日本初のBL漫画「風と木の詩」と寺山修司の意外すぎる衝撃の出会いとは!?

マンガのすごさを紐解く新書『竹と樹のマンガ文化論』の紹介、3回目です。

★1回目→ 竹宮惠子×内田樹が語る!マンガ発展の背景には戦争の○○があった!

★2回目→ 竹宮惠子×内田樹が語る!「天才が感染する」オープンソースの効用とは?

この本はマンガ文化の総括としてもおもしろいのですが、実は誰も知らなかったマンガトリビアもたくさん載っているんです! 今回はその中から、竹宮惠子先生の名作『風と木の詩』にまつわる、寺山修司とのびっくりエピソードを抜粋してご紹介します。

寺山修司といえば、1960〜70年代に活躍した実験的な劇団『天井桟敷』を率いた人物。そんな彼と、ボーイズラブの元祖とも呼ばれる『風と木の詩』の、意外な接点とは?

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今読んでも面白いですよ! ジルベールが美少年すぎる!

内田 『風と木の詩』の文庫版には、寺山修司さんが解説を書いていますね。これ、意外でした。

竹宮 寺山さんが『風と木の詩』をお好きだとは聞いていたのですが、私もあの解説文に書かれたジルベール讃歌を読んで本気(マジ)だったんだと驚きました。

(中略)

内田 寺山修司さんとは、お付き合いがあったのですか?

竹宮 最初は、寺山さんの秘書の方からお電話をいただいたのです。「寺山の秘書です」と言われたもので、どちらの寺山さんだろうと(笑)。まさか寺山修司さんだとは思いませんものね。怪しいなぁと思いながらも、お話していたのです。すると、寺山さんが大家さんの娘さんから私のマンガを借りて読んでいたところ、誤って本を破いてしまったと。大変申し訳ない。ついては、娘さんにお詫びするために、色紙にサインをしてくれないかと(笑)。

内田 さすが、寺山修司。ものすごい論理の飛躍(笑)。

竹宮 一瞬言っていることがわからなくて、えっ? どういう意味ですか? 本人かどうかも定かではないし、とんでもなく胡散(うさん)臭かった(笑)。でも、まあ、そういうこともあるのかなと思って、ああ、いいですよってこたえました。

内田 それは、それは。竹宮さんも、寛容だなぁ(笑)。

竹宮 そして早朝七時くらいに、新宿のサブナードで待ち合わせたのです。

内田 サブナードというところがまた怪しいなあ。

竹宮 すると、ほんとうにご本人がいらしたのです。サイン本を渡して、それをきっかけにお付き合いさせていただくようになった。寺山さんからは、色々刺激をいただきましたし、寺山修司展のための紙芝居を描かせていただいたこともあります。

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笑顔で語る竹宮先生

あの寺山修司と竹宮惠子が、新宿サブナードで邂逅……! 遭遇してみたかった!

この後に続く会話では、内田さんが『風と木の詩』誕生についてある仮説をたてて竹宮さんに質問しています。ここからもおもしろいのですが、それはぜひ本書で。

3回にわたってご紹介してきた『竹と樹のマンガ文化論』、いかがでしたでしょうか。番外編として次回、1月11日に京都国際マンガミュージアムにて開催された、出版記念トークショーの様子をお送りします! (五十嵐ミワ)

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『竹と樹のマンガ文化論』

竹宮惠子・内田 樹/著(小学館/740円+税)

★1回目→ 竹宮惠子×内田樹が語る!マンガ発展の背景には戦争の○○があった!

★2回目→ 竹宮惠子×内田樹が語る!「天才が感染する」オープンソースの効用とは?

 

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