フィギュアスケートの光と影「衣装の下は全身あざだらけ…」【辻谷実夏のフィギュア裏話】

■キャンパスクイーンが語る、フィギュアスケートの光と影「衣装の下は全身あざだらけ…」


はじめまして。キャンパスクイーンの辻谷実夏です。

辻谷実夏(キャンパスクイーン)/慶應義塾大学3年

みなさんはフィギュアスケートに対してどのような印象を抱いていらっしゃるでしょうか。華やかで、キラキラしていて、誰もが一度は憧れる素敵なスポーツではないでしょうか。

私は、宮城県出身で、小学校低学年の頃に遊びに行った近くのスケートリンクでスケートの楽しさに目覚め、クラブに入り、フィギュアスケートを始めました。羽生結弦選手とはずっと同じクラブで練習しており、彼の才能は当時から群を抜いていて、メディアから注目されていました。

 

小学校低学年というと世間的には早いようにも思えますが、多くの選手は3歳〜5歳頃から活動を始めているため、圧倒的に周囲よりもスタートが遅い方でした。

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その当時、浅田真央さんや海外選手の目覚ましい活躍によって競技人気も増えつつあり、リンクは常に沢山の一般客で溢れかえっていました。

そのため、早朝や深夜などリンクが開館前、閉館後の貸切練習がクラブの生徒の主な練習時間でした。早朝練習だと朝4時〜8時まで、深夜練習だと19時〜23時頃までなど、通常の小中学生には極めてハードな時間帯の練習でした。

さらに、その間に陸上トレーニングと言って、腹筋背筋腕立て、ランニング、ストレッチなどの基礎体力や柔軟性を付ける時間も組み込まれていました。これもなかなか小学生には厳しいもので、無心で何百回も繰り返します。でも、このおかげか高校までずっと体力テストはA判定でした。

上手になるにはこんなに大変な思いをしないといけないのか……と幼いながらも日々感じましたが、やはり一つの技ができたときの達成感は非常に大きいもので、まだまだできるようになりたいとその度に感じ、気が付いたら辞められなくなっていました。これがきっと、フィギュアスケートの底なし沼という感覚だと思います。

学校へ行く、寝る、の最低限の時間以外はほとんどスケートに費やす、そんな選手が多かったように感じます。私も、水泳や体操など多くの習い事を辞めてスケートにかけました。朝に弱い私は早朝の練習が最も厳しく、過酷に感じました。それでも、昼食に温かい待合室に売っている美味しい焼きおにぎりが食べたいとかそんな理由で耐え抜いていました。

転ぶと痛くて、足全体がアザだらけになっていたので何度も母や学校の友達に心配されました。特に体操着や、丈の短いボトムを履くと目立ちます。女の子にとっては辛いことかもしれません。不思議と練習中はあまり痛みを感じません。ですが、今思えば驚くほど選手は皆ボロボロの体になっていたと思います。女子は試合ではストッキングの着用を定められていますし、華やかな衣装に身を包まれているのでそんな様子が感じられないと思います。しかし、1日に全身を何度も強打するので、おそらく選手は青アザだらけになっているでしょう……。

とにかく怪我の多いスポーツです。靭帯断裂や疲労骨折、膝の故障など、頻繁にそんな仲間を見てきました。ジャンプを跳んだり、打ち所が悪かったり、体への負担は計り知れません。しかも、女性は第二次成長期と重なり、体重が変動するのでそれによって競技へ大きく影響が出ることが多く、苦労している人が多かったです。体重が0.5kgでも増えると影響するため、体型管理も細かくする必要のある非常にシビアなスポーツです。私は、毎日体重計に乗って、太りそうだと感じる食べ物は自主的に避けながら生活を送っていました。成長期の子供にこれは試練だと思いました。

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■厳しいコーチ…フィギュアを通して、音楽にも詳しくなった


コーチは基本的に全員厳しいです。練習前後の挨拶は必須であり、腿や膝の角度が違っていたら大きな声で指導され、先輩の邪魔になってしまったら怒られてしまいます。そんな中でも、印象深いコーチもいます。私に一番初めに個人レッスンを教えてくれたコーチです。自らジャンプを跳んでくれて、スピンなどを披露してくれました。それを見ることでこの技が上手になりたい、もっと上達したいと思うきっかけとなりました。

フィギュアを始めたことで、音楽にも詳しくなりました。前述のコーチがよく踊ってくださった曲は『You Raise Me Up』です。よく使われる曲や、代名詞と呼ばれるような曲も多々あり、『くるみ割り人形』、『死の舞踏』など世間的にも有名な音楽は何度も聞きました。『死の舞踏』はコレラという病気がかつて流行り、その死者を表現した曲であるという点が印象深いです。リンクで繰り返される曲は、誰が踊っていたか、どのシーズンの曲かも鮮明に記憶しています。クラシックの名曲なんて、音楽をやっていなかった私には知り得ることがなかったので、音楽を知れて良かったです。今でも、デパートでそういった曲が流れるとついつい反応してしまいます。

ここまで、私自身の思い出について記しましたが、フィギュアスケートという競技は、本人だけでなく親にとってもシビアなんです。経済面、付き添いなどでは、他のスポーツの数倍の負担がかかります。次回は大会や費用について触れていきたいと思います。

 

辻谷実夏(キャンパスクイーン)/慶應義塾大学3年

1996年6月20日生まれ 20歳
慶應義塾大学3年生
趣味は、旅行・食べ歩き・映画鑑賞
特技は、韓国語・フィギュアスケート・競技かるた・書道(毛筆七段・硬筆七段)

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