「世の中にある仕事のだいたいはさ、一度に対面するお客さんって多くても5人とかだと思うんだけど」
そう言いながらレモンサワーをあおるのは、社会人3年目の働く女子、かなちゃん。
「でもわたしの仕事ってだいたい30人くらい同時に相手するし、全体だと100人単位だから、毎日何かしら事件が起こってて、飽きる暇がないんだよね。おもしろいよ」
白のポケットTシャツにスキニージーンズ、キャップという、POPEYEに載ってるシティボーイの彼女役みたいな格好のかなちゃんですが、今日は1日この格好でしっかり公務員として働いてきて、その帰りにこの居酒屋でわたしと合流したのでした。
働き始めてからお酒が楽しくなりました。
働く女子、特に自分とは違う業界で働く同世代の女子と飲みにいくと、思いがけない発見があったり、自分もがんばろうと思えたり。
そうした思いから生まれたこの企画は、金曜の夜、退勤後の働く女子たちとお酒を飲みながらぶっちゃけた話を聞かせてもらう大人の連載「さしのみ！女子のお仕事図鑑」。
記念すべき第１回のさしのみは、都内の公立中学で音楽の先生として働いているかなちゃん(24)と、聞き手のCanCam.jpライターわだとでお送りします。
■かなちゃんの履歴書
■経歴
わだ 今24歳だよね。ってことは、今の仕事は3年目？
かな ううん、2年経ってないくらい。わたし大学出たあとしばらくフリーターだったから。カフェでバイトしてた。
わだ 元フリーターの先生なんているんだ…！
かな いやいや、教師だってたくさんある職業の1つだからね。元フリーターの営業マンとかは別にいそうでしょ？ それと一緒だよ。
わだ その道一筋な人しかいないイメージあった。言われてみればまあそりゃそうだって感じだけど…。あ、生１つ。
かな レモンサワーで。
店員さん はいよ！ 生１・レモン１
わだ 服装はけっこう自由なんだね。今日なんて、オフィスカジュアルですらないけど。
かな うん、配属先によると思うけど。でも、ラフなぶんには平気だけど、あんまり華美にはできないかな。
わだ 大学は音大なんだよね？ ミュージシャンとか、音楽業界の仕事に就こうとは思わなかったの？
かな なれたらいいなとは思ってたけど、同級生の優秀な子は在学中から仕事してたし、その子だって今バイトしながら音楽の仕事してるからね。超狭き門だから。
わだ わ～！音大出てもそんな感じなんだ！
かな 音楽だけで食っていくってすっごい難しいんだよ。
店員さん はい、生とレモンですね
わだ おお、なんか売れないバンドマンみたい。（生を受け取りながら）
かな そんなもんだよ。高度な音楽教育を受けた売れないバンドマン。（レモンサワーを受け取りながら）
■職場環境
わだ 担任はやってないの？
かな うん、私はクラスは受け持ってない。それでもかなり忙しくて、最近は遅くまで学校に残って仕事してることが多い。たまに空き時間ができると音楽室でラ・ラ・ランドの曲歌ったり踊ったりしてる。
わだ 空き時間にラ・ラ・ランドの曲を歌ったり踊ったりするなよ。
かな いやいや、歌の練習も仕事のうちだからさ。
わだ 踊るのは違うだろ
かな それに出勤日も多いんだよね。最近は実質ほぼ週休１日だよ。
わだ えっ、今って土曜日授業ないでしょ？
かな 部活の顧問で出勤しなきゃいけなくて。今けっこう問題になってるんだよ。「ブラック部活顧問」とかいって。
わだ ぜんぜん知らなかった。そうなんだ。
かな 私は吹奏楽部の顧問だから自分の専門分野が活かせてちゃんと指導できるけど、スポーツ経験ない先生が運動部の顧問になったりするとけっこう悲惨だよ。教えるのが好きで教員になったのに、やったことない運動部の顧問になっても何も教えられないからさ。無力感。
わだ うわあ…どこの職場にもそういう仕組みの問題ってあるんだな。あっそういえば、中学って始まるの早いよね。朝つらくない？ 学校の近くに住んだりしてるの？
かな 朝は早くていまだにけっこうつらいけど、学校の近くには住まないな。
わだ 不便じゃない？
かな でも男の人と歩いてるときに生徒とばったり会ったりしたら最悪に気まずいからね…。
わだ あー。特にかなちゃんは彼氏みたいな人たくさんいるしね。
かな そうなんだよ。全員彼氏みたいなだけで終わって、彼氏までいかないんだけどね。おかしいな。
わだ でも普通の企業で働いてる子でも同じ理由で会社の近くに住まない人いるもんね。そこらへんは一緒なんだな。
■つらいこと・楽しいこと
わだ その他、やっててつらいなって思うのはどんなこと？
かな 音楽の先生って基本的に各校に１人だから、専門的な相談をできる先輩が職場にいないのはたまに困るけど、まあそのぶん自由にやれてるし、どっちもどっちかな。
わだ そういえば学校に１人だ。責任重大だね。それに、学校の先生っていざ仕事がいやになっても他業種への転職はなかなか難しいんじゃない？
かな うーん、私の場合は科目が音楽だから、音楽絡みでまだチャンスありそうな気もするけど、今のところ転職は考えてないな。生徒かわいいから。
わだ へえ、世話好きな感じしないからけっこう意外かも。
かな 私自身、この仕事始めるまでは子供を相手にするのがイヤになったりしないか心配だったんだけど、やっぱり子供はかわいいよ。男子はバカなエネルギーがすごいし、女子はませててほとんど同じ目線で友達みたいに喋れる子もいるし。
わだ いいねえそういうの。
かな どう教えれば興味持ってくれるかなとか考えながら授業を組み立てるのも楽しいし、どんどん吸収するから日々変化していくのを間近で見られるのもなんだかんだでおもしろいんだ。とりあえず、今１年生の子たちが卒業式で仰げば尊しを歌うところまでは見届けたいなって思ってる。
わだ おお～、超いい話！
この後も生徒とのエピソードをたくさん話してくれたかなちゃん。
明日も部活の顧問があるとのことで、22：00には解散して帰っていきました。
話を聞く前は学校の先生ってどんな風に働いているのかイメージができなかったけど、蓋を開けてみると自分と変わらず20代の働く女子なんだなと改めて気付かされます。
楽しそうに仕事の話をする姿を見て、触発されて少しやる気が出たりもして、働くっていいなあとしみじみ思いました。
次はどんなお仕事の女子が来てくれるのか、楽しみにお待ちください♪
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