【損失回避性の法則】「失いたくない」という意識を活力にする方法
人にはいわゆる“火事場の馬鹿力”があるされていますが、いざというときにならないとそれを意識的に発揮できません。でも、“ある考え方”を持つと、自然に力を発揮することもできるのです。そこで今回は、損失回避性の法則の観点から「“失いたくない”という意識を活力にする方法」をご紹介いたします。
■幸・不幸は手に入れたり失ったりすることで感じる
人は何のために生きているのかというと、それは幸せになるためという答えが返ってくると思います。しかし、幸せと言ってもその中身はさまざまで、何が幸せなのかという定義は曖昧なものです。同じく、不幸というものも主観的なものなので、何をもって不幸とするかは人それぞれです。ただ、幸せや不幸は確かに誰もが感じ取ることができるものであると言えます。そして、その多くは手に入れたり失ったりすることと密接です。
■失いたくないエネルギー>手に入れたいエネルギー
たとえば、働いてお金を手に入れたり、欲しかったバッグを購入するとき、人は幸福感を得ます。反面、恋人と別れたり、会社を解雇されると悲しいですよね。では、手に入れたいというエネルギーと失いたくないというエネルギーはどちらが強いのでしょうか。実は、人は失いたくないというエネルギーのほうが断然強いのです。これは行動心理学的にも証明されていることであり、「損失回避性の法則」と言われています。
■得をするより損をしたくない“損失回避性の法則”
損失回避性とは「得をするより損をしたくない」という心理傾向のことです。実際に想像してみても、新しい幸せを得るために挑戦するよりも、今ある幸せを守りたいという気持ちのほうが強いと感じますよね。また、幸せを知ってしまうことで失うことへの恐れを抱いてしまう場合もあります。それほど、損をすることや失ってしまうというのは、人にとっては多大なストレスだと言えるのです。
■損を回避しようとするとき大きなエネルギーが生まれる
ただ、この心理傾向は大きなエネルギーを生むことにも繋がります。たとえば会社で上司から、「君の働きぶりでこれから昇給がある」と言われたとき、多くの人はワクワクしますよね。これはやってくる幸運を享受しようという受動的エネルギーだと言えます。一方で、「君次第でこれから給与カットする」と言われたらどうでしょう。必死になってそれを回避しようとするはずです。これは自分の力で何とかしようという能動的エネルギーです。恐らくは、後者の方が損をしたくないという思いから、懸命に働き力を発揮しようとするはずです。
おわりに
このように人の心を揺さぶり突き動かすのは、損失を避けようという能動的エネルギーです。もしも心配事が出てきたり悪い評価をされたとしても、それはあなたにとって自力で回避する方向へと変換することで、大きな活力にもなり得るものなのです。ただし、結果が確定してしまうとどうしようもないため、その前段階で気づいてアクションを起こせるだけの時間的余裕は必要かもしれません。
(脇田尚揮)
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。