【連載vol.22】ヤーレンズ出井隼之介が聞いて驚愕!「人生の先輩たち」の話

『M-1グランプリ2023』に続き、『M-1グランプリ2024』も決勝に進出し、一躍売れっ子芸人となったヤーレンズ!
そんなヤーレンズのツッコミ担当、出井隼之介のCanCamでしか読めない!?美容情報なども盛り込んだ、エッセイ連載。
日々過ごす中で思ったことや、おもしろかったことを独自の目線で綴ってくれます。

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第22回目は…
出井さんが感銘を受けたエッセイ&映画、そして人生の先輩の話について。出井さんが年配の方の半生や記憶に残っている話を聴くラジオコーナー、ぜひ復活してほしいですね…!

「人生の大先輩のありがたいお話」

新年あけましておめでとうございます。本年もおじさんがCanCam.jpに寄せている謎のエッセイをよろしくお願い致します。

事務所の先輩、原口あきまささんからお年玉いただきました!

現在、大変ありがたいことにコンビでラジオを計4本と個人でコラム・エッセイを月2本(今書いているこれは隔週なので3本換算?)やらせていただいており、喋るand文字を書くことが非常に多い生活だ。

これらすべて仕事であると同時に鍛錬だとも思っている。野球選手が走り込みで強靭な下半身を作るが如く、今は数をたくさんやるんだ!という意気込みで、もしかしたらあまり細かいところまで配慮が行き届いていないかもしれないし、とてもじゃないが満足のいく出来栄えではないときもあるが、もう仕方ないと思っている。

今のこの走り込みが土台になって、おじいになったなら最強のラジオと最強のエッセイが月1本ずつでもあったらいいなと勝手に思っている。

そういう意味では昨年、草笛光子さん主演で映画化された佐藤愛子さんの『九十歳。何がめでたい』というエッセイはかなり理想的かもしれない。

内容的には、世の中や己の衰えに対して憤るおばあちゃんの気持ちが美しい文体で綴ってあるというもので、作者と同世代や近い年代の方は共感を呼ぶだろうし、我々若輩者は来るべき時への予習にもなり、どの世代の人が読んでも味わい深い作品だ。

昨年公開の映画も面白かった。『九十歳。何がめでたい』を書くことになるまでの様子も含めて描かれているし、唐沢寿明さん演じる編集者のサイドストーリーもなんだか以外なところに着地していて、そこも面白かった。

この映画を朝のラジオで紹介させていただいたのだが、面白いものを観て、それをラジオで喋ったりコラムやエッセイに書くってものすごく良いサイクルだなと改めて今思った。

永遠にそうしていきたいが、なかなか良いものを見たり聞いたりしまくるのは難しい。東野さんとかどうやってあんなに観ているんだろう。

新年ラジオの様子

佐藤愛子さんのエッセイもそうなのだが、僕は大先輩の話を読んだり聞いたりするのがかなり好きなようだ。

ここ数ヶ月、意識してたくさん色んな人のラジオを聴くようにしているのだが、よく聴く番組のひとつに文化放送Podcast『SAYONARAシティーボーイズ』がある。

この番組はまず、短めのラジオコントから始まるという激渋ラジオなのだが、シティーボーイズさんの力みや飾りが一切ないトークが聞いていて痺れる。たまに昔のいかついエピソードが飛び出したりもする。

『僕らの時代』も何年かに一回あるシティーボーイズ回がとても楽しみ。
去年、令和ロマン×ヤーレンズで出させてもらったことがあったが、4人ともせかせか喋っていてやかましかった。いつかシティーボーイズになれるのだろうか。

最近の令和ロマン・ケムリの様子

そういえば、年配の方のお話をひたすら伺う仕事を数年前までしていた。僕がレポーターをしていた『伊集院光とらじおと』に『10万歳のお言葉』というコーナーがあったのだ。

これは大体75歳以上の年配の方のそれまでの半生や記憶に残っているお話を聴いていこうというコーナーで、聴いた人の年齢の合計が10万歳になるまでやろうというものだった。そのために毎月老人ホームやお宅に伺って半生を聞いて回っていたのだ。

人生の大先輩の話は本当にインパクトが強く、特に戦争体験の話は皆さんかなり明瞭に覚えていて驚いた。

アメリカの戦闘機B-29が飛んできて見ていたら自分の体のすぐ横を機銃掃射され、慌てて汽車の下に隠れたという話や、二隻あった船の片方に乗って逃げたらもう片方が爆撃されて沈没した話。駅前の床に描いてあったチャーチルやルーズベルトの肖像画をみんなで踏んだ話など、めちゃくちゃパンチの効いた話が次々と飛び出すからすごい。

ああいうのは今のうちに聞けるだけ聞いたほうがいい。あのコーナーだけでも復活しないかな。

戦争体験でもかなり良い話はあったが、ちょっとヘビーなのでそれ以外で印象に残っているお話でいうと、高度経済成長期にエジプトのほうに転勤になったおじいさんの話。

当時タクシーに乗って信号待ちをしていたら運転手さんが「“イイオンナダナ〜”ってどういう意味?」と聞いてきたらしい。なんでそんなことを聞くのが尋ねると、「タクシーに乗せた日本人が全員、窓の外を見てそう言うんだ。どう言う意味なんだ?」とのことだったそうだ。なんて丁度ちゃんとしたエピソード。

先輩方の記憶にはこんなのがまだまだ埋もれているかもしれない。もう仕事じゃなくプライベートで聞いて回ろうかな。

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コスメキッチンのオリジナルブランド『F-ORGANICS(エッフェオーガニック)』のクレンジング。

化粧水は有名だが、クレンジングを使ってみたらめちゃくちゃ良い!今まで使ったどれとも違う、つるりんとした洗い上がり。絶対にこれからも使っていくと思う。(ヤーレンズ・出井隼之介)

★ヤーレンズ・出井隼之介の連載は隔週土曜夜配信予定です!お楽しみに★

ヤーレンズ・出井隼之介(でい じゅんのすけ)プロフィール
1987年3月2日生まれ、神奈川県出身。楢原真樹(写真左)と結成したお笑いコンビ『ヤーレンズ』のツッコミ担当。『M-1グランプリ2023』で初の決勝進出を果たすも優勝を惜しくも逃すが、一気に話題に。好きなことは、コーヒーを飲むこと(カフェ巡り)、サザンオールスターズを聴くこと、美容&メイクなど多趣味で、インスタグラムではコーヒーについても発信している。

・ニッポン放送『オールナイトニッポン0』毎月最終土曜日担当 27:00-28:50 O.A.
・TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』隔週木曜日レギュラー 8:30〜11:00 O.A.
・ラジオアプリGERA『ラジオの虎』毎週木曜日20時配信

★公式YouTube 『ヤーレンズオフィシャルチャンネル』
★個人公式インスタグラム @dei_junnosuke
★公式X @Yarlens_Dei

文/出井隼之介 (ヤーレンズ) イラスト/羽鳥好美 構成/田中絵理子