QuizKnock が語る「“好き”を仕事にし続けるために大事なこと」|伊沢拓司さん、須貝駿貴さん、山本祥彰さんインタビュー

伊沢拓司さん率いるQuizKnockが、今年の10月2日に10周年という大きな節目を迎えます。「楽しいから始まる学び」をコンセプトに、「知的エンタメ集団」という唯一無二の立場を築いてきたQuizKnockの過去・現在・未来を詰め込んだ、10年の集大成となる記念本『QuizKnock10周年スペシャルブック 十字路』が発売中です。

10年の軌跡、制作秘話、好きなことを仕事にし続けるコツ、そして今後の展望について、伊沢拓司さん、須貝駿貴さん、山本祥彰さんの3人にたっぷり語ってもらいました。

―10周年を迎えるにあたり、この10年の感想や周囲からの反響をお聞かせください。

伊沢拓司さん(以下、伊沢):まずは感謝です。これまで続けられたのは、応援してくださるファンの方々や、一緒にコンテンツを作ってくれたスタッフのおかげです。「10年やったな」という達成感というよりは、本当に日々を楽しんで過ごしていたら、あっという間に今になっていたという感覚です。色々な人のおかげでこうした人生を送れたことに、感謝しかありません。

須貝駿貴さん(以下、須貝):感謝が前提にありますが、その上で「継続は力なり」だと感じています。続けてきた事実が、これからの我々をさらに大きくドライブしてくれるのだと。こうして様々な人に囲まれて10周年を祝えるのも、継続の力だと実感しています。

山本祥彰さん(以下、山本):様々な人がいてこそのQuizKnockだと改めて感じています。今の我々を作り上げてくれたみんながいなければ、メディアとして成り立っていませんでした。その上で、常に前へ進めようとする力でチームを引っ張ってくれた伊沢さんにも非常に感謝しています。

―チームで活動するにあたり、大事にされてきたことは何でしょうか?

伊沢:いちばんは「楽しい」ことで、結局これがすべての原点だなと思います。動画やイベントをはじめ、QuizKnockのすべてのコンテンツがここに紐づいています。組織が大きくなればなるほど、みんなの行動原理や共通の目標が大事になります。この「楽しい」がみんなで目指すところとして定まっていたことが、10周年を迎えるにあたり非常に重要でした。

―とはいえ、「楽しい」だけではないこともたくさんあるのではと思いますが、その中で「楽しい」を貫く上で大切にしていることはなんですか?

山本:やっぱり「全員が楽しめるもの」はなかなか難しいし、作品を作る上でどうしてもケアしきれない部分もあります。それでも、自分の中である程度時間を決めて全力でやって「ここまでやったんだから、きっとみんなに楽しんでもらえるだろう」と思えるところまではやりきる、ということを意識しています。

須貝:僕も「これでいいか」にせず、「ベストを考え尽くす」ことを大切にしています。限られた時間の中で、どうしたらもっと面白くなるのか、一生懸命一生懸命考える。そして、しっかりコミュニケーションを取ること。誰かひとりだけが面白がっているんじゃなくて、話し合った上で「これがいい」とみんながちゃんと言えるものにすること。「みんなが楽しい、みんなが面白い」ことを探すと、できあがりを見ると「やっぱりこれが良かった。楽しいし、面白かった」と思えるものになります。誰かが面白いと言ってくれたら、作るのが大変だったとしても、記憶をすり替える……ではないですが(笑)、「大変だったけど、やって良かったな」と思えます。

―意見が割れるなど、うまくまとまらないときは、どうやって最終的に落とし所を見つけていきますか?

須貝:会議中に「絶対にこれ! ひとつだけの正解を見つけて終わりにしよう!」にすると、まとまりません。でも、お互いに、言うことは言う。違う考えを言い合うと、その場ではモヤモヤすることもあるかもしれない。でも、今この時間の会議で言えることは言い切ったと思ったら、一度帰ってまた考える。持ち帰って悶々と反芻するうちに、みんなの意見が合わさった、もう一段上のより良いものになって、また集合できるかなと思います。僕たちは「全員がしっかり考えてくるはずだ」という信頼をお互いにしていることも大きいかもしれません。

山本:意見が対立したときは、むしろチャンスですもんね。自分が見つけられないアイディアを誰かに言ってもらえるかもしれないし、「違う」ことに絶対に意味がある。そうやって、意見をしっかり聞くことで自分の考えを深めるチャンスだなと思います。

―そうやって全員が信頼しあえるチームを作るにあたり、伊沢さんが何か働きかけたことはあるのでしょうか? それとも、最初からこの感じでやっていけたのでしょうか?

伊沢:僕がどうこうというよりは、次第に、ですね。今はそれぞれの企画に、誰が責任者なのかが決まっています。すると、「この企画について誰より考えてきたのは、この人だ」と思ったら、僕は任せています。最低限の失敗をしないために僕がやれることはやりますが、それで「思ったのと違うな」になっても、それはその人が成長するチャンスです。これがテレビだと、レギュラー番組でない限りは一期一会なことも多く、スタッフの方が僕を育てる理由がないし、その逆も然りです。だからこそ、「違うな」と思ったら僕はその場で意見を言って、その場でのベストを目指します。でも、QuizKnockは続いていきます。だから、待てる。続いていくからこそ、何かうまくいかないことがあっても、育つきっかけになればいいんです。すると、将来的にもっといいものができる。だから「あれだけ考えてる彼を差し置いて、自分が言うことじゃないな」と思えば「あえて、意見を言わない」という選択肢を取ります。

―今日、伊沢さんにメンバーひとりひとりの良さを引き出すために心がけていることを聞こうと思っていたのですが、今の話が繋がりそうですね。

伊沢:いや、僕は、引き出してないです(笑)。ひとりひとりがすごいから良さが出ちゃっているだけです。それくらいいいメンバーが集まって、自分たちの持ち場を最大限頑張るようなイメージです。初期の頃、社内のスタッフから「本当に仕事が好きなら、自分で抱えずに他人に頼れ」と言われたことがあります。当時はなんでも自分がやらなければと思い込んでいましたが、「本当にQuizKnockを愛するなら、頼れる仲間がいるじゃないか」と気づかされました。そこから分業制が進み、チームに頼ることで自分の仕事に集中できるようになったので、大きな転機となる言葉でした。

山本:伊沢さんは演者としてさまざまなテレビ番組に出演しているので、そこで培ったノウハウを僕たちにフィードバックしてくれます。伊沢さんの得意な分野では引っ張ってもらっているし、それぞれの責任者がしっかり導けるよう、土台を作っているんじゃないかなと思っています。

―まずもって、そのメンバーが集まる土台を作るのがすごいですよね。

伊沢:ありがとうございます。でも、特に最初の演者のコアメンバーなんて、みんな度胸あるなと思います。本当に何もないようなところに集まって、みんなで安いチキンを食べながら(笑)手探りで始めて、よくみんなここに賭けてくれたよなと。

山本:でも、楽しかったよね。

伊沢:そう、楽しかったよな。毎週木曜日に撮影と定例飲み会をして、それだけのために頑張っていたような感じで(笑)。

須貝:収録の後の最後の片付けとか、ごはんを食べた後の洗い物を誰がするかをダーツで決める(笑)。

―男子校感がありますね。

伊沢:それが、僕は男子校を12年経験しているんですが、QuizKnockは男子校とはちょっと違うんですよ(笑)。距離感がいい。一連托生ではなく距離が近すぎない人たちが集まって、ちゃんといい意味で職場っぽかった。「みんなでワイワイしようぜ」がスタートではなく、個を尊重する文化が昔からありました。だからこそ、それぞれが自分たちの専門性を発揮できるカルチャーになりつつ、たまに「いいやついない?」とメンバーを探して、結果として楽しくワイワイできています。須貝さんはリファラル採用の極みですからね。

須貝:僕は、伊沢の先輩が僕の大学の友人だった、というところからですからね(笑)。でも行ってみたらみんないいやつで、みんな誠実。「これを面白いからクイズにしよう」「間違わないように誠実にクイズを作って届けよう」と本気で思っている。それでいて、みんな野球でいえば少なくとも甲子園出場校のベンチ入りしているくらいには、クイズが強い。「クイズ界の侍ジャパン」みたいな感覚ですよね。

山本:僕はクイズをする場で、たまたまふくらPさんと出会った(笑)。

伊沢:改めて『十字路』を読んでいたら、そういう「たまたま」が多くて驚きました。本当によく「たまたま」でここまで来れたなと。

―皆さんのように「好きなことを仕事にしたい」という方は多いと思うのですが「好きなことを仕事にする」「好きなことを仕事にし続ける」上で大事なことは、何だと思いますか?

須貝:「好きじゃないこと」を頑張ることかな、と思います。好きな仕事をするために、事務処理のようなちょっと面倒に感じる仕事も絶対に出てくるけど、それもないがしろにせず、一生懸命丁寧に真面目に取り組むこと。「好きなことを仕事にする」は「嫌いなことをまったくやらずに生きていく」とは全然違う、ということを意識することですかね。

伊沢:それで言うと「好き」ってなんだろう、と考える機会が増えました。好きなことを仕事にする上で、やらなければいけない大変なこともたくさんある。その大変なことと、自分の「好き」を常に天秤にかけているわけです。今のところは「好き」のほうが重いから大変なこともやれているけれど、もし「好き」の力が足りないのであれば、働き方を変えたほうがいいんですよね。日々、それを見つめ直しながら、自分の「好き」とはなんだろうと問いかけ続けることが求められている気がします。

山本:似た話になってしまうかもしれませんが、僕は謎解きやクイズを作る仕事をしていて、作ることはすごく楽しい。でも、作った後に何度も同じ問題をチェックすることも大事な作業で、それ自体がめちゃめちゃ楽しいかと聞かれると…そうとも限らない(笑)。ただ、その先にある「自分が面白いと思って作ったものを、正確に届ける」ところに喜びがあるから、その過程も取り組める。そういう、自分が喜びを感じる本当のゴールが見つかりさえすれば、好きじゃないことがたまにあっても、楽しく仕事ができるんじゃないかなと思います。

―ちなみにささやかな疑問なのですが、皆さん知識の幅が広く深いのですが、どう勉強されていらっしゃるんでしょうか。

伊沢:僕は詳しい人から教わることがほとんどです。たとえば「伊沢はちょっとものを知っているだろう」というポジションでテレビ番組に出る機会が多いのですが、僕は何かに専門的に詳しいわけではない。すると、人がいろんなことを教えてくれて、企業や専門家が僕に教えてくれる構造が成立しやすいんです。1を知っていることで、10を教われる。直接「どうしてこれはこうなっているんですか?」と、一次情報を得やすい環境にいるので、最高です。教えることより、教わることのほうが圧倒的に多いです。クイズも若手から教わることばかりですね。

須貝:QuizKnockのメンバーは、それぞれ休みの日に各地のクイズ大会に出ているんですよ。

伊沢:本当に若手のレベルが高いので、教わることばっかりです。こっちから絡みにいって予選のペーパークイズの解き方とかを教えてもらって学んでいます。で、教えてくれた若手をしれっと倒しています(笑)。

― さて、改めて10周年記念本『十字路』についてお話を聞かせてください。このタイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか。

伊沢:以前、登録者数が200万人を突破した際に「QuizKnockは知の交差点だね」と表現したことがありました。多様な人が行き交い、知識が通り過ぎていく。その交差点の隅っこでコーヒーを飲んでいると、自然と面白い情報や人に出会える。誰か特定の人物ではなく、そうした「場」そのものがQuizKnockでありたいと思っていました。今回、10周年の「十」という字を見たとき、「十字路って言い換えちゃお」と思って。過去という道が交わり、未来にも繋がっている。感謝と挑戦という10周年のテーマにぴったりの言葉だと思い、選びました。

―こちらの本が制作されることになった経緯と、大切にしたテーマを教えてください。

伊沢:感謝と挑戦を伝えるにあたり、イベントだけでなく、形として「フィジカルなもの」を残す意義があると考えました。我々の熱量を物量として伝えるツールとしては本が最適だろうと。テーマは「オールQuizKnock」です。実は今回の表紙は、我々演者の写真ではなく、QuizKnockのカラーと『十字路』という文字だけが配置されています。個々のメンバーではなく、「QuizKnockという看板」こそが最も大切だというメッセージを込めています。

―本作の中で「特にここを見てほしい!」というポイントはどこでしょうか。

伊沢:一番は圧倒的な文字量ですね。昨年の4月に企画を持ち込んだ段階から、しっかりとした読み物にしたいという基本テーマがありました。そのため、記念本とは思えないほど文字が小さくて細かいです(笑)。その膨大な文字に対して、校正・校閲は出版社側だけではなく、QuizKnockのチームも凄まじい量のチェックを行ってくれました。文字量の背景にある「QuizKnockのチーム力」も読者の皆様に感じ取っていただきたいです。

須貝:改めてみんなの意外な一面や性格を知れる読み物がたくさんあって、端から端まで読みきれないほど読む部分があります。「3ページ読んだら元取った」くらいの分量がありますね(笑)。

―制作過程で印象に残っていることはありますか?

須貝:写真撮影の際、カメラマンさんが一緒にジャンプしてくれたり、元気に撮影できたのが嬉しかったです。「クールな表情で」と指示された時、普段ずっとニコニコしている鶴崎(修功)がにらめっこをしているような顔になっていて面白かったですね。他のメンバーの緊張している顔を横から観察できたのも、新たな一面を見られたようで楽しかったです。

山本:僕は謎解きを制作し、この本に仕掛けられたことが非常に嬉しかったです。本作がこれまでの活動をまとめた単なる記録集で終わるのではなく、我々が信じる「楽しいから始まる学び」の良さを詰め込みたかった。そこで1冊を丸々使った壮大な謎解きを仕掛け、「ここにも楽しさがいっぱい詰まっているぞ」というメッセージを込めました。

―最後に、10周年を迎えたQuizKnockの今後の展望や、CanCam読者へのメッセージをお聞かせください。

伊沢:まずは10周年の節目にしっかりと感謝を伝え、それが未来への期待に繋がるようにしたいです。我々はまだ知名度が足りない部分もあるので、今まで以上に日常の様々な局面でQuizKnockを見かけるようになってほしい。「楽しいから始まる学び」を届けるという目標を胸に、形を変えながらより世間に浸透できるよう頑張ります。少しでも見てくれた方がいたら、それが確実に僕たちの力になっているので、本当にありがとうございます。これから見るよという方も、一緒に楽しく自分を高めていければと思います。

須貝:継続することの素晴らしさを噛み締めながら、これからも長く続いていく組織でありたいです。そのためにはインフレする世の中に負けず、我々自身も変化し、届ける規模をさらに大きくしていく必要があると思っています。

山本:個人的には、より「リアルな体験」を届けたいです。これまでは動画を通じた体験の提供が主でしたが、今後はもっと実感を伴うリアルな体験の場を提供できるよう、力を注いでいきたいです。

\3人にCanCamがクイズで挑んでみたら…/

 
 
 
 
 
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価格:2,500 円(10%税別)
発売:2026 年 4 月16日(木)
発行・発売:株式会社 KADOKAWA