持つホロスコープと、現在の星の位置関係で運勢が変わってきます。たとえば「今日の運勢」は、生まれたときの星の位置と現在の月の位置の関係性で見ることができます。
で、その中でも「自分が生まれたとき、太陽がどこにあったか」に着目しているのが、いわゆる世の中に広く広まっている「12星座占い」です。ただ、本当は西洋占星術は10個の惑星を見ていて、それがそれぞれどの星座とどのような位置関係にあるか…というものなので、12星座占いは西洋占星術のごく一部に過ぎないものなんです。
編 そうなんですね!
玉置 たとえば後藤さんの生年月日と生まれた時間を見ると、いわゆる太陽で見る12星座は水瓶座です。でも他の星の要素を見ていくと「社会的な権威などを表す山羊座のところに、知性をつかさどる水星がいるから、仕事ができる星に生まれている。プレッシャーはかかるけど能力として鍛えられる強制ギプスのようなものを表す土星もここにいるため、ストレッシブだけど伸びる」「感覚や食べ物・美しいものやファッションなどを表す牡牛座のところに、ガチになって頑張れることを示す火星と、追い風が吹く木星がいるから、女性誌系の分野が向いている」などと、もっと幅広く見られるようになります。
編 結構自分が丸裸になるようで恥ずかしいですね(笑)。普段見ている12星座よりかなり細かく運勢を見られる気がします。
玉置 そうですそうです。一度ホロスコープをチェックすると、普段の12星座占いも細かく運勢を見られるようになりますよ。たとえば私の場合、恋愛をつかさどる金星は乙女座にあるから、恋愛のことを知りたければ乙女座をチェックしたり、仕事運は山羊座にあるので、山羊座のほうを見る。そういった情報を総合して、多角的に濃く12星座占いを見れるようになるので、もし占いに興味があるならやってみても面白いと思います。占いに行かなくても、インターネットで無料で見られるものもあります。他にも「ハウス」という要素があったり…いわゆる世にたくさんある「12星座占い」は「西洋占星術」のほんの入り口ですね。
▼そもそもなんで「星の位置関係」で運勢がわかるの?
編 また非常に素朴な疑問なんですけど、そもそもなんでそういった星の位置関係で性格や運勢がわかるんですか?
玉置 西洋占星術は、実は4000年ほどの歴史があります。もともとは「農作物の収穫に影響を与える、ナイル川の氾濫を予測したい」「古代の権力者が、戦局や政権を予測したい」と、自然現象や地殻変動に法則性を見つけたい、大きな時代の流れを予測したいところから始まったもので、実は天文学とルーツは同じところにあるくらい、科学的な成り立ちを持っています。
編 天文学と同じ!
玉置 ルネサンス以前まで天文学と西洋占星術は同じもので、ともに「星の動きを見て、未来予測」をしてきました。医学や化学(錬金術)、植物学など、現代では化学の領域にも適用されており、西洋占星術は今よりもっと科学に近いところにあったものなんです。神様や神話が今よりももっとノンフィクションの時代に、ギリシャで鍛えられ、神話や哲学的要素を入れながら研究され、学問的に整理をされて「ここに法則性があるのではないだろうか」と体系化されていきました。西洋占星術は何千年もの間、誰かが研究をして、仮説検証を重ねて…。科学の積み重ねとほぼ一緒です。
編 なんとなく占いって「本当に根拠があるのか?」と疑問だったんですが、思っているよりかなり科学に近いところにあるんですね。
玉置 そうです。ただ、産業革命以降に世界が科学を重視し始めてから、宗教や占いが急にすたれていき、17世紀くらいからは西洋占星術は天文学よりも心理学の領域になりはじめて、占いは「個人に起こりうる未来」を見ていくところにフォーカスし始めました。 ただ、現時点でも人間の心や運のしくみはほとんど科学で解明されていないので、もしかすると何百年後かにいくつかは科学として成立しているかもしれない、というくらい、西洋占星術は膨大な仮説検証の積み重ねなんです。性質上、未来を細かく予測するのが得意なので、将来のことを知りたいときに向いています。
▼じゃあ、タロットはどうして当たる?
編 西洋占星術はデータに基づいて…ということはわかった気がします。他の占いに話を移すと、タロットは一見適当に引いているように見えるんですが、これも何かデータに基づいているのでしょうか?
玉置 タロットは西洋占星術とはまたかなり違い、特定の情報に基づくものではありません。占いのジャンルでいうと「卜術」という、偶然に必然性を見出す占いのひとつです。ちなみに西洋占星術や四柱推命など、生年月日や出生時間から生まれ持った運命を見ていくものは「命術」と呼びます。
編 なぜ「偶然」が当たるのでしょうか?
玉置 ユングの「集団無意識」という考え方があります。人類全体に共通して存在している無意識…という概念ですね。そして、私たちが普段意識して知覚していることはたった5%しかなくて、人間の行動の95%は無意識の領域にあるともいわれています。あくまで仮説ではありますが、タロットはこの集合的無意識を経由して、他人の無意識にアクセスしている…というのが最も説明しやすいです。
編 …西洋占星術はなんとなく「科学的根拠に近い何かに基づいてそうだなあ」とわかったのですが、タロットはいきなりちょっと、理解を超えたところから来ましたね。
玉置 そうですよね(笑)。でも、ちょっと言い方を変えてみると少し理解に近づけるかもしれませんが「なんでかわからないけれど起きる」ということって、誰もが経験していると思うんです。いわゆる「虫の知らせ」とか「連絡しようと思っている人からなぜか連絡が来る」とか…。
編 確かに! そういう「なんかわからんけど起きてしまうこと」はありますね。
玉置 「現代の科学ではまだ解き明かされていないし、説明しようがないけれど、でも実際になぜか起こっていること」って、意外とこの世にたくさんあるんです。たとえば「トランプの裏側を見て、そのトランプに書かれている数字を当てる」という実験があります。これ、ほとんど当たらないと思いませんか?
編 当たらなそうです。…ってことは当たるんですか?
玉置 確率論から考えるとありえないくらい当たった、という実験結果もあります。今の科学ではまったく説明はつかない。でも、100人以上集めて実験をしたらそういう結果が出る。今のニュートン力学の世界の物理でいうと「裏が見える」ことはありえない。でも、「量子力学」で考えると、裏が見えていても不思議ではないと言われています。
編 すみません、理系分野にめちゃめちゃ弱いのですが「量子力学で考えると」とは…?
玉置 量子とは「ものすごく小さな物質やエネルギーの単位」のことなのですが、この「量子」は私たちの身の回りにある、一般的な物理法則が通用しない「量子力学」という独自の不思議な法則に従っているもので、「因果関係が一般的なものと違う」ということがあるんです。たとえば距離や時間軸に関連性がないとか、原因のほうが後に起こっているとか…。
編 すっごく要するに「私たちの理解を超えたところで動いている世界の法則がある」といった、もはやファンタジー小説のようなことが現実に起きているということなんでしょうか?
玉置 はい、私たちが今信じている因果律を超えた世界で法則があるんじゃなかろうか、と言われているものが研究されています。「量子力学」と「無意識」の関係性については多数の本が出版されていて、私たちが「無意識」で生きている部分は「現在の科学ではまだ解明されていない何か」つまり「量子力学」にのっとっている可能性がある。
編 つまりタロットも「自分の理解を超えたところにある何かの世界線だと、説明がつく何か」という感じなんでしょうか…???(大混乱)
玉置 そうです。世界にはまだまだわからないことがたくさんあります。たとえば中学で習う指3本の図「フレミングの法則」は有名ですが、なぜその方向に電流が流れるのかは解明されていません。今まだ解明されていないことが将来は解明されることがあるかもしれませんし、教科書にも書いてある常識は意外とさらっと変わります。たとえば聖徳太子はかつて「確実にいる」という説が有力でしたし、お札にもなっていましたよね。でも、今は本当に存在していたのかわからない…と諸説ある状態に変わっています。そういった「まだ解き明かされてはいないものの、現在の科学の因果律を超えて、でも仮説を重ねた結果としてこうなるものはこうなる」もののひとつがタロットです。
編 めちゃめちゃ混乱してきました。
玉置 そうですよね(笑)。だからこそタロットは「もともとの運命」よりは「今現在の、自分や誰かの行動や気持ちを知る」ことに長けています。「AとBとどっちにしたらいいですか」などは向いていますね。ただ、うちの占い師の先生たちが「占いに来た人がいちばん言う言葉は『やっぱりそうですよね』だ」といっています。占いに来る人は、皆さん自分なりに本当は無意識のところに答えを持っているけど、それが埋もれてしまったり気づかずにいて、そういった本当の気持ちをぽんと引き出してくれるのがタロットは非常に上手ですね。
編 不思議ですけど当たりますもんね。そしてなぜかやり直しても同じタロットが出たり…。
玉置 無意識は本当に面白いですよ。ちなみに占い師さんのところに行ったら「なぜか誰も知らないはずのことを知っていて当てられる」というのも、もちろん本当に霊視ができるなどのパターンもあるにはあると思うんですが、この「無意識」を使ったパターンのこともあります。
編 どういうことですか?
玉置 たとえば一言も話していないのに「あなた、最近おばあちゃまが亡くなりましたか?」と言われて、それが当たっているとします。そういうとき、実はそれまでの会話の中で「田舎」や「家族」「おばあちゃん」など、そういった単語を発するたびに、自分ではわからない0コンマ何秒で、無意識に体が反応していることがある。これを読み解くのは仕組みでいえばいわゆるメンタリストの技術に近いんですけど、占い師の先生はそれを自分自身が意識せずにできてしまう方が多いように感じます。だから「見える」と言われるんです。
編 はぁー! あれってそういうことだったんですね!
▼理論は案外シンプル。手相はなぜ当たる?
編 タロットで頭を使い切ったので、そこまで頭を使わなくてもすっと入ってきやすい占いについてうかがいたいんですが、何かありますか?
玉置 では、街中でもできるメジャーな占いのひとつ「手相」なんていかがでしょうか。これは西洋占星術の「命術」とも、タロットなど偶然の「卜術」でもない、見た目で判断する「相術」のひとつです。風水や人相学、姓名判断などもここに含まれますね。
編 見た目! わかりやすそうです! 手相ってなんで運勢がわかるんですか?
玉置 手相はインドで生まれたものですが、ものすごく原始的なところでいうと「釣り竿を持っている漁師」と「聖書を持っている牧師」の手の動きは違っていて、それぞれの生活習慣によって違うところに線ができる、というところからスタートしています。要するに「手の使い方でその人の生活やこれから起こり得る持病やリスクを見ることができる」という使い方ですね。あとは、脳で分泌される、快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンや、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールなどの物質が、臓器に影響を与える、ということがわかっていて、最大の臓器である皮膚にもなんらかの影響が出るであろうということから、手の状況に出るのではないだろうかと。ストレスがあると顔に吹き出物が出るようなものです。その組み合わせで手相は変わっていくので、だから「手相は変わる」「手相が変わると運命が変わる」と言われるんです。
編 わりとわかりやすかった! つまり心身の状況がダイレクトに手相に出る、ということですね?
玉置 そうです、手相は生活習慣の蓄積でもあるので「今の自分」「現在の生活状況」「今の考え方やストレス」を続ければこうなりますよ、ということを教えてくれます。そこからストレスの度合いを変えたり、手の使い方を変えれば手相が変わっていきます。手相はわりと健康診断に近いところがありますね。「今のあなたは気づいてないですけど、こういうストレスありますよ、このままいったらこうなりますよ、それがいやなら変わったほうがいいですよ」ということは得意です。そして手相はインドで生まれてからギリシャにわたり、ギリシャの哲学者たちが非常に体系的に整理して、その状態で日本にやってきたので、実は西洋占星術同様にしっかりとデータにもとづいています。
今回はここまで。
次回は誰もが一度…とは言わず、何度もふれたことがある「血液型占い」について。そもそもあれって本当に当たるの? どういう根拠があるの? などなど、気になる疑問をぶつけていきます。お楽しみに。
★次回はコチラ→ 結局血液型占いって当たるの?当たらないの?占い会社の社長に聞いてみた
累計動員数8万人。日本最大級の占いイベント『#占いフェス』。次回第8回「占いフェス at home」7月7日〜12日にオンラインにて開催決定。あつまれどうぶつの森でも占いフェスを。「うらないフェス島」の最新情報も発信中◎ #占いフェス #あつ森で占い
■ イベント概要■
占いフェス at home
開催日時・入場料 2020年7月7日(火)〜12日(日)1,000円(税抜き/オンライン鑑定チケット付き)
会場 占いフェス公式サイト内 https://uranaifes.com/
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主催 株式会社ザッパラス
構成/後藤香織